学校に相談した結果、事態はすぐに動きました。担任の先生からAちゃんの保護者へ連絡がいき、Aちゃんはグループから抜けることになります。この一連の騒動で、結衣はSNSに対して恐怖心を抱くようになり、自らもLINEを休むことを決意しました。直美は夫にも事の顛末をすべて話し、改めて現代の子育てにおけるSNSの難しさを痛感します。
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Aちゃんから届いた「ごめんね。抜けるね」――静かに収束したトラブル
直美が学校に相談した翌日の夕方、結衣のLINEグループにメッセージが届きました。それはAちゃんからでした。
「ごめんね。抜けるね」
それだけメッセージがきて、Aちゃんはグループから退会しました。担任の先生からAちゃんの保護者へ連絡がいき、指導が入ったのでしょう。その後、先生から直美にも電話があり、今後Aちゃんの様子を見守っていくという報告がありました。
Aちゃんがいなくなったグループは、一時的に安堵の空気に包まれました。しかし、結衣の心は晴れませんでした。彼女は、楽しかったLINEのやり取りが、一瞬で不快で怖いものに変わってしまったことに、深く傷ついていたのです。
「もうLINEやめたい」娘の心を深く傷つけた、一連の不快なできごと
「ママ、私、もうLINE、しばらくやめたい」
結衣は、直美にそう打ち明けました。あんな嫌なものを見せられたり、誰かの秘密を覗き見たり、誰かに気を使って返信したりする毎日に、結衣は疲れてしまったのです。直美は、結衣の自主的な判断を尊重しました。結衣はグループに「しばらく休むね。またね」とだけメッセージを送り、すべてのグループから退会しました。
その夜、直美は帰宅した夫に事の顛末をすべて話しました。夫も、死骸の写真を見て大きな衝撃を受けました。
「子どもたちの世界って、こんなに簡単に危うくなるんだね…」
夫はSNSの使い方の難しさを再認識し、直美に感謝しました。
「直美、ちゃんと見ていてくれて、本当にありがとう」
直美は、この一件をただのトラブルで終わらせたくないと思いました。スマホは便利ですが、使い方を誤ると、子どもたちの心を傷つける凶器にもなり得ます。直美は夫と共に、SNSのルールと危険性について、結衣と改めて真剣に話し合う機会を持つことを決意しました。
🔴【次の話を読む】SNSトラブルを経て。親が娘に教えた「デジタル空間でも目の前にいると思う」原則
あとがき:親子の対話が鍵。スマホを「危険な道具」にしないために
この第4話では、SNSトラブルに対する「親の介入」が、一時的ながらも問題を解決に導く様子が描かれます。結衣が自らSNSから離れる選択をしたことは、彼女がデジタルの世界で「自己防衛」の意識を持てた証拠です。
直美は夫と情報共有することで、この問題に夫婦で取り組むという姿勢を明確にしました。SNSの難しさを痛感した家族は、この経験を教訓として、次のステップである「家族会議」へと進みます。










