特別養子縁組と普通養子縁組
日本の場合、実の親のもとで育つことができない子供たちは、まず施設(乳児院、養護施設など)に保護されるのが一般的でした。しかし、子供が健全に育つには家庭が第一、という考えが主流になる中、特別養子縁組の成立数がぐっと増えています。特に、ここ3年ほどは年々増加の一途をたどっています。
ところで、「養子縁組」の前についている「特別」とは何でしょうか?もともと養子縁組制度は、1898年(明治31年)に作られた「普通養子縁組」しかありませんでした。
一方、「特別養子縁組」は、それよりかなりあとの1988年(昭和63年)に登場したものです。普通養子縁組は、家を継ぐ者を絶やさないという、明治時代の価値観に基づいた制度でしたが、特別養子縁組は、子供が「家庭」で安心して育つことができるようにという、子供中心の考え方から生まれました。
つまり、同じ養子縁組という名前でも、両者は根本的に成り立ちが違う制度なのです。
特別養子縁組と普通養子縁組の主な違い
親権と戸籍の表記
特別養子縁組と普通養子縁組が違う制度であることがわかりましたが、それぞれどのような制度なのでしょうか?名称や成立から親子関係まで、異なる制度について詳しくご紹介します。
特別養子縁組の場合、親権を持つのは実の親ではなく養い親。家庭裁判所の審判によって、法律上、実子になることができ、戸籍上の表記も「長男、長女」などになります。一方、普通養子縁組では、実の親との親子関係は切れないので、戸籍上の表記は「養子、養女」となります。