🔴【第1話から読む】DV夫の支配から逃れたい!夫からの搾取の始まり
美鈴が両親に相談すると、両家の話し合いにまで事態は発展しました。自分が正しいと信じて疑わない夫のために、美鈴はある「反撃の種」を持って臨みます。
集まった両家と夫の主張
両親はもちろん大激怒で、離婚の話を進めろと言いました。なので私は両家を巻き込んで、離婚の話し合いをしたいと龍也に伝えたのです。龍也さんはさぞ私をこきおろす自信があるのか、嬉しそうに承諾しました。
話し合いの日。私の実家のリビングには、張り詰めた空気が漂っていました。
私の両親、そして龍也さんのご両親。六人の大人が一堂に会したその場で、龍也さんは待ってましたと言わんばかりに、被害者面をして私の「不祥事」をまくし立てました。彼は、自分がいかに寛大で、私がいかに背徳的であるかを、身振り手振りを交えて熱弁したのです。
「父さん、母さん。信じられないかもしれませんが、美鈴はメールレディなんていう、ふしだらな仕事を隠れてしていたんです。僕を裏切って、男たちと卑猥な連絡を取っていた。僕は騙されていたんです。こんな女と一緒にいるのは苦痛でしかないし、僕のプライドはズタズタです! お金を渡していなかったのは今後の貯金のためなのだから……まるで僕が悪いかのように言われますが、僕はただ、真面目に家庭を守ろうとしていただけなんです!」
私の両親は驚き、顔を見合わせました。義父母もまた、ショックを受けたように沈黙しています。龍也さんはその沈黙を「自分の勝利」と勘違いしたのでしょう。さらに得意げに続けました。
「だから僕は、誠意を見せろと言ったんです。これほどの屈辱を受けたんだから、せめて家の一軒くらい用意するのが、嫁の親としての務めじゃないですか? 」
義父の顔が、怒りで赤黒く染まっていくのが分かりました。しかしどうやら、浮かれきっている龍也さんはそのことに気づかないようです。
龍也さんの主張が終わったのを見計らい、私は鞄から一台のICレコーダーを取り出し、テーブルの中央に置きました。「何だそれは」と訝しげな顔をする龍也を無視して、再生ボタンを押しました。
『お前は俺の所有物なんだよ! 道具が文句言うな!嫁は大人しくご主人様に従えよ!』
『痛い? 知るかよ。掃除ができてねえから教えてやってるんだ! お前の体なんてどうなったっていいんだよ!』
リビングに、龍也さんの生々しい罵声と、鈍い衝撃音、そして私の消え入るような泣き声が響き渡りました。録音は、私が万が一のためにと半年以上前から隠して録り溜めていたものです。音声が流れる中、私の母は口を抑えて涙を流し、父は拳を震わせて龍也を睨みつけました。しかし、当の龍也さんは反省するどころか、開き直った態度で鼻を鳴らしました。
夫の慢心と意外な助太刀
「……それがどうした。録音なんて陰湿な真似しやがって。嫁なんだから、夫の所有物なんだから、多少のしつけが必要なのは当然だろう。教育の一環だよ! それを棚に上げて、こいつが不特定多数の男と連絡を取っていたことの方が、道徳的に大問題だろうが! 社会人として、どっちが悪質か考えてみろよ!」
その時、沈黙を貫いていた義父が、爆発した火山のように立ち上がりました。
「いい加減にしろ、この大馬鹿者が!」
義父の怒号とともに、龍也の頬に乾いた音が響きました。義父は龍也を力いっぱい張り飛ばしたのです。椅子から転げ落ちる龍也を、義父は冷徹なまでの怒りで見下ろしました。
「嫁が所有物だと? お前、誰にそんな腐った考えを教わった! 俺がお前の母さんを一度でも殴るのを見たことがあるか? 夫婦は、お互いを尊重し、助け合うものだ。美鈴さんがそんな仕事を選ばざるを得なかったのは、お前の身勝手な支配と、結婚前の嘘、そして経済力のなさが原因じゃないか! それを恥じるどころか、親に家を買わせるだと? 恥を知れ! お前は俺の息子じゃない、ただの怪物だ!」
義母は泣き崩れ、私の手を握りしめて何度も何度も謝りました。
「美鈴さん、ごめんなさい……。どうしてこんな子になってしまったのか……どこか間違えてたのかしら……こんな思いをさせていたなんて、本当に申し訳ない……私たちが守ってあげられなくて……」
義父は毅然とした態度で私に告げました。
「美鈴さん、もう十分だ。こんな救いようのない男、今すぐ見捨てていい。離婚の手続きはすべてこちらでも協力する。どんな償いもさせる。君のこれからの人生を、どうか取り戻してほしい。弁護士費用も、すべて我が家で持たせてもらう」
龍也さんは、頬を押さえながら地面にへたり込み、まだ何が起きたのか理解できないという顔で立ち尽くしていました。自分が被害者で、私が悪者だというシナリオが、実の父親によって完膚なきまでに叩き壊されたことが、彼には受け入れられないようでした。
私はその日、必要最低限の荷物だけを抱え、両親と共に実家へと帰りました。
背後で龍也が「待ってくれ、美鈴!」と情けない声を出すのが聞こえましたが、一度も振り返ることはありませんでした。
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あとがき:意外にまともな人たち
夫の両親がまともだったのが救いでしたね。しかしそれならそれで、どうして夫はああなってしまったのでしょうか。
無事勝利した美鈴の行先が気になります。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










