🔴【第1話から読む】仕送り2万円は当たり前?夫の口座から毎月消えるお金
義母を呼び出し、仕送り停止を告げる夫婦。苦労話を盾に猛反発する義母に対し、紗枝は「今後一切のお祝い事もなしにする」という極端な条件を提示。見栄と現金を天秤にかけられた義母は、渋々矛を収めることに。
仕送りを辞めることを義母に伝える
数日後、衛は義母を近くの喫茶店に呼び出しました。私も空を連れて同席しました。
「話って何? 改まって」
義母は相変わらず明るい声で、空の手を握ろうとします。
「お袋、仕送りのことなんだけどさ。一旦、やめようと思うんだ」
衛が切り出すと、義母の動きがピタッと止まりました。
「……え? どういうこと? 2万円でいいって、あんたが言ったじゃない」
「そうだけど、空も大きくなってきたし、これからもっと金がかかる。紗枝の両親にもいろいろ助けてもらってる中で、お袋にだけ仕送りを続けるのはバランスが悪いんだよ。それに、お袋まだ働いてるし、趣味も楽しんでるだろ? 生活に困ってるわけじゃないよな」
減額を提案してくる義母
義母の顔が、目に見えて険しくなりました。
「失礼ね。私はね、あんたを一人で育てるために、若いころはずっと我慢してきたのよ。自分の服一枚買うのも惜しんで。今やっと自分の時間が持てるようになったのに、息子からのたった2万円の感謝も受け取っちゃいけないの?」
「お母さん、感謝していないわけではないんです」
私は努めて冷静に言いました。
「でも、仕送りはお互いの生活が成り立った上での善意です。今の私たちは、自分たちの将来を削ってまでお母さんの趣味を支える余裕はありません」
「趣味って……ひどいわね。あれが私の生きがいなのよ! 紗枝さん、あなたには分からないでしょうけど、一人で子どもを育てるのがどれだけ大変か……」
そこから義母の「苦労話」が始まりました。いかに自分が大変だったか、いかに衛を立派に育てたか。それを盾にすれば、何でも許されると思っているようでした。
「分かったわよ。じゃあ、減額でいいわ。1万円……せめて5千円でも。それくらいなら、子どもの教育費に響かないでしょう?」
義母の言葉に、私は愕然としました。金額の問題じゃない。たとえ1円でも、「子どもの家庭からむしり取ってでも自分の自由な金が欲しい」というその執着心が、あまりにも怖かったのです。
お金のやり取りをなしにするという、名案
「お母さん」
私は真っ直ぐに義母の目を見ました。
「提案があります。これからは、毎月の仕送りは一切なしにします。その代わり、お母さんからの誕生日プレゼント、空へのお年玉、入学祝い、その他の一切のお祝い事もなしにしましょう」
義母は目を見開きました。
「……え?」
「お互いに、お金のやりとりをゼロにするんです。お母さんは自分の稼いだお金をすべて自分のために使ってください。私たちは、自分たちのお金を空のために使います。もちろん、母の日や誕生日に食事に誘うとか、そういう『心』の交流は続けます。でも、義務的な現金移動はやめませんか?」
「そんな……お祝いもあげないなんて、おばあちゃんとして恥ずかしいじゃない」
「見栄を張るためのお金なら、いらないんです。それよりも、笑顔で空に会いに来てくれるだけで十分です」
義母は渋い顔をして黙り込みました。自分に入る2万円がなくなることと、世間体が秤にかけられているようでした。しかし、衛が「俺も、紗枝と同じ考えだ」と力強く言ってくれたことが決定打となりました。
「……勝手になさい。もう知らないわ」
義母はそう言い捨てて席を立ちましたが、その足取りにはどこか、諦めの色が混じっていました。
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あとがき:「苦労」を免罪符にさせない強さ
「昔苦労したんだから今楽をさせろ」という義母の論理に対し、紗枝が放った「お祝いもなし」というカウンターは鮮やかでした。金銭的援助を断つだけでなく、義母が大切にしていた「外面(世間体)」を突くことで、依存の連鎖を断ち切る。相手の土俵に乗らず、毅然と「自分たちの守るべきもの」を主張する姿は、同じ悩みを持つ多くの女性にカタルシスを与えてくれます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










