国民生活センターが注意喚起。子供から手が離れ始めた時期に起こる事故
2017年7月4日、国民生活センターがメールマガジン等で、子供が宅配ボックスに閉じ込められた事故についての注意を促しました。
事故は、子供同士で遊んでいる中で起こったものです。だんだんと親の手を離れて、自分たちだけで遊んでくれるようになる子供たち。親としては助かりますが、目を離したときにこそ起こってしまう事故もあるかもしれません。
今回は特に、手が離れ始めた3〜6歳の子供が事故にあったりけがをしたりしないために、ママはどんなことができるかを調べてみました。
知っておきたい子供の事故
国民生活センターが「見守り情報」として、情報を配信しているページがあります。高齢者や子供の事故・トラブルなどの報告があると、情報を公開し、注意を促すものです。
ここではその中から3〜6歳の事例を中心に、子供の事故についてまとめてみました。
1.宅配ボックスに閉じ込められた
友人とかくれんぼをしていて、マンションのエントランスに設置されている宅配ボックスに隠れた。その後、何らかの原因で宅配ボックスの鍵がかかり、出られなくなってしまった。
(当事者:7歳 男児) ※1
兄と自宅マンション内の宅配ボックスで遊んでおり、扉を閉めた際、自動的に鍵がかかってしまい出られなくなった。
(当事者:5歳 男児) ※2
マンション等の集合住宅には、宅配ボックスが設置されているところもあります。
子供は本当に大人の思いもよらない行動をすることがありますが、小さな体だからこそ、宅配ボックスのような狭いスペースに入ることができてしまうとも言えます。
宅配ボックスは人目に付きにくい場所に設置されていることがあり、また、自動で鍵のかかるようなものもあるため、閉じ込められてしまうと、誰にも気づかれないまま長時間放置されるおそれがあります。特に気温が高くなる夏場には、熱中症等の重大な事故につながる危険もあります。
子供には、日頃から事故の危険性を言い聞かせ、宅配ボックスで遊ばないよう注意しておく必要があります。
事故を防ぐポイント
- 人気のない所で遊ばないよう言い聞かせる
- 日頃から事故の危険性を教えるとともに、宅配ボックスで遊ばないよう注意しておく
2.ドラム式洗濯機に閉じ込められた
ドラム式洗濯機に7歳の男児が閉じ込められて死亡する事故が起きました。横向きにふたがついている「ドラム式洗濯機」は洗濯物の出し入れに便利な一方、子どもが自力でも簡単に中に入ることが出来ます。子どもは好奇心が旺盛で思わぬことをするので注意が必要です。 ※3
ドラム式洗濯機での事故は、これまでにもニュースなどでたびたび報道されています。死亡につながる事例も多く、特に気をつけたい事故です。
ドラム式洗濯機には、ふたが閉まると中から開けることができない機種があります。子供が勝手に洗濯槽に入ることができないように使っていないときも必ずふたを閉め、チャイルドロック機能等を利用して、簡単にふたを開けられないようにしておく必要があります。
また、注意が理解できる年齢の子供には、「ドラム式洗濯機の中に入ると息ができなくなるよ」など、具体的な言葉を使って、危険性を説明しておくことも大事です。
事故を防ぐポイント
- 子供が勝手に入らないよう、洗濯機を使っていないときには必ずふたを閉める
- チャイルドロック機能等を利用し、簡単にふたを開かないようにしておく
- チャイルドロックがない機種の場合は、市販のストッパーやゴムバンドをかける等の工夫をする
- 日頃から危険性を説明し、入ったり覗き込んだりしないよう注意しておく
3.自転車に足を巻き込まれるけが
父親が運転する自転車の荷台に娘が乗っているときに、後輪のスポークに左足がはまり込んでしまった。救急外来を受診し、左足の皮膚を縫合した。
(当事者:5歳 女児) ※4
幼稚園のお迎えの際に、息子を荷台に取り付けた幼児座席に乗せた。座席は足を乗せるところが取れていたが、子どもも大きくなっているので大丈夫だと思い、そのまま走行していたら、息子の左足が後輪に巻き込まれてしまった。
(当事者:6歳 男児) ※5
スポークとは、自転車の車輪の中心部から放射状に伸びている針金状の部品のことです。自転車の運転中に幼児座席や荷台に乗った子供の足が巻き込まれると、大きなけがになる可能性も。
子供を自転車に同乗させる際は、必ず幼児座席を使用し、自転車の方にもドレスガードなどを設置して巻き込み事故を予防しましょう。
一方、道路交通法では、自転車に同乗できるのは6歳未満とされており、幼児座席がついていても6歳未満の使用が前提となっています。子供が大きくなり体格が合わなくなると、幼児座席が破損したり、ステップから足が外れたまま乗ることになったりと、巻き込み防止が十分に機能しなくなってきます。事故を避けるためにも、6歳以上の子供は自転車に同乗させないようにしましょう。
また、 紹介した上記事例の中にも、幼児座席が壊れていた例もあります。幼児座席が破損や変形している場合は、使用をやめることが必要です。
事故を防ぐポイント
- 6歳未満の子供を自転車に同乗させる際は、必ず幼児座席を使用する
- 自転車の方にドレスガードを併用することで安全性を高める
- 6歳以上の子供は自転車に同乗させない
- 幼児座席が破損や変形している場合は使用をやめる
4.ブラインドのひもで窒息
ブラインドのひもが切れる音がして振り向くと、娘が首を押さえていた。ひもが首に引っかかったまま、出窓から近くのソファに飛び降りたようだ。首にひもの跡が赤く残り、治るのに1週間以上かかった。
(当事者:6歳 女児) ※6
ブラインドやロールスクリーン等のひもが、子供の首に絡まる事故が起きています。首にひもが絡まると、窒息して死亡に至る例もあり、とても危険です。
子供にとって、ひもなどが手元にあるとかっこうの遊び道具になります。ブラインド用クリップの無償配布をしてくれるようなメーカーもあるので、それらを利用してひもをまとめるなど、子供の手が届かないようにしておきましょう。また、近くにソファやベッド等があると、子供が踏み台にしてしまうこともあるので、家具類の配置を考えることも大切です。
ブラインド類には、ひもで操作しないタイプの商品や、一定の重さが掛かると、ひものつなぎ目部分が外れるようになっているような商品等、安全性に配慮されたものもあります。ブラインド等を購入する際には、子供に対する安全性も含めて検討したいものです。
事故を防ぐポイント
- ブラインド等のひもをクリップ等でまとめ、子供の手が届かないようにする
- 踏み台になるような家具のそばにブラインド等を設置しない
- 安全性の高いブラインドやロールスクリーンを購入する
5.花火でやけど
花火が履いていたサンダルの隙間に落ちて、足をやけどした。
(当事者:3歳 女児) ※7
夏休みなどで家族やお友達と集まったときに、皆ですると楽しい花火。子供も喜ぶ花火ですが、火を使うものだけに注意が必要です。
子供は、大人が予想もしない動きをします。また小さいうちは、花火の正しい扱い方や危険性を知らないまま遊んでいることもあるでしょう。花火をする際には、必ず保護者などの大人が付き添って子供の行動を見守り、危険な行為はやめさせるようにしましょう。
花火を利用するときは、本体やパッケージなどに記載されている注意事項を守ることが肝心。また、火が移りやすい素材の服や、サンダルのような露出が多い靴を避けるなど、服装にも注意が必要です。
事故を防ぐポイント
- 花火をする際は大人が付き添い、子供の行動をよく観察して、危険な行為はやめさせる
- 花火の本体やパッケージなどに記載されている、注意事項を守る
- 火が移りやすい素材の服や、露出が多い靴を避けるなど、服装に注意する
6.耳掃除でけが
子どもの耳掃除をしていた際、子どもが動いたため耳かきが奥に入ってしまい、耳の中に傷がついた。
(当事者:4歳 女児) ※8
子供の耳掃除には、気を使いますよね。小さい耳の中は見えにくく、あまり深くまで綿棒や耳かき棒を入れてしまっては、耳の中を傷つけてしまうこともあります。
耳掃除は、動くとけがをするおそれがあることを子供にしっかりと言い聞かせ、安定した姿勢や場所で行うことが大事です。動いてしまう可能性があるときは無理に耳掃除を行わず、別の日にするなど、臨機応変に対応してあげると良いですね。
耳あかは耳の入り口の方へ自然に押し出されてきます。耳掃除は、入り口から1センチ以内の見える範囲にとどめ、頻繁に行うのはやめましょう。
また、子供が自分で綿棒などを使って、耳を傷つけてしまうこともあります。子供の手が届くところに耳かき棒や綿棒などを置いておかないよう、注意が必要です。
耳掃除中のけがで後遺症をもたらすこともあります。けがをした場合は、すぐに耳鼻咽喉科を受診しましょう。
事故を防ぐポイント
- 子供には、耳掃除のときに動くとけがをするおそれがあることを理解させ、安定した姿勢や場所で行う
- 耳掃除は、入り口から1センチ以内の見える範囲にとどめ、頻繁に行わない
- 綿棒等は子供の手の届かないところに置いておく
- 耳をけがをした場合は、すぐに耳鼻咽喉科を受診する
子供の目線に立って、危険の種を取り除きましょう
3~6歳頃の子供は成長がめざましく、できることもどんどん増えてきます。子供が成長してくると「大きくなっていろいろなことがわかってきたから、ちょっとくらい大丈夫だろう」などと、思ってしまうことはないでしょうか。
しかし、子供は好奇心の塊。いろいろなものに興味を持ち、そこに集中してしまうと大人の想像しないような行動に出ることもあります。そして、ときにはそれが大きな事故につながってしまうことがあるのです。
不慮の事故を防ぐには、子供の目線に立って危険を取り除いていくことが大切。もう一度身の周りを見回して、子供の手が届くところに危険の種が落ちていないか、気をつけてみてください。