数日後「今日もバス間に合わなそう……」と連絡が来ました。さらにその3日後にも。「また?」と思いつつ、断る理由もありません。
「いいよ、今から向かうね」
「ごめんねー、助かる!」
そんなやり取りが、週に2回、3回と増えていきました。気づけば、週に4回もるみさん親子を拾っている時期もありました。
「ゆりこちゃんの車で通うのが楽しくて、さながバス嫌がるようになっちゃってさ~」
るみさんは冗談めかして言いますが、私は少しずつ、胸の奥がチリッと焼けるような違和感を覚え始めていました。
ガソリン代は、まあ、ついでだからいい。手間も、寄るだけだからいい。でも、当然のように家の前で待っている彼女たちの姿を見るたびに、「なんだか無料のタクシーみたい」という思いがたまっていったのです。 ※1
ほぼ毎日の送迎にモヤモヤ…
主人公・ゆりこは、運転が好きで、毎朝娘とドライブ気分で幼稚園へ向かうが楽しみの一つでした。ところが、この平穏な朝に、割り込んできた親子がいます。
一度ならまだしも、ほぼ毎日のように頼むなんて、図々しいですよね…。
なぜか、断った私が「悪者扱い」
そんなある日の朝のことです。サキが奇跡的に早く準備を終え「ママ、早く行こう!」と私を急かしました。 早めに登園すると園庭で遊んで朝の会を待てるらしく、早く遊びたい様子です。
「そうだね、今日は早く行こうか」
私はいつもより15分早く家を出ました。るみさんの家の前を通ったときは、まだ彼女たちは外に出ていませんでした。連絡も来ていなかったので、そのまま通り過ぎて園に向かったのです。
無事にサキを送り届け、ホッとしてスマホを見ると、るみさんからLINEが入っていました。
「ごめん!今日もお願いしていい?今、玄関出るとこ!」
送信時間は、私がちょうど幼稚園の駐車場に着いたころ。私は少し迷いましたが、正直に返しました。
「ごめん!今日はサキの支度が早く終わったから、もう幼稚園に送っちゃったの」
……返信が来ません。
私の感覚なら、こういうときは「そうなんだ、急にごめんね」「わかった!勝手なこと言ってごめん~」などの言葉が返ってくるはず。でも、画面には「既読」がついたまま、1時間、2時間が過ぎていきました。 ※2
娘を幼稚園へ送り届けた直後、今日も「相乗り」依頼の連絡が届きます。そこで、今日は送迎できないことを正直に伝えたところ、返事がありません。
このあと、お迎えのときに るみと遭遇しますが、そっけない態度を取られてしまったのです。ゆりこは悪くないのに、納得できませんね。
その後、ゆりこは夫に るみとの関係について相談します。
夫に指摘され、ハッとしたこと
大介は真剣な表情で私に言いました。
「ゆりこ、そのママ友との関係、今のままじゃ絶対壊れるぞ。っていうか、もう半分壊れかけてるだろ?君がビクビクしてる時点でさ」
「でも、サキとさなちゃんは仲良しだし、卒園まであと3年もあるんだよ?気まずくなるのは怖くて……」
「気まずくなるのを恐れて、ずっとタクシーを続けるつもり?それにさ……一番大事なことを忘れてない?」
大介が指差したのは、リビングに置いてあった育児雑誌でした。
「チャイルドシートだよ。るみさんの子ども、乗せるときどうしてる?」
私はハッとしました。
「……あ。さなちゃんは後部座席に普通に座らせて、るみさんが隣で支えてるだけで……」
「おいおい、それマジかよ。近場だからって甘く見すぎ」
大介の声が少し強くなりました。
「もし万が一、もらい事故でも起きたらどうするつもり?チャイルドシートなしだとリスクが高すぎる。ママ友と気まずいなんてぬるい話じゃ済まないよ」 ※3
ゆりこは今まで、「ついでだから」と自分に言い聞かせ、るみとのママ友関係を保っていました。ですが夫に指摘され、チャイルドシート未設置のリスクに気づきます。「近場だから」と、油断していました。
このあと、ゆりこはチャイルドシートの件を るみに伝えます。すると、るみにも誠意が伝わったようで、今まで甘えすぎていたことを反省するような返信が届いたのです。今回のできごとがきっかけで、ゆりことるみは本当の友だちとして絆を深めます。
ママ友に指摘するのは、勇気がいりますね。ですが、命に関わることに対して、無責任なことはできません。ていねいに伝えることで、こちらの真意がきちんと相手に届くものですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










