🔴【第1話から読む】はじめての違和感|もう誘いたくないママ友
里奈が真由の家ばかりを訪れ、愚痴や不満を一方的に話す関係に疑問を抱いた真由。対等ではない関係に気づき、距離を置こうと考え始めていた。そんな中、里奈から外食ランチに誘われて―――。
「もう誘わない」と決めていても
もうわが家には誘わないと決めた私は、遊ぼうと声をかけてくる里奈さんをかわすのに必死だった。
「今日は夫が家にいるから公園で遊ぼう」
「支援センターに新しいおもちゃが置いてあるみたいだよ」
家に誘いたくないだけで、外で遊ぶ分には特に困ることはない。だから外で会いたいのに、どうにかして家に来ようとする里奈さん。
「別の日はおうちの都合どう?」
「結菜は陽向くんの家がいいって言ってるのよ」
困っていたある日、里奈さんから珍しくこんな提案があった。
「今度さ、2人でランチ行かない?子ども抜きで、たまには息抜きしようよ」
少し意外だった。家じゃないなら、気分も変わるかもしれないし、いいかも。そう思って、私は承諾した。
場所が変わっても、関係は同じ
当日、入ったのは駅近くのカフェ。おしゃれな内装に、静かな音楽。家に呼んだわけではないから準備も片付けもないし、気軽に楽しめると思った。でも、結果として私は里奈さんに嫌悪感を抱くことになる―――。
「聞いてよ〜、最近ほんと疲れててさ」
席に着くなり、里奈さんのマシンガントークが始まった。義母の話、園の先生の話、他のママのうわさ。話題は途切れず、私は終始相槌係だった。
「真由さんって、ほんと聞き上手だよね」
そう言われたとき、褒められているはずなのに、なぜか胸が重くなってしまう。話は次第に、子どもの話へと移っていく。
「結菜、最近もうひらがな読めるようになってさ」
「教えてもないのに、勝手に覚えてるのよ」
「すごいね」と返しながら、私は陽向の顔を思い浮かべた。陽向はのんびり屋で、マイペース。上手にできることもあるけれど、年齢並みにできないと感じることも、まだたくさんある。
「陽向くんは、どう?」
そう聞かれて、正直に答えた。
「うちは、まだかな。焦らずでいいかなって」
すると里奈さんは、少し首を傾げて笑った。
「まあ、男の子だもんね、遅い子多いっていうよ」
その言い方が、妙に引っかかった。明確にバカにされているわけではない。でも、“うちはできてるけどね”というニュアンスが、言葉の端々に滲んでいる。
里奈さんと話していると、なんだか疲れる。私はAIロボットのように相槌だけを求められているような気がして、なんとなく嫌悪感があった。家に誘ったわけではなくても疲れるなんて、私はもしかすると里奈さんとは合わないのかもしれない。
「疲れる存在」だと気づいた瞬間
ランチが終わり、店を出たとき、私はどっと疲れを感じていた。
「また行こうね」
里奈さんは満足そうに言ったけれど、私は曖昧に笑うだけだった。
帰宅して、玄関のドアを閉めた瞬間、深く息を吐いた。
―――疲れた。
それは、身体の疲れじゃない。気を遣い続けた、心の疲れだった。
ソファに座り、天井を見上げながら、私はようやく自覚した。
(ああ、私……この人といると、疲れるんだ)
その事実を認めた瞬間、胸の奥が少しだけ軽くなった気がした。嫌いになる必要はない。でも、無理に付き合い続ける必要もない。そう思えたことが、私にとっては大きな一歩だった。
まだ何かを決めたわけじゃないけれど、でも確かに、私の中で、里奈さんに対する考え方が少しずつ変わり始めていた。
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あとがき:嫌いじゃない。でも、しんどい
人間関係は、「好き・嫌い」だけでは割り切れないものです。
第3話で真由が気づいたのは、里奈を嫌いになったからではなく、「一緒にいると疲れる」という感覚でした。それは、とても些細で、でもとても大切な違和感です。
無理に我慢し続ける関係よりも、自分の心を守る距離感を考え始めること。その小さな自覚が、真由の中で確かな変化を生み始めています。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










