「ねえママ、ちょっと困った子がいるの」
結衣の話では、新しくLINEを始めたばかりのAちゃんという子が、すごい頻度で写真を送りつけてくるというのです。AちゃんはSNSを始めたことが嬉しくて仕方がないようで、日常のすべてを共有しようとしているようでした。塾に行く道中の花や、空の写真などはまだいいのですが、問題は他人の家の敷地内にいる犬などを、勝手に撮影して送ってくることでした。
「知らない人の家の中を撮るのは、ダメだと思うんだ…」
と結衣は困惑していました。さらに、Aちゃんは反応がないと「みんな返信してくれない」と、大量のスタンプを打ってくるというのです。グループLINEはAちゃんの写真とスタンプで埋め尽くされ、他の子たちは皆、辟易している様子でした。
直美は、結衣の言葉に少し安堵しました。結衣は、他人の行動に違和感を抱き、良し悪しを判断できています。
「そういう子には、無理に返信しなくていいよ」
と直美はアドバイスしました。
「誰かを困らせるような写真を送ったり、しつこく返事を求めたりするのはよくないね。付き合わないで大丈夫。学校で少し話してみてもいいかもよ?」
直美は、親が介入しなくても、結衣自身が人間関係の中で、距離感やモラルを学んでいることに、成長を感じました。しかし、そのAちゃんの行動が、さらにエスカレートするとは、この時誰も予想していませんでした。 ※1
平穏だった友だち関係が一変…
スマホデビューを果たした小学5年生の結衣は、友だちとのやり取りを楽しんでいました。ところが、Aちゃんがグループに加わったのがきっかけで、不穏な空気が流れ始めます…。
結衣が、自分で違和感に気づき、母親である直美にすぐに相談できたのは、とてもいいことですね。直美は、結衣の成長をうれしく感じ、今回は子ども同士で解決できるだろうと思い、介入しませんでした。ところが…。
たった1枚の写真が、娘の心を傷つけた
リビングに入ってくるなり、いつもは元気な結衣が、もじもじと直美のそばに立ち尽くしました。
「ママ…見てほしいものがあるの」
直美は、嫌な予感を感じながらも、結衣のスマホを受け取りました。ロックを解除し、AちゃんとのグループLINEを開きます。スクロールして現れた画像に、直美は思わず目を背けそうになりました。
そこには、アスファルトの上に横たわる雀の亡骸が映っていました。 ※2
とてもショッキングな画像ですね…。大人でも、目を背けたくなる光景です。しかもそれが、小学5年生の子どもたちがやり取りするLINEに流れて来たなんて、信じられません。
このあと、直美はすぐに学校へ相談します。
問題行動を起こした子どもとの関係は?
直美が学校に相談した翌日の夕方、結衣のLINEグループにメッセージが届きました。それはAちゃんからでした。
「ごめんね。抜けるね」
それだけメッセージがきて、Aちゃんはグループから退会しました。担任の先生からAちゃんの保護者へ連絡がいき、指導が入ったのでしょう。その後、先生から直美にも電話があり、今後Aちゃんの様子を見守っていくという報告がありました。
Aちゃんがいなくなったグループは、一時的に安堵の空気に包まれました。しかし、結衣の心は晴れませんでした。彼女は、楽しかったLINEのやり取りが、一瞬で不快で怖いものに変わってしまったことに、深く傷ついていたのです。 ※3
Aちゃんは、LINEグループを抜けました。ですが、それで終わりではありませんね。楽しかったSNSが一瞬で不快なものに変わってしまった経験をした結衣は、心に大きな傷を負ってしまいました…。
このあと、結衣は一時的にすべてのLINEグループから退会。その後、少しずつ気持ちを取り戻し、仲良しの友だちとのLINEを再開。このとき、直美は改めて、SNSの使い方について結衣と話し合います。
SNSは便利な一方、簡単に人を傷つけたり、不快な思いをさせてしまうことがあります。スマホ越しでも、「相手がいる」ことを忘れてはいけません。親子でルールを決め、話し合うこともとても大切ですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










