SNSから離れて数ヶ月が経ち、結衣の気持ちは回復してきました。友人との交流はまた対面が中心に戻っていましたが、遠出をする際の連絡手段として、再びLINEの必要性を感じ始めます。家族で話し合い、過去のトラブルを踏まえて、新しいルールと「思いやり」の原則を再確認した上で、結衣は再びデジタルな友達の輪に戻ることを決意します。
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数ヶ月の休止を経て。娘が切り出した「LINEを再開したい」
数ヶ月が経ち、結衣の気持ちは回復していました。以前のような、他愛のない冗談を言い合う、明るい結衣に戻っていました。
ある週末、結衣は、もともとLINEで繋がっていた数人の友人と、子どもたちだけで隣町のショッピングモールに遊びに行く計画を立てました。集合時間や場所の連絡を取るため、結衣は「またLINEを再開したい」と直美に相談してきました。
直美は、その成長を喜びつつも、夫と相談し、再開前に家族で「SNSの使い方についてもう一度話すこと」を条件としました。
「前のことを忘れないで」。親子3人、真剣に向き合った再開前の会議
リビングのテーブルで、直美、夫、そして結衣の3人が向かい合いました。
「LINEを再開するのはいいけれど、前のことを忘れないでね」
と夫が切り出しました。直美は、具体的に5つのルールを伝えました。
1つ目は、「悪口には乗らないこと」。嫌なことがあっても、SNSで誰かを攻撃したり、集団で傷つけたりすることは絶対にしません。
2つ目は、「不適切な写真や動画を送らないこと」。嫌がるようなものを送るのは他人の心を深く傷つける行為だと、もう一度説明しました。
3つ目は、「投稿頻度は、相手の迷惑をしっかり考えて決めること。スタンプを山ほど送ったり、無理に相手の時間を奪わないこと。
4つ目は、「困ったことがあったら、必ずすぐに私たちに相談すること」。スマホを見る権限は、結衣を守るためだと再確認しました。
そして5つ目は、「デジタルな空間でも、相手が目の前にいると思って接すること」という、最も大切な「思いやり」の原則でした。
結衣は、真剣な顔で頷きました。スマホの便利さと、その裏に潜む危険性を、この数ヶ月で身をもって学んだのです。
「わかった。ちゃんと守るよ」
直美は、結衣が再び友達の輪に戻っていくことを、心から応援しようと思いました。子どもの成長と共に、SNSとの付き合い方も変化していきます。
結果、あれから結衣は気の合う仲間と楽しくSNS交流をしています。ショッピングモールでのおでかけもすごく楽しめたそうで、現地でお友達と撮影した写真を直美に送りました。それは親として本当にうれしく、安心につながることです。
これからも親として、見守ること、教えること、そして時には介入することを恐れずに、結衣のデジタルライフを支えていきたいと強く思う直美なのでした。
見守る、教える、介入する。親が覚悟した「子どもとSNS」の付き合い方
この最終話では、結衣がSNSを再開するにあたり、家族で「思いやりのルール」を再構築する様子が描かれます。過去のトラブルを教訓とし、親が一方的に禁止するのではなく、子ども自身にデジタルモラルを理解させ、主体的な判断を促すという直美と夫の姿勢が示されています。
SNSは単なるツールではなく、現代の人間関係そのものです。この家族会議は、単なるルール作りではなく、結衣がデジタルの世界で健全な社会性を育むための、大切な一歩となったと言えるでしょう。










