🔴【第1話から読む】人手不足の喫茶店でママ友を採用→かえって増えてしまった【悩みごと】|ママ友を雇ったらもめた話
店を訪れた息子に大失敗のパンケーキを食べさせてしまったのに、「ママかっこいいよ」と言われたみやこ。そんな彼女は、神妙な面持ちで主人公・りほのもとへやってきました。
決意の第一歩を踏み出したママ友
数日が過ぎました。あの日以来、みやこさんはどこか上の空で、以前のように私を見下したり、同僚を攻撃したりするような元気がありませんでした。ただ、サボることもなく、ただ黙々と、どこか自信なさげに働いていました。
そして1週間後の朝、開店前の準備をしている時のことです。
「あの、店長、少しお話ししてもいい?」
みやこさんが、真剣な表情で私を呼び止めました。私のことを店長、と呼ぶのは初めてです。彼女の手には、使い古されたものではない、真新しいノートが握られていました。
「みやこさん、どうしたの?」
「……あの日の、ホットケーキのこと。みつるがあれを食べて『おいしい』と言ってくれた時、私、自分のことが恥ずかしくてたまらなくて」
彼女の言葉には、今までにない震えが混じっていました。
「私はずっと、自分は要領が良くて、仕事ができる人間だと思い込んでた。でも、あの日みつるに食べさせたのは、私の不真面目さと傲慢さが作り上げた、最低のホットケーキ。なのにみつるは、あんなにひどいものを完食して、私に『かっこいい』とまで言ってくれて…それが本当に、恥ずかしいことだなと思ったの」
みやこさんは深く、深く頭を下げました。
「今まで、すみませんでした。りほさんにも、田中さんにもひどい態度を取っていたし、気に入らない仕事から逃げて迷惑をかけていました。もしできることなら……私に、もう一度、仕事を教えてもらえませんか?」
私は、この言葉を待っていました。
彼女の明るさや社交性はこの店にとって大きな武器になります。ただ、その根幹にある「誠実さ」を見失っていただけなのです。
「みやこさん、顔を上げて。……もちろん、また一緒に頑張りましょう。でも、メモはしっかり取ってもらうからね~」
私がわざと明るい声で言うと、みやこさんは涙を拭い、照れくさそうに笑いました。
「はい!ノートが真っ黒になるまで書くつもりです!」
ママ友として、従業員としての絆
それから、ルミエールの空気は劇的に変わりました。 みやこさんは、出勤してすぐに田中さんのところへ行き、深々と謝罪をしました。田中さんも戸惑いながらも、彼女の変化を喜び、今では2人で楽しそうに明日の仕込みの相談をしています。 みやこさんは、苦手だった野菜の皮剥きも、焦がしがちだったソースの煮込みも、私の手元をじっと見つめ、一言一句ノートに書き留めるようになりました。
時折、お客様から「最近、このお店、前より活気があるわね」と声をかけられることがあります。そんな時、レジで見事な笑顔の挨拶を返しているみやこさんを見て、私は心から彼女を採用してよかったと思うのです。
今日も15時が過ぎ、閉店の時間がやってきました。
「お疲れ様でした、店長!」
みやこさんが晴れやかな声で言いました。その表情は、かつての虚勢を張った明るさではなく、仕事をやり遂げた誠実な輝きに満ちていました。
「お疲れ様、みやこさん。明日はホットケーキのテストだからね」
「望むところです! 今度こそ、みつるに写真より綺麗なやつを食べさせたいですから」
店を閉め2人で子ども達を学童へ迎えにいくと、まずりおんが「ママ、お疲れ様!」と飛び込んできました。 「お疲れ様りおん」 私は娘を抱きしめ、同じくみつるくんを抱き止めたみやこさんとうなずき合いました。 親として、そして1人の働く大人として、子どもたちの前を堂々と歩いていけるように。 夕暮れ時のカフェ・ルミエールには、明日への希望という名のアロマが、心地よく漂っていました。
「これからも、よろしくお願いしますね、店長」
「ええ、こちらこそ。よろしくお願いします、みやこさん」
私たちは、ようやく本当のパートナーになれたのでした。
あとがき:誠実あってこその、すがすがしさ
りほは店長として、みやこはママとして店員として、それぞれ成長できたようです。
身近な人と働くのはうまくいかない面もあるかもしれませんが、お互いの状況を理解し合って支え合えるパートナーになれたら理想的ですよね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










