🔴【第1話から読む】「親の貢献度が全て」女王が支配する"スポ少地獄"。標的にされた親子の悲劇
練習後、スポ少チーム内の絶対女王・秋乃に呼び出された春子。「専業主婦」というだけで、ムチャな要求をする秋乃を前に春子は…。
女王からのお呼び出し
6年生の小学校卒業が近づくにつれ、チーム内は「代替わり」の話題で持ちきりになっていた。
「次期会長」に内定している秋乃さんの権力は、もはや絶対的なものとなり、彼女の周囲を固めるママたちのわらい声も、以前より一層、高くひびくようになっていた。
ある日の練習終了後、秋乃さんに指先で手招きされた。
「春子さん!大事な話があるから…こっちに来て」
声を聞いただけで、背筋にいやな汗が伝わる。つれて行かれたのは、バックネットのウラ。周囲にはだれもいない。
「あらためて確認するけど、あなた今は専業主婦よね?」
秋乃さんは冷笑をうかべ、胸の前でウデを組んだ。
「専業主婦」というだけで…
「来期から、5年生以下の遠征や練習試合の送迎、あなたが全員分担当して。私の車や他のママたちの車を使うのはなしね。自分で手配して、子どもたちをはこぶのよ」
思わず、耳をうたがう。
(全員分の送迎? 一学年だけで10人以上いるのに?)
「……え、私の車は軽自動車です。全員分を一人で…というのは、物理的に不可能です。ガソリン代や高速代だって…」
「専業主婦なんだから。時間はたっぷりあるでしょ? 何往復でもすればいいじゃない。他のママたちは共ばたらきで、週末だって家事や仕事でいそがしいのよ。社会に貢献していないあなたが、チームのために汗をかくのは当然の義務じゃないの?」
「専業主婦」へのあきらかな蔑視。私は奥歯をかみしめた。
「それは…送迎は協力し合うのが原則のはずですよね……」
秋乃さんは一歩近づき、私の顔をのぞき込みました。
家族をバカにされて…ゆるせない!
「ご主人の稼ぎがわるいから、送迎車も用意できないってこと?」
「は…?」
「40歳過ぎて、軽自動車しか買えないような経済力しかないの?野球をつづけるなら、ファミリーワゴンを買えるくらいじゃないとキツいでしょ。道具代だってバカにならないし。夢見させる前に、桃太くん…野球やめた方がいいんじゃない?」
夫の仕事や家族の経済状況まで引き合いに出され、怒りでふるえる。思わず、反論しかけたが、脳裏には秋乃さんに逆らったせいで、練習試合から外された別のママの子どもの顔がうかんだ。
(桃太の居場所をうばわれる)
その恐怖が、ノドまで出かかった反論を引っ込めた。
「……できる限りのことは、考えてみます」
秋乃さんは、勝利を確信したような足取りで、暗がりの向こうへと去っていった。私はその場に立ち尽くし、つめたい夜風の中で、自分の無力さに打ちふるえていた。
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あとがき:あきらかな専業主婦への蔑視
秋乃の横暴さには、おどろかされるばかりです。「専業主婦」へのあきらかな蔑視や、他の家庭の経済事情まで引き合いに出すのは、度が過ぎているのではないでしょうか。
子どもの笑顔を守るため、屈辱ともいうべき思いを飲み込んだ、春子…。親としてのわが子への深い愛情と強さにエールをおくりたくなりますね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










