女優・加藤貴子さんとは?
静岡県出身で、ドラマなどでも活躍されている女優・加藤貴子さん。加藤さんをご存じの方は、温泉のおかみさんを演じていたお昼のドラマを思い浮かべる方もいるかもしれませんね。
加藤さんは、42歳で4歳年上の夫と共に不妊治療をスタート。1人目を44歳のときに出産、2人目を46歳のときに出産されています。2人目を出産時は、46歳10ヶ月ということで47歳に近い年齢でもあります。この年齢での出産となると、相当な覚悟が必要であることがわかりますよね。不妊治療も決して順調にはいかなかったとのこと。さまざまな苦しみや悲しみを乗り越えての出産だったそうです。
今、2児のママとして育児に奮闘されている加藤さん。今回は、加藤さんが「ママ」になるまでのお話を紹介します。
「行き詰まりを感じたときに考えてほしいこと5つ」を紹介
「妊活」という言葉は広がってはきているものの、まだまだ多くの方に理解されているとは言えない状況です。妊娠・出産は奇跡が積み重なったもの。しかし、まだ女の人は妊娠して当たり前、出産して当たり前という認識があるのも否めません。
「妊活」に取り組む上で、きっとどこかで感じるであろう「いき詰まり」。そんなときに考えると未来に向けて頑張るパワーにつながるような、経験者である加藤さんの書籍からメッセージを紹介します。
1.不妊治療の最初の壁は「夫婦の本気度のズレ」
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加藤さんご自身も、不妊治療を始めてからすぐに陥ったという最初の壁「妊活クライシス」。言葉にすると何だか怖く感じますね。
「妊活クライシス」とは、妊活中に夫婦の間で生じる溝のことを指します。夫婦といえど、別々の人間なので気持ちが全く同じと言うわけではありません。それでも、同じ気持ちであることを心のどこかで期待していることもあるはず。赤ちゃんが欲しいという強い気持ちがあるゆえに、自分を責めてしまったり、相手を責めてしまったり…。そういったことが夫婦の間に深い溝を作っていくのでしょう。
この壁をどう乗り越えるかで、妊活の継続が左右されます。また、この最初の壁を乗り越えることができたら、夫婦のきずなもグッと深くなるように感じます。
2.「妊娠20ヶ月」だと思えばいい
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通常、妊娠期間は10ヶ月10日と言われます。しかし、妊活中はすべてがスムーズにいくとは限りません。
病院から指導を受け、妊娠しやすい状態を作るために、夫へ生活習慣の改善を強制した加藤さん。その内容としては、ウォーキングと禁酒。筆者が同じ立場として考えても、間違いなく強制させていたように感じます。しかし、仕事終わりの1杯を1日の楽しみとしている夫であれば、禁酒ストレスになるかもしれませんね。
それでも妻としては赤ちゃんを授かるためには我慢して欲しいところ。お互いの気持ちをくみ取れずに夫婦間に流れる「義務感」。何だか切ない、むなしい気持ちになってしまいますよね。
いろいろなことがありながら、夫婦で努力して初めて授かった命もそのまま順調に育っていくとは限らず、悲しいお別れをすることも。加藤さんは流産も経験されています。
そのときの夫からの言葉が「僕たちは妊娠20ヶ月でいいんじゃない」というものだったそうです。流産という経験もこの先にある妊娠・出産には必要な過程だった。この言葉に加藤さんは救われ、不安な気持ちなのは自分だけではないと夫婦で気持ちを共有できたとのこと。
焦り・不安で押しつぶれそうになったり、なかなか前に進まなかったりする妊活中、「妊娠20ヶ月」という言葉はいろいろな感情を落ち着かせてくれるはずです。
3.男性はとてもデリケート
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「排卵日に合わせて子作りを!」と言われても、いざとなると男性はとてもデリケートなのだそう。きっと、義務的に感じてしまうこともあるのでしょう。
また、夫婦で長く同じ時を過ごしていると、関係性としては恋人ではなく家族になってきますよね。そうなると、急に子作りをしようとなっても気持ちがついていかないこともあるようです。
そんなときには、恋人時代を思い出させるような演出が必要なのだとか。いつも一緒に居る家では雰囲気が変えられないので、デート気分でディナーやお酒を楽しみ、少し高級なホテルへ宿泊するのも効果的なのだそうです。
しかし、注意すべき点が。これはパートナーの性格がかなり影響します。加藤さんの夫は、ホテルに泊まったことが逆にプレッシャーになってしまったとのこと。難しい判断になりますが、男性は繊細な面もあるということを頭に置いてくことが必要ですね。
4.不安は書き出そう
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妊活において、ストレスは禁物。と共に、切っても切り離せないものなのではないでしょうか?不安や悩みはずっとついてきますよね。パートナーである夫に当たってしまうこともあるはず。しかし、それではあまりにも悪循環。きっと自分自身が1番分かっていることです。
そこで加藤さんが実践していたのが、自分の中の不安を「自分で対処できること」「天にゆだねること」の2つに分類し、書き出してみたとのことです。書き出したことで何かが解決するわけではありません。しかし、心の底で今にもはじけそうなつらさ・悲しみはたまっていってしまいます。何が自分を苦しめているのか自分と向き合うこともできて、書き出すことによって発散できることもあり、とても良い方法ではないでしょうか。
5.「すがる」のではなく「受け入れる」
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妊活中は、げん担ぎをしたり、応援してくれている方から授かりグッズを頂いたりもするそう。スムーズに進んでいれば、素直に喜ぶことができるかもしれませんが、そうしたグッズがプレッシャーになることも。
加藤さんの場合、「妊娠20ヶ月」という言葉に出会ってからはプレッシャーに感じることなく、授かりグッズを楽しむことができたそうです。天の神様にすがるグッズとしてではなく、応援してくれていている皆からの愛だと思えたとのこと。
「赤ちゃんが欲しい」というのは、周りの期待に応えるためではなく、自分の気持ちであること。妊活中、この気持ちは常に心にとどめておきたいものですね。
高齢出産は生んだ後こそしんどい
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不妊治療を経て、帝王切開にて無事に赤ちゃんを出産された加藤さん。ここから「育児」の始まりです。
帝王切開の翌日から始まる「セミ母子同室」。赤ちゃんと一緒に過ごす生活が始まる幸せな光景が目に浮かびますが、現実は術後の傷の痛みなのか後陣痛なのか、とにかく猛烈な痛みと戦いながらも赤ちゃんのおむつ替えや授乳、育児セミナーなどをこなしていかなければいけません。
加藤さんは母乳の分泌が少なく落ち込んだそうです。それでも看護師さんからの「母乳が出なくても子宮収縮のために吸ってもらって」という指導に従い、赤ちゃんもその気持ちに応えようとするかのごとく、必死におっぱいを吸い続けたとのこと。母乳の分泌は個人差があるものなので、加藤さんと同じように母乳が思うように出ず悩む方もおられますよね。ただでさえメンタルが不安定な産後、同じママとして追い込まれてしまう気持ちが痛いほど分かります。
高齢出産だと体が回復するのにも時間がかかります。しかし、赤ちゃんのお世話をできるのは自分だけ。赤ちゃんをお世話しながら、自分の回復にも努めなければいけません。決して生むのがゴール…という話ではありません。生んだ後こそしんどいとも言えますね。
「大人の授かりBOOK 焦りをひと呼吸に変えるがんばりすぎないコツ」
今回ご紹介した内容は、加藤さん著書『大人の授かりBOOK 焦りをひと呼吸に変えるがんばりすぎないコツ』を参考にご紹介させて頂きました。
不妊治療をされている方、不妊治療を考えられている方、または妊活について詳しい知識が欲しいという方に、ぜひ手に取って頂きたい1冊です。
42歳で踏み込んだ不妊治療。
男性不妊、流産、不育症…不妊治療を経て、44歳、46歳で出産を経験された加藤貴子さん。
妊活クライシスにならないための「小さな習慣」を込めた1冊です。妊活中、重たくなった心をスッと軽くしてくれます。
妊活中、ぶつかる壁を乗り越えれば見えてくるもの
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「赤ちゃんが欲しい」という気持ちから始める不妊治療。そこには、たくさんの心の葛藤があります。夫婦間での葛藤、自分自身との葛藤、未来への葛藤…胸が張り裂けそうになることが何度もあるかもしれません。
加藤貴子さんが書かれた『大人の授かりBOOK 焦りをひと呼吸に変えるがんばりすぎないコツ』には、いくつかの小さな習慣が記されています。その一つ一つが、心の中の葛藤をやわらげてくれるのではないでしょうか。
経験者だからこそ言葉には説得力があり、そして優しさを感じます。妊活中の方にはきっと響くものがあるはず。また、パートナーにも読んで頂きたい1冊でもありますね。
妊活は夫婦の絆を深めるもの。不妊治療中で悩む、1人でも多くの方に加藤さんのメッセ―ジが届きますように。