最近は、仕事についてずっとなやみっぱなしだ。そんな中、決定打となる現場に私は遭遇する。
「院長〜西川さん、また文句言ってたって?」
「そうなんだよ」
半開きとなった院長室のとびらから、山内さんと院長の声が聞こえた。
おどろいたのは、会話内容が私に関することだったからだ。
「大きな病院ではたらいてたからって、図にのってるのよ」
山内さんの辛辣な言葉に、思わず心臓が跳ねる。2人の会話内容は、あまりにも幼稚なものだった。
「まあ、仕事はできる子だからなあ…。ああ、でも、車通勤を条件にしたらコロっと態度が変わったよ」
「ま!あの子も卑しいわね~」
「最近のわかい子は、神経図太くてまいるよ」
「子どものためとか言って、扶養内でラクしたいだけよねえ、ああいう子って」
へらへらと笑いあう、院長と山内さん。その瞬間、私の中で何かが切れた。 ※1
自分の陰口を聞いてしまった瞬間
美奈は、ずっと働き方に悩んでいました。時給アップも車通勤も、院長から言い出したことです。ガマンしながら働いていましたが、ついに何かが切れてしまいました…。
ガマンの限界!条件よりも大切なこと
社会ではたらくうえで、がまんすべきことは、もちろんある。
だから、契約外の業務も渋々のんだし、強い引きとめを受けてなやんだりもした…。だが、人間である以上、「心」や「気持ち」も大切だ。
かげで一緒にはたらく職員を蔑む雇い主とお局がいる職場になんて、どれほど良い条件を提示されても、いたくない。
気づけば、私は院長室のとびらを開けていた。
「私、やっぱり退職します。本日付けでおねがいしますね」
「え、え、西川さん?」
「本日付けって…はあ?ちょっと、あなた、何を…」
それから、私の行動は早かった。
ずっと用意していた退職届を叩きつけ、職場の荷物を回収した。
(何をうじうじ悩んでいたのだろう。違和感を持った時から、こうすればよかったんだ)
クリニックの外に出ると、はれやかな太陽が出迎える。「よくがんばったね」と言ってくれているようだった。 ※2
信頼できない人たちと、これ以上一緒に働くことはできませんね。自ら信頼を崩してしまった院長とお局パートは、自業自得と言わざるを得ません。
その後、美奈の「即日退職」を皮切りに、不満を抱いていた人たちが一気に退職。クリニックの経営にも影響を及ぼすほどだそうです。ですが、美奈にはもう関係のないことです。
新しい職場で生き生きと
3か月後…私はあらたな職場にすっかりなれていた。
となり町のクリニックは、清潔ではたらきやすい…よい職場だ。
契約条件は面接時にたくさん質問をして確認していたが、実際ははたらいてみなければわからない。前の職場で、いやというほど身に沁みた。その教訓を胸に出勤したが、心配は杞憂だった。
医療事務で即戦力となる私を、職場の人たちも歓迎してくれ、いい仲間にめぐり合えた。
ここではたらく毎日はおだやかで、不安もない。
「西川さん、次の患者さんを呼んでください」
「はいっ」
しっかり声をかけあい、信頼を寄せることができる。
扶養内ではたらき、車通勤もできている。ようやく私は、「自分に合った職場」を見つけられたのだ。
山内さんにとっては、以前のクリニックが彼女にとっての「合う職場」だったのだろう。でもそれが、だれにでも当てはまるとは限らない。
私は、紆余曲折をへて出会えた今の職場で、「また、がんばろう」と誓った。 ※3
今の職場に不満を抱いていても、転職するのはエネルギーを使うものです。しかし、美奈は自分で動いたおかげで、働きやすい職場に出会うことができました。
美奈のように、一歩踏み出すことで、新しい世界が広がっているものですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










