🔴【第1話から読む】「ママ…」息子のゲームソフトが消えた→直前に遊びにきた“新しい友達”の異変|友達のものを盗む子
家に謝罪にやってきたお友達ですが、息子はそんなお友達とこれからどう接していくのか。その悩みにぶち当たってしまいますが…。
子ども相手でも、伝えなければならないこと
「本当に申し訳ありませんでした。警察への届け出も、覚悟しています。私たちが甘かったんです」
白井さんは玄関のタイルに膝をつかんばかりに、何度も何度も頭を下げました。その姿には、親としての責任と、自分を責める苦悶が滲み出ていました。金太くんはただ震えながら、白井さんの服の裾を握りしめていました。
「ソフトを返していただき、事実を認めてくださったので、今回は届け出るつもりはありません」
私の言葉に、白井さんはハッと顔を上げました。
「けれど、金太くん」
私は腰を落とし、金太くんの目をまっすぐに見据えました。彼は一瞬私を見ましたが、すぐに怖くなったのか視線を落としました。
「あなたがしたことは、悠也の宝物を盗んだだけじゃない。悠也があなたに向けていた『友達になりたい』っていう気持ちを、踏みにじったのよ。物は返せても、悲しい気持ちは簡単には治らないんだよ」
金太くんはしゃくり上げながら、何度も頷きました。
「それとね、しばらくあなたを悠也の部屋で遊ばせることはできません。仲直りして、また元通り、というわけにはいかないの」
私の言葉は冷たく響いたかもしれません。しかし、これが現実です。
白井さんも「ごもっともです」と、涙を拭いながら答えました。
彼女たちはその後、田中さんの家や、他の被害に遭ったと思われるお宅を1軒ずつ回るのだと言い、夜の闇へと消えていきました。
悲しいけれど大事な一歩
玄関のドアを閉めると、リビングのソファで悠也が丸まって座っていました。悠也は金太くんがソフトを持っていたと知り、本当に悲しい表情をしていました。
私は悠也の隣に座り、返ってきたソフトを渡しました。悠也はそれを手に取りましたが、すぐに遊び始めることはありませんでした。ただ、じっとソフトに貼られた自分の名前を見つめていたのです。
その後、悠也は金太くんと学校で話すことはなくなりました。金太くんはその後、カウンセリングを受けながら生活していると、後日桃子さんから聞きました。
「僕、金太くんのこと好きだったのにな」
ある夜、寝る前に悠也がぽつりと呟きました。
「うん、つらかったね」
「でも、僕のシールがあってよかったよ。ママありがとう」
まだ小学2年生の悠也には、あまりに重く、苦い教訓でした。けれど、人生にはこうした「悪意」との遭遇が避けられない時があります。大切なのは、それに屈せず、どう自分を律していくか。私は、少しだけ背中が大人びて見える悠也の寝顔を見つめながら、母親として、彼がこれから出会うであろう多くの「善意」を信じられる強さを持てるよう、祈らずにはいられませんでした。
あとがき:大事なものの守り方
小学生の子どもからすればあまりにもほろ苦い経験でしたね。しかしこうやって成長していくのを見ると、どうかこの先幸せになってほしいと願わずにはいられません。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










