由梨『余興メンバーから私は外れる。今回はメッセージ動画の参加にさせて』
亜紀「そんな…」
由梨からのメッセージを見て愕然とする。彼女が余興に対してモチベーションが低いのは感じていた。でも、叩き台となるムービーデータを用意すると自ら言ったし、最初の練習にも来てくれた。だから参加する意志はあると、思っていたのに。
しかし、由梨はデータを紛失した後のフォローもせず、合わせたはずの2回目の練習も行けないので余興自体をやめるといいだした。無責任な彼女の言動に苛立ちがたまる。
亜紀「私だって忙しい中、時間を作ってるのに…」
子育てや仕事の合間を縫って、やれるだけのことをしている。いくら彼女が私より多い人数の子育てをしていようとも、言い訳にはならない。だが、他人の生活の実態はわかりづらい。本当に日々苦労しているかもしれないと考えると、彼女に苛立つ自分にも腹が立った。
亜紀「何だか…疲れちゃった」
ぽつりと呟くと、ずどんと気持ちが重くなった。 ※1
突然、メンバーの不参加宣言
友人・まどかの結婚式で、4人でアカペラを披露する予定でした。ところが、土壇場でメンバーの1人・由梨が抜けると言い出したのです。たしかに、由梨は2児の母で、忙しい日々を送っています。ですがそれは、他のメンバーも同じこと。それぞれに生活があります。
とはいえ、由梨の本当の事情がわからないため、責めることはできません。「疲れた」と声に出してしまうと、気持ちも一緒に沈んでしまうものです…。
大好きな新婦からのメッセージ
由梨不参加の連絡を受け、葵も美香子も動揺した。3人でもアカペラができないわけではないが、また違った練習をしなくてはならない。次の練習をみっちりせねばと、気がつまる。
そんな中、今回の式の主役、まどかから余興の確認連絡が私に入った。
まどか『余興のほう、どうかな?データは今週末までにくださいって、式場から言われてて』
亜紀『大丈夫。私から式場に連絡しておくね』
なかなか進んでいないうえ、心の中では負担に思っていることなど知られたくない。何も知らないまどかが、無邪気なメッセージをくれた。
まどか『ありがとう。私も余興を受ける番になって、すごく楽しみ!みんなの歌声、楽しみにしてるね』
亜紀「まどか…」
そういえば、私も自分の結婚式でみんなに余興をしてもらったのだ。最初の結婚は由梨で、それから始まったアカペラサークルメンバーによる余興。自分もしてもらったのに、まどかの時だけ手を抜こうだなんて失礼だ。
亜紀『うん、楽しみにしてて!』
大切な友人のために、いい余興にしたい。素直な気持ちで、返信をした。 ※2
大好きな友人のために、「いい式にしたい」と思い、気持ちを立て直すことができました。
このあと、3人で集まり、何とか人前で披露できるレベルまで仕上げます。そして、集まったタイミングでサッとムービーを作り、提出を間に合わせることができました。そしていよいよ、結婚式の当日を迎えます…。
余興の成功と外れたメンバーからの謝罪
そして迎えた、結婚式当日。余興はみごと成功した。
私たち3人でのアカペラは会場を盛り上げ、大きな拍手を受ける。他メンバーからの動画メッセージにもまどかはよろこび、私たちも大満足だ。余興が終わると、会場の外で新郎新婦から感謝のプレゼントを渡された。
まどか「今日は本当にありがとう!最高だったよ」
新郎「素晴らしい歌をありがとうございます」
主役の2人からほめられ、うれしさと達成感を得る。いろいろあったけれど、今日という日を迎えられて本当によかった。
テーブルに戻ると、由梨が微妙な笑顔で私たちを迎えた。途中で余興メンバーから外れた彼女は、あらためて謝罪する。
由梨「メンバーを土壇場でやめてごめんね。無責任だった」
亜紀「ううん。由梨も少し、育児ノイローゼ気味だったんだってね。そこまでとは私も気づかなくて…ごめん」
余興メンバーから外れた由梨は、まどか本人にも連絡を入れていた。その際話した事情を、まどか経由で私たちも知った。 ※3
まずは結婚式の余興が無事に成功し、本当によかったですね。新郎新婦に喜んでもらうことができ、今までの苦労が報われましたね。
そして、途中でメンバーから外れた由梨にも、切羽詰まった事情がありました。夫が長期出張で、家ではワンオペ状態。追い詰められた由梨は、ウツ状態だったそうです。
それぞれの家庭がある中で、思い通りに時間を捻出できず、苦労することも。ですが、お互いにムリなく参加するためには、やはり事前の相談と連絡が必要ですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










