5ヶ国の共働き事情はどうなっているの?
最近、日本では共働きの家庭における家事分担が大きな課題に。日本以外の国では、夫婦でどのように家事分担しているのかそれぞれ事情が異なるようです。
今回は、リンナイ株式会社が調査した、日本、韓国、アメリカ、ドイツ、デンマークの共働き事情をお伝えします。日本と比べて他の4ヶ国はどうなっているのかの調査結果が発表されました。
調査概要
日本を含む5ヶ国を対象とした共働き事情の調査方法は以下の通りになります。
夫婦で家事を分担しているかという調査
- 調査手法:インターネット
- 調査国:日本、韓国、アメリカ、ドイツ、デンマーク
- 対象者:30歳~49歳の共働き既婚者の男女
- 調査時期:2017年12月
参加国の共働き事情は各国の特徴がある
まず、5ヶ国それぞれの共働き事情をお話します。各国によってさまざまな特徴があるのが興味深いところです。
日本の事情
まずは日本ですが、まだフルタイムで共働きという家庭はそこまで多くなく、女性がパートタイムで働くという家もあります。一方、フルタイムで働いているという家庭は時間的余裕がなく、一昔前よりはだいぶ改善されましたが女性が家事を担う場合も。
今後の仕事や生活の調和、保育園の充実など、日本の共働き事情はまだ改善しなければならないことが山ほどあります。
韓国は結婚出産で仕事を離れる女性が多い
韓国は日本以上に結婚、出産で仕事を離れる女性が多く、フルタイムの共働きというといわゆる「勝ち組」ということになるようです。
というのも韓国は日本以上にフルタイムの仕事を得ることが厳しいという現状があり、なかなか大変な事情といえます。今後の改革が日本以上に望まれるのではないでしょうか。
アメリカは家事をしない女性がかっこいい風潮に
アメリカ(ニューヨーク)はというと、家事をしないのがかっこいい女性というキャリアウーマン特有の美学があり、家事は住み込みの方や専門の業者に任せているようです。
しかしその一方で、アメリカ人の共働き夫婦は家族と過ごす時間を大事にします。それだけ経済的にも恵まれているということでしょうか。
ドイツは家事の効率化が進んでいる
ドイツは共働きが主流ですが、時短で働いてもフルタイムと同じお給料がもらえるという制度があります。そのため、時短で仕事をする女性が多く家事をうまく効率化させているようで、合理主義精神の一端のようです。
こういった制度の充実は、ドイツが共働きが当たり前という様な社会になっているため。仕事と家庭の両立もやりやすいものとなっています。
デンマークは働きやすい国
デンマークは公務員が多く日本の6倍ほどで、働きやすい国として仕事と生活の調和が充実しています。短い労働時間や充実した両立支援に恵まれていますので、日本から見ると羨ましいと思われるかもしれません。
ただし、専業主婦になるには厳しいという結果に。
世界共働き夫婦の分担している家事を徹底調査
世界の共働き夫婦のが実際に分担している家事を徹底調査したデータを紹介します。
今回は調査に協力した参加五ヶ国のお国事情。ご自身の家庭と比べてどのような違いがあるでしょうか。
食事の後片付けを分担
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調査の結果わかったことですが、各国とも食事の片づけを分担しているということが分かりました。特に日本と韓国は良く分担しています。食事の片づけは共働きの夫婦ですと面倒くさくなりがちですが、子供が小さいとなるとどちらかが子供の面倒を見ないといけないので、自然と分担するようになったのでしょう。
また、お皿洗いの最中子供にうろうろされるのも落ち着かず、お皿を割られてしまったら大変という事情もあるのかもしれません。こういうとき、夫婦の連携ができるというのはなかなか良いことではないでしょうか。
料理で見えるお国事情
事分担で差が出ているのは料理です。日本と韓国は女性が行うという家庭がほとんどなのですが、共同で取り組むというカップルが多いのはデンマークやドイツ。やはり、共働きの制度が充実しているためでしょうか。
日本はまだ、ママが料理を作るというとこが日常的になっている家庭が多いのではないでしょうか。男性は料理に自信がないという人も多いのかもしれません。
筒井先生に聞く、仕事と家事を上手に両立させる三つのポイント
では、立命館大学社会学部教授である筒井先生が提唱する、仕事と家事を両立させる三つのポイントを紹介します。仕事と家事の両立で困っているママは参考にしてみてください。
1.働き方改革を家事においても考える
働き方改革が叫ばれ、労働時間の短縮や充実した生産性が求められている昨今。家事においても働き方改革が必要といえるかもしれないと筒井先生は言います。
1970年代のころのように、専業主婦が大半という世の中ではありません。時短家事など家事改革を求めるのも大事かもしれないと先生はおっしゃっていました。
2.家事に完璧さを求めてはいけない
完璧な家事を求めるとキリがなくなりますし、共働き家庭では無理が生じてしまうもの。ここは割り切って考えた方が良いというのも筒井先生の考えです。
きれいにしわを伸ばして干された洗濯物、ちり一つ落ちていないような部屋、いつもピカピカのガスレンジなど、完璧な家事を求めないようにしましょう。また多少お金がかかっても、投資と思って食洗機やロボット式掃除機を購入し、お皿洗いや掃除機かけを楽にするなど工夫も必要とのことでした。
3.長い目で見よう
筒井先生によりますと、男性にとって家事は未知の分野であるため頼んだことがすぐにできなくても仕方がないそうです。長い目で見てあげると男性は安心して家事に取り組めるのではないでしょうか。
例えば、筒井先生が考えている対策ですが、少しでも早く覚えてほしいと思ったら食事当番を週1回から3回に増やすなど、とにかく取り組ませて慣れてもらうことが大事とのこと。そのようにして長い目で見守ってあげると男性は本領を発揮し、家事や育児を頑張ってくれるかもしれないと言う期待もあるそうです。
立命館大学産業社会学部教授 筒井淳也氏
1999年、一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程満期退学。博士(社会学)。
特に福祉レジーム論をベースにした家族と労働のあり方、女性の就業などについて研究・調査・課題解決に取り組む。
主な著書は『仕事と家族ー日本はなぜ働きづらく、産みにくいのか』(中公新書)、『結婚と家族のこれから』(光文社新書)など。
家事分担から考える共働き世帯が働きやすい社会
各国の共働き事情は、その国によってずいぶんと違うものでした。日本も他の国の良いところを見習い、仕事と家事や生活の充実など、働きやすい社会に変化していくと良いですよね。
筆者が子育てしていた頃にくらべ、家事や子育てに協力的なパパが増えていると個人的には思いましたが、このように他の国と比べるとまだまだ改善の余地がありそうだと感じました。
まずは、筒井先生のアドバイスを参考にして家事分担を徹底させることから始めてみてはどうでしょうか。