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「帰りたい」その一言で、夫婦はもう一度向き合えた|夫が家出した話

夫婦喧嘩をきっかけに家を出ていった夫・恒一。離婚の意思を示し続けていたものの、少しずつやり取りを重ねる中で、夫婦の距離にも変化が生まれていきます。そしてついに、里奈はある言葉を伝えることを決意して...「夫が家出した話」最終話をごらんください。

🔴【第1話から読む】夫が突然家出…届いたのは離婚届でした

夫・恒一の家出から2週間。離婚の意思を示し続ける恒一に対し、里奈は過去を振り返る中で自分の至らなさと向き合い、「話がしたい」とメッセージを送る。少しずつやり取りを重ねる中で、夫婦の距離にも変化が生まれ始めるが...。

少しずつ近づいていった距離

スマホ 女性 微笑み PIXTA

恒一が家を出てから、時間だけは静かに過ぎていった。
相変わらず、一緒に暮らすことはできていない。

けれど、不思議なことに完全に途切れることもなかった。
メッセージのやり取りは、細々と続いていた。

最初は、事務的な連絡ばかりだった。
必要最低限の言葉だけを交わすような距離感。
それが少しずつ、変わっていった。

《悠斗、今日こんなことがあってね》

そんな他愛もない話を送ると、短くても返信が来るようになった。
やがて、通話をするようになった。
最初はぎこちなかった会話も、少しずつ、以前のような空気を取り戻していく。

笑い合うことはまだ少ない。
それでも、「怖い」という感情は、確実に薄れていった。

そしてある日。恒一からのメッセージに、変化があった。

《離婚は、しない》

その一文を見たとき、思わず息を止めた。
画面を見つめたまま、しばらく動けない。

「……よかった……」

小さく呟いた声は、思っていたよりも震えていた。

「帰ってきて」と伝えるまで

スマホ 女性 PIXTA

それから、少しずつ距離が近づいていった。
お互いに、少しずつ言葉を選びながら。
でも、前よりもずっと素直に。

そんなある日、私はメッセージを打ちながら、手を止めた。
ずっと迷っていた言葉。
送っていいのか、何度も考えてきた言葉。
でも今なら、言える気がした。

私は深呼吸をしてから、打ち込む。

《恒一。とにかく、まずは家に帰ってきて》

送信ボタンを押したあと、胸がぎゅっと締めつけられる。
既読は、すぐについた。
けれど、返信は来なかった。

そのまま、1日、2日、3日……。
時間だけが過ぎていく。

「やっぱり……ダメだったのかな……」

不安が、じわじわと広がっていく。
言わなければよかったのかもしれない。まだ早かったのかもしれない。
そんな後悔が、頭をよぎる。

そして、四日目の夜。
ようやく、通知が鳴った。

《帰りたい》

たったそれだけの言葉。
でも、それだけで十分だった。

もう一度、向き合うために

カフェ 夫婦 PIXTA

数日後、私たちはカフェで待ち合わせをした。
向かい合って座るのは、久しぶりだった。

「……久しぶり」

「うん……」

ぎこちない会話。
視線を合わせることすら、少しだけ勇気がいる。
それでも、逃げずに向き合うと決めた。

しばらく沈黙が続いたあと、先に口を開いたのは、恒一だった。

「……ごめん」

その一言に、胸が締めつけられる。

「俺、このままだとダメになると思って……。だから、離れた方がいいって思った」

ゆっくりと、言葉を選びながら話す恒一。

「でも……それで、全部終わらせるのも違うって思ってた」

私は、黙ってその言葉を聞いていた。
そして、今度は私の番だった。

「……私も、ごめん」

自然と、言葉が出ていた。

「余裕なくて、ずっとイライラしてて……。ちゃんと頼ることもできなくて、全部ぶつけちゃってた」

言いながら、胸の奥がじんと熱くなる。

「本当は、一緒に頑張りたかっただけなのに」

その言葉に、恒一が小さく頷いた。

「……俺も、ちゃんと向き合えてなかった」

お互いの言葉が、少しずつ重なっていく。
責めるためじゃなく、理解するための会話。
こんなふうに話したのは、いつぶりだろう。

カフェを出て、車まで歩く。
並んで歩く2人の距離は、まだ少しだけぎこちない。

「……帰ろう。早く帰りたい」

恒一のその一言に、私は静かに頷いた。

「うん」

短い返事。
でも、その中にはたくさんの気持ちが詰まっていた。

家に着いて玄関前に立ったとき、ほんの少しだけ緊張が走る。
でも今度は、迷わなかった。

鍵を開け、ドアを開ける。
その隣に、恒一がいる。
それだけで、胸の奥がじんわりと温かくなる。

あの日から、すべてが元通りになったわけじゃない。
むしろ、変わったことの方が多い。

お互いに、完璧じゃないこと。
余裕がなくなることもあること。
それを、ちゃんと認めるようになった。

だからこそ、無理をしすぎないように。
ひとりで抱え込まないように。
少しずつ、言葉にするようになった。

「ちょっと疲れてる」
「少し手伝ってほしい」

たったそれだけのことだけど、
それができるようになったことが、大きかった。

あのとき、壊れかけた私たちは、完全に元に戻ったわけじゃない。
でも、あのときよりも、少しだけ強くなれた気がする。

隣にいる人と、ちゃんと向き合うこと。
それを、これからも続けていくために、私はそっと息をついた。

あとがき:夫婦の距離は、変えながら守っていくもの

すれ違いの中で一度は離れる選択をした夫婦が、再び向き合うまでの過程を描いた本作。
大きなきっかけではなく、日々の小さな言葉や選択が関係を変えていく様子を通して、「一緒にいること」の意味を見つめ直しました。

完璧ではないからこそ支え合うこと、そして距離を取ることも時に必要であること。夫婦のかたちはひとつではないと感じていただけたら幸いです。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。

🔴【全話読む】夫が家出した話

🔴【今読まれています】ワンオペで間違いなく1番つらいこと…|すべてが嫌になって家出した話

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