経営していた喫茶店の人手不足をうけて、仲が良かったママ友・みやこを雇った喫茶店店主・りほ。しかしどうやら彼女には、裏の顔があるようで―――。
私が作って育てた、大切な喫茶店
秋の柔らかな日差しが、私の営む喫茶店「カフェ・ルミエール」の木製テーブルを照らしていました。
独身時代から四苦八苦しながら起業し育ててきたこの店は、私にとって人生そのものです。結婚し、娘のりおんを授かってからは、育児との兼ね合いで休業や時短営業を余儀なくされてきましたが、りおんが小学二年生になり、学童保育に通い始めたことを機に、私は本格的な復帰を決意しました。
とはいえ家庭を優先するためにも、営業時間は午前8時から午後3時まで。モーニングからランチ、そして少し落ち着いたティータイムの入り口までをカバーする形です。しかし、本格復帰してみると想像以上の忙しさに、私一人の力では限界が見え始めていました。
「りほさん、また今日も求人の応募、ゼロだったわね……」
ベテラン店員・田中さんが、溜息混じりに掲示板を片付けながら言いました。50代の田中さんは、私が店を離れていた時期も支えてくれた、穏やかで真面目な功労者です。
「そうですね。やっぱりこの時間帯は主婦の方の競合が多いのかしら。誰か良い人がいればいいんだけど」
そんな時、頭に浮かんだのがママ友・みやこさんでした。彼女の息子・みつるくんとりおんは同じクラスで、私たちも学校行事や公園遊びを通じて仲良くなりました。みやこさんはいつも明るく、周囲を笑わせるのが得意な人で、ちょうど「子どもの手が離れてきたから、短時間で働ける場所を探している」と話していたのを思い出したのです。
私は思い切って彼女に声をかけました。
「みやこさん、もしよかったら、うちの店で働いてみない? ちょうど人を探していてね」
私の提案に、みやこさんの表情がパッと輝きました。
「えっ、いいの!? りほさんの喫茶店、おしゃれで憧れてたんだ。ぜひお願いしたいわ!」
後日、簡単な面接を行い、彼女の採用が決定しました。気心の知れたママ友が仲間になってくれる。私は、これで店の将来も安泰だと、明るい希望を抱いていました。
少しずつ見えてきた本性
しかし、働き始めて一年が経つ頃、私の胸には少しずつ、澱のような不信感がたまり始めていました。きっかけは、新メニューの導入に合わせたスタッフミーティングでした。
「みやこさん、新しいコーヒー豆の特徴を説明するから、メモを取ってくれる?結構ややこしい内容だし、しっかり覚えてほしいの」
私がそう言うと、みやこさんはボールペンを持った手を止め、鼻で笑うように言いました。
「やだ~りほさん、私はもう仕事に慣れてるし、頭で覚えれば十分よ」
結局、彼女はメモを取らず、その結果、お客様への説明を何度も間違え、混乱を招きました。それだけでもうため息ものです。
それだけではありませんでした。みやこさんは、相手を見て態度を露骨に変えるのです。常連のおじさんのお客様が来店しても、自分の気に入らないタイプだと判断すれば「いらっしゃいませ」の一言も言いません。そのせいでクレームになったこともあります。
そのくせ、面倒な食材の仕込み作業になると、急に「私って細かい軽量苦手なのよね。りほさん、代わりにお願いしてもいい~?」と、甘えるような声で私に押し付けてきます。
私は何度か、意を決して注意をしました。
「みやこさん、お客様へのあいさつは基本だと思うの。それに、仕込みも分担してやらないとお店が回らないから困るよ」
「はいはい、わかってますって」
彼女は生返事をして背を向けましたが、その直後、低い音で「チッ」という舌打ちが聞こえてきました。私は耳を疑いましたが、彼女の横顔は不機嫌そのものでした。
田中さんも、裏でこっそり私に相談してきました。
「店長……みやこさんと一緒にシフトに入ると、正直、イライラしてしまうんです。サボり方もずるがしこいというか、私が忙しくしている時だけ、あからさまに休憩室へ行ったりして……」
私自身がお願いして入ってもらった手前、簡単に辞めてもらうわけにもいきません。かつて明るく見えた彼女の笑顔が、今では計算高い仮面のように思えて、私は深く悩むことになりました―――。
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あとがき:ずっと仮面だった?
いくらママ友とはいえ、勤務先の店長に向かってしていい態度ではありませんよね。せっかく人手不足が解消されると思ったのに、かえって頭を悩ませることになってしまったりほさん。頭が痛い問題ですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










