🔴【第1話から読む】男手ひとつで育ててくれた父。誕生日を祝いたいのに夫が非協力的で...
夫の不遜な態度に、ついに怒りの声をあげた父。夫はそんな父に対し挑発をするようなことを言い、両者の言い合いはヒートアップしてしまいます。
怒る父と譲らない夫
父がこれほど激昂した姿を、私は今まで一度も見たことがありませんでした。
母を亡くした時でさえ、私に寂しい思いをさせまいと優しく微笑んでいた父が、震える拳を握りしめて拓也の前に立ちはだかりました。
その気迫に、廊下の空気は凍りついたようでした。
「お義父さん、どいてください。もう俺、ここにいたくないんで。由真の小言を聞くのはこりごりですよ」
拓也は反抗的な態度を崩さず、父を突き放そうとしました。しかし、父は一歩も引きませんでした。
「拓也くん、君はいつもそうやって、何かあればすぐに背を向けて逃げ出すのか。話し合いもせず、家族を放り出し、それが一家の主のすることか!」
「……家族の問題に、外野が口を出さないでくださいよ。俺たちのやり方があるんです」
「外野だと?私の娘と孫の問題だ!由真がどれだけ苦労して、一人で不安を抱えて家庭を支えているか、君には見えていないのか。父親としての自覚はどこにある!親としての責任はどうした!」
父の真っ当な言葉に、拓也の顔がプライドを傷つけられたかのように怒りで歪みました。
「自覚?はっ、笑わせないでくださいよ。あんたみたいに、古い価値観でただ定年まで勤め上げて、今は貯金で老後をのんびり楽しんでるだけの老いぼれに、俺の今の苦労がわかるわけないだろ!」
「……なんだと」
「あんたは金を出して恩を着せてるつもりかもしれないけど、こっちはその分、気を遣ってんだよ。今の時代、男がどれだけプレッシャーの中で生きてるか、あんたたちの時代とは違うんだ。偉そうに説教垂れるな!」
拓也の暴言に、私は耳を疑いました。父がどれほどの思いで私たちを支えてくれていたか、慣れない節約をしてまで私たちの新居を助けてくれたこと。彼は何も理解しておらず、それどころか父の厚意を「負担」と切り捨てたのです。
二人の距離が急速に縮まりました。逆上した拓也が父の胸ぐらをつかみ、父も負けじと拓也の腕を掴み返します。
「いつも勝手な理由で家出をして、由真を不安にさせ、子どもたちを放っておいて……それが君の言う『苦労』か!君が守るべきものは自分のプライドか、それとも家族か!」
「うるせえ!離せよ!あんたに俺の何が分かるんだよ!」
揉み合う二人の姿に、リビングは修羅場と化しました。父の眼鏡が少しずれ、拓也の荒い息遣いが響きます。
夫、修羅場から逃走
「うわああああん!」
その光景に恐怖を感じたのか、優希が泣き出しました。勉強道具を床に落とし、私の足にしがみついて震えています。将希も、パパとじいじの異様な雰囲気に圧倒され、火がついたように泣き叫んでいます。
「やめて!二人ともやめて!」
私は子どもたちを必死に抱き寄せながら叫びました。 拓也はハッと我に返ったように手を放しましたが、その目はまだ濁った怒りに燃えていました。
「……もういい。本当に帰る。お義父さん、もうあんたの顔も見たくない。二度と来るかよ」
拓也は吐き捨てるように言うと、泣き叫ぶ子どもたちの声を振り切るようにして、玄関のドアを乱暴に閉めて出て行きました。外からは車のエンジン音が激しく響き、すぐに遠ざかっていきました。
静まり返ったリビングに、子どもたちの泣き声だけが残酷に響いていました。 父は肩で息をしながら、力なく椅子に座り込みました。
「……ごめん。由真、ごめんな……。せっかくきてくれたのになぁ、優希も将希も……」
父の声は、先ほどまでの勢いが嘘のように、ひどく掠れて弱々しいものでした。
私は泣きじゃくる優希と将希を必死になだめながら、ただ呆然と立ち尽くしていました。 あんなに身勝手な言い分を並べ立てた拓也への怒りと、私たちを守ろうとしてくれた父への申し訳なさ。そして、この先の不透明な生活への不安が、黒い霧のように私を包み込んでいきました。
🔴【続きを読む】大げんかの翌日、家の前に立っていたのはまさかの...
あとがき:敬意を持ち合わせていない夫
まさか夫があそこまで礼儀知らずとは、驚きですね。父の怒りはもっともですし、それでも主人公に対し気遣いを見せる様子に切なくなってしまいます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










