🔴【第1話から読む】「男子にたたかれるの」娘の行きしぶりが始まった日
無事娘への嫌がらせが解決して一安心した櫻子。しかし、嫌がらせを結果的に助長していた担任の先生の処遇は一体どうなったのでしょうか?
担任の先生の処遇
季節は巡り、夏休みが明けました。学校には、大きな変化の風が吹いていました。
あの担任の先生は、年度の途中で「自己都合による退職」という形で学校を去りました。教頭先生の話によれば、今回の件が引き金となり、彼女自身の適性を含めた厳しい査定が行われた結果だそうです。
代わりに赴任してきたのは、五十代後半の、ベテランの女性教師でした。
「白崎さん、初めまして。新しい担任の佐藤です。これまでの経緯は、教頭および警察の記録も含め、すべて詳細に引き継いでおります。桃乃さんが、再びこの教室を『楽しい場所』だと思えるよう、私が責任を持って見守らせていただきますね」
佐藤先生のその手は、温かく、そして力強く私の手を握ってくれました。その瞬間、私はようやく、本当の意味で戦いが終わったのだと実感しました。
新しい先生は、休み時間のたびに教室を回り、特定の子供が孤立していないか、不自然な上下関係が生まれていないかを、鋭くも温かい目で見守ってくれました。
ある日、桃乃が学校から帰ってくるなり、満面の笑みで報告してくれました。
「ママ! 今日の図工の時間ね、佐藤先生が桃乃の絵をすごく褒めてくれたの。そしたらね、悠斗くんが隣に来て、『……それ、いい色だね』って言ったんだよ」
「そうなの? それで、桃乃はどうしたの?」
「うん。『ありがとう』って言った。悠斗くん、なんだか前よりずっと優しくなった気がする」
もちろん、三ヶ月間の恐怖がすぐに消えるわけではありません。桃乃が心の底から彼を許すには、まだ長い時間が必要でしょう。それでも、暴力が支配する教室から、言葉が通じ合う教室へと変わった。その事実が、私には何よりも救いでした。
大事なのは、たった一歩の勇気
振り返ってみれば、あの時「大げさだ」と言われても、警察に足を運んだ自分の判断は間違っていなかったと確信しています。
学校という組織は、時に内部の論理で動けなくなることがあります。親が世間体や先生への遠慮を理由に声を上げるのをやめてしまったら、逃げ場のない子供は誰に助けを求めればよいのでしょうか。
夕暮れ時、私は校門の前で桃乃を待っていました。
もう、かつてのような「監視」のための送り迎えではありません。ただ、今日一日あった出来事を、帰り道で楽しく話すための時間です。
「ママ!」
ランドセルを揺らしながら、桃乃が走ってきます。その背後では、黒田裕子さんが悠斗くんの手を引いて、ゆっくりと歩いてくる姿が見えました。彼女は私に気づくと、小さく、しかし深く一礼をしました。
「おかえり、桃乃。今日はどんな一日だった?」
「最高の一日だったよ!」
娘の小さな手を握りしめると、温かい体温が伝わってきました。
親としてできることは、決して多くはありません。けれど、この小さな手が不当な暴力にさらされるとき、命がけでそれを振り払う盾になること。それだけは、何があっても忘れないでおこうと誓いました。
空には、澄み渡った秋の雲が広がっていました。
私たちは、一歩ずつ、確かな足取りで家路へと向かいました。その道には、もう、あの鋭い石ころは一つも落ちていませんでした。
あとがき:その勇気がみんなを救う
素敵な新しい担任の先生がやってきて、これですべてがうまくまとまりましたね。
「学校に行きたくない」と言っていた娘が「学校の1日が最高だった」と言えるようになったのは、櫻子の頑張りのおかげと言えるでしょう。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










