生命保険(死亡保険)とは?医療保険とどう違う?
生命保険とは被保険者が万が一亡くなった場合の保障に備えるものです。人の生命に対して保険金が払われるため死亡保険ともよばれます。
被保険者が亡くなったときに、その人が家計を支えていたと考えるとさまざまな不安があります。残された家族の生活や、子供がいる家庭では今後の教育にかかる費用などに対する不安を和らげるために、死亡保険はあります。
一方の医療保険は、病気やけがによる入院・手術などに対し保障を行うという目的のものです。日本には健康保険の制度がありますが、公的な保障があっても入院などに伴う金銭的な負担は多少なりとも出てきます。
そうしたものを保険でカバーしようというのが医療保険の考え方であり、生命保険と医療保険ではその目的が違うのです。
死亡保険のおもな種類
死亡保険にはさまざまな種類があり、各保険会社で取り扱っている商品も数多くあります。また同じプランでも死亡の際に受け取る保険金の金額によって、保険料が設定されます。
ここでは死亡保険の主な種類について説明したいと思います。
終身保険
終身保険とは、名称のとおり一生涯かけ続ける死亡保険です。被保険者が亡くなるまで保障は続き、亡くなったときに死亡保険金を受け取るというものになります。
必ず保険金が受け取れることになるため、家族に確実にお金を残したいという人におすすめです。また独身の人や子供がいない夫婦であっても、葬儀費用などの準備のためには終身保険をかけておくと良いでしょう。
定期保険
定期保険は死亡保険の1つで、期間が決まっているものです。一定期間のうちに被保険者が亡くなった場合に死亡保険金が受け取れます。
期間中の受け取れる保険金が一定のもの、金額がだんだん減っていくもの・増えていくものなどの種類があります。このように子供の成長に合わせて保険金の金額を調整できるという点もメリットといえます。
収入保障保険
収入保障保険は保険金を年金形式で受け取るというものです。年金形式とは月払い、あるいは年払いということで、家計を支えていた夫などに万が一のことがあっても、収入が継続的にあるようにするための保障となります。
被保険者がいつ亡くなるかによって受け取れる保険金の総額が違うため、確実にいくら受け取りたいという希望がある人には不向きかもしれません。しかし一度に保険金を受け取ることに対する不安がある人にとってはおすすめのタイプといえます。
養老保険
養老保険は10年や20年など一定の期間かける死亡保険です。定期保険と同じく期間中に被保険者が亡くなったときに保険金を受け取りますが、満期になると満期保険金をもらえるため、保障と貯蓄を兼ね備えた保険といえます。
貯蓄性が高い分支払う保険料も高いものが多いというのがデメリットともいえます。収入に余裕があって貯蓄性のある保険を選びたいという人にはおすすめです。
死亡保険が必要な理由
死亡保険は不要といわれることもあります。その分貯蓄しておけば良いという考え方です。
死亡保険は保険の契約さえしていれば期間中にいつ万が一のことがあっても保険金を受け取れます。一方で貯蓄は、備えておくための現金を貯めておかなければいけません。
また貯蓄は死亡しなかった場合に自由に使うことができますが、満期保険金などのない死亡保険の場合は掛け捨てとなり、お金が戻ってくることはありません。
どちらを選ぶかは考え方にもよりますが、保険と貯蓄のメリット・デメリットを良く比較して検討しましょう。
生命保険の選び方
生命保険を選ぶポイントはいくつかありますが、その主なものは次のとおりです。
- 生命保険に入る目的
- 生命保険の種類
- 保険期間
- 保険金額
- 保険料払込期間
- 保険料の払い方
- 保険料の金額
まず一番大切なのは生命保険に加入する目的をはっきりさせるということです。家計を支える人が死亡した場合に備えるのか、病気やけがなどに備えるのか、という点です。
またその目的によって、保険の種類が変わります。同じ死亡に備える生命保険でも貯蓄性のあるなしによって終身・養老など種類が分かれます。さらに受け取る保険金額の希望、保険料の払込期間などもイメージしておきましょう。
保険にはすでに紹介した死亡保険・医療保険のほかに学資保険や介護保険などさまざまな種類があります。ライフステージや収入変化によって最適な保険は変わることが考えられますので、こまめな見直しが必要といえます。
掛け捨てと貯蓄型どちらが良い?
生命保険を選ぶ際に誰もが一度は悩む点が、掛け捨てと貯蓄型(積立タイプ)どちらが良いのかということです。
掛け捨てタイプの保険は支払う保険料が貯蓄型と比較して安くなります。しかし一般的には解約しても払ったお金は戻ってきません。
一方で貯蓄型では解約した場合に解約返戻金、満期を迎えたら満期保険金というようにもらえるお金があります。このように万が一のことがなかったときでも払ったお金が戻ってきますが、保険料は掛け捨てのものと比べて高くなるでしょう。
どちらが良いかは一概にはいえませんが、それぞれのメリットやデメリットを比較して加入する保険を決めることをおすすめします。
生命保険の見直し方
生命保険を見直すタイミングは、基本的にライフイベントがあったときです。主なライフイベントとして考えられるのは結婚・出産・退職・転職・離婚・子供の独立などで、特に結婚と出産については人生のマネープランが大きく変化します。
生命保険に加入していない人は、こうした機会に検討してみると良いでしょう。
またすでに加入している生命保険があるときも、ライフイベントに合わせて見直しをすると良いでしょう。保険の見直し方法には主に次のようなものがあります。
- 解約・乗り換え
- 特約の解約・減額
- 転換
- 払い済み
解約はそのまま現在加入している保険をやめること、乗り換えはその代わりに新しい保険に加入することをいいます。また特約の見直しなどを行うことで支払う保険料を少し安くできることもあります。
転換や払い済みは保険会社やその商品によってできない場合もあります。現在のライフステージや収入に合った保険にちゃんと加入できるかどうかを考えて見直しをしましょう。
保険見直しに迷ったらプロに相談する手も
複数の保険会社の商品を扱い、窓口での相談業務をメインとしている保険代理店、いわゆる保険ショップが多くあります。こうした相談窓口には、ほとんどの場合ファイナンシャルプランナーなどマネープランを相談するのに最適な専門家がいるでしょう。
保険ショップでは複数の保険会社の商品を扱っているため、さまざまな角度から保険を比較できます。また駅前やショッピングモールなどに店舗を構えていることも多いため、訪問しすいという点も人気の理由です。
保険の見直しをしたいけどどこから手を付けて良いか分からなという人は、こうしたプロの手を借りるのも良い方法です。
生命保険にかかわる税金
生命保険などで保険金を受け取ったとき、そのお金に対して税金がかかることがあります。例えば死亡保険であれば、被保険者が亡くなって遺族が死亡保険金を受け取ったときに相続税や贈与税、あるいは所得税の対象となります。
課税の対象となる可能税がある保険金には、次のようなものがあげられます。
- 死亡保険金
- 満期保険金
- 解約返戻金
- 生存給付金や祝金
- 個人年金
これらにどの税金がどのくらいかかるのかは、契約者と被保険者・受取人の関係性や金額によって変わってきます。原則として贈与税の対象となる場合に最も税金が高くなりやすいと覚えておくと良いでしょう。
一方、医療保険で受け取る入院や手術の給付金であったり、高度障害保険金や特定疾病給付金であったり、リビングニーズ特約による生前給付金などは非課税となります。
こうした保険金にかかる税金についても、契約のときに説明を受けておくと良いでしょう。
生命保険料控除とは
生命保険にかかる税金といえば、生命保険料控除を思い浮かべる人も多いかもしれません。生命保険料控除は年末調整や確定申告において計上するもので、生命保険を支払った分だけ所得から差し引いて税金がかからないようにするというものです。
生命保険料控除はその年に支払った保険料について控除の対象とすることができます。ただし控除額には上限があり、保険をたくさんかけていてもその分すべて生命保険料控除ができる訳ではありませんので注意が必要です。
死亡保険、医療保険はもちろん、学資保険や個人年金保険も生命保険料控除の対象になります。10月末から11月にかけて保険会社から年末調整書類に添付用のはがきが送られてきますので、忘れずに控除を申請するようにしましょう。
生命保険はしっかりと比較・検討してからの加入を
生命保険について概要を説明しました。特に死亡保険は家計を支える人に万が一のことがあったときに残された家族を守るために加入するものです。さまざまな種類があるためしっかりと比較・検討してから加入しましょう。
加入の前には保険に入る目的や期間・金額などを収入のバランスと合わせてイメージすることが重要です。またどの保障を最優先するかという優先順位もつけておくことをおすすめします。
掛け捨てと貯蓄型どちらが良いかということなども夫婦でしっかりと話し合っておきましょう。生命保険とそれに伴うお金に関する知識を得ておいて、最適な生命保険を選べるようにしましょう。