🔴【第1話から読む】「親の貢献度が全て」女王が支配する"スポ少地獄"。標的にされた親子の悲劇
秋乃の横暴さに耐えかね、コーチに相談しにいった春子。しかし、コーチの返答はどうもたよりなくて…。
「女王」の存在に怯えるコーチ
翌週、練習前にコーチに相談を持ちかけた。
「来期からの送迎の件なのですが…。高学年の子どもたちも体力がありますし、自転車で通うことにしませんか? 保護者への負担がおもすぎると、入団を希望する人もへってしまうのではないかと思って…」
コーチは私の言葉を聞くと、あからさまに視線をおよがせました。
「…以前、うちのチームで交通事故があったんですよ。自転車で通っていた子が、交差点でトラックと接触して…。それ以来、"保護者による車送迎"が絶対条件になったんです。こればかりは…私としても保護者会の方針をムシするわけには…」
コーチの視線は、他のママたちを指揮している、秋乃さんの背中を追っている。彼もまた、秋乃さんのきげんを損ねることをおそれているのだと、はっきり分かった。
指導者としての信念よりも、保護者会の実権を握る彼女との、「円満な関係」を優先している。その姿を見て、私の中で何かがぷつりと切れる音がした。
ムリなスケジュールになやまされる日々
結局、私は「5年生以下・全送迎担当」として、保護者会の名簿に記載されてしまった。
週末が近づくたび、動悸がはげしくなった。金曜日の夜は、翌朝のムリなスケジュールをシミュレーションしては、ひや汗をかいて飛び起きる日々…。
「お母さん…最近、元気ないね」
桃太が心配そうに聞いてくるたび、私は「そんなことないよ、大丈夫」と、力なくほほえむのがせいいっぱいだった。
しかし、そんなムリは長つづきするはずもなく、ほどなくして体は悲鳴をあげた。
ある土曜日の朝。目覚めると、頭がわれるような痛みと、経験したことのないほどの悪寒におそわれた。体温計をワキにはさむと、表示されたのは「39.2度」という数字。
ついに体調不良へ…
「お母さん!? 顔がまっかだよ!」
桃太が悲鳴に近い声を上げました。
「桃太…今日はどうしても……起き上がれそうにないの。お父さんも出張でいないし……今日の練習、お休みさせてもらえるかな」
「いいよ!お母さん、寝てなきゃダメだよ!今日は一人で歩いて行くから。秋乃おばちゃんにも、ぼくからちゃんと理由を話してくるよ」
桃太の健気な言葉に、私は枕をぬらした。
(こんなにいい子が…身勝手な大人たちのために気をつかっている)
申し訳なさと、「秋乃さんから何を言われるか」という恐怖で、胸がふがりそうになった。その時、枕元に置いていたスマートフォンが、ケモノのうなり声のような不気味なバイブレーションをひびかせた。
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あとがき:限界がおとずれた瞬間
ムリな送迎スケジュールになやまされ、ついに限界を迎えた春子…。そんな春子を心配する桃太や春子の心中を思うと、胸がいたみますね。
こうしたムリ難題は、春子をつぶすための、「秋乃の策略」だったようにも思えます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










