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首都圏を中心に「風しん」感染者が急増中! 検査と予防接種を

首都圏を中心に風しん感染者が急増しているとの報告が、国立感染症研究所より緊急情報として出されています。風しんは、妊娠初期に感染してしまうと胎児が「先天性風しん症候群」になってしまう可能性もあり、注意が必要な感染症です。感染力はインフルエンザよりも強いといわれていますが、予防接種で防げる病気でもあるのが特徴。妊娠を希望している方はもちろん、そうでない方も感染元とならないために検査を受け、抗体がなければ予防接種を受けておきましょう。

PIXTA

首都圏にて風しん感染者が急増中!

2018年8月28日、国立感染症研究所感染症疫学センターから「首都圏における風疹急増に関する緊急情報」が公開されました。

2018年第1~33週の風しん患者報告数は累積で184人となっており、特に第30週(7月23日~29日)の感染報告数は19人、第31週(7月30日~8月5日)22人、第32週(8月6日~12日)40 人と急増し、第33週(8月13日~19日)は43人と更に増加していると発表されました。

これは2016年及び2017年の年間累積報告数を上回る数字で、例年に比べても感染者が多くなってきているということがうかがえます。

さらに地域別でみると、千葉県で62人、東京都で47人、埼玉県で11人、神奈川県で9人となっており、全体の70%がこの4都県から感染の報告が出ています。

また、国外での感染と思われる症例は10人(5%)と少なく、これらの報告から首都圏を中心に、国内での流行が発生し始めている可能性が高いと考えられます。

出典元:

ママリでも風しん感染を心配する声が

妊婦 心配 PIXTA

国内での感染者が増えつつある風しん。特に首都圏に住む人には身近な問題として気になる方もいるのではないでしょうか。

妊活、妊娠、子育て中の女性向けアプリ「ママリ」でも、風しんの流行についてママたちから心配の声が上がっています。

今現在関東地方で風疹が流行っていますね。今5ヶ月16週です。私自身は初期の血液検査で抗体が128あったのですが旦那は打ったことはあるのですが抗体があるのかは不明です。
この場合は旦那も抗体検査をしてなければ打った方がいいでしょうか?
ママリ|ママの一歩を支える、女性限定Q&Aアプリ
1人目妊娠した時、風疹抗体16あるから大丈夫だねと産婦人科に言われ、今2人目妊娠中で同じく抗体16で大丈夫と言われましたが、関東住みで風疹が大流行してるニュースを見て不安になって調べたら16ってほぼ抗体ないと書かれていて心配しています💦

16って、抗体ないんでしょうか?
一応20週は超えていますがもしかかった場合、赤ちゃんにどんな影響がでるのでしょうか?
ママリ|ママの一歩を支える、女性限定Q&Aアプリ
明日から妊娠30週目です。妊娠後期とはいえ風疹の流行が気になってます。
妊娠してから医師から一度も風疹や麻疹の抗体の話が出てないのですが、大丈夫ってことなのかどうなのか分かりません。同じような方いますか?

旦那も私もおそらく予防接種1回世代。生まれてくる子の事も考え、旦那は抗体検査して必要なら予防接種した方がいいのでしょうか?

私はあと1カ月は満員電車で通勤で、暑くてマスクも嫌ですが最低でもマスクした方がいいですよね?
ママリ|ママの一歩を支える、女性限定Q&Aアプリ

現在妊娠中、あるいは妊娠の可能性があるというママにとって気になるニュースですよね。

妊婦健診では風しんの抗体についての検査もありますが、自分の抗体価が低い場合には感染が心配になるでしょう。また、妊婦やママが気をつけていても、パパや身近な人が感染した場合にはさらにリスクが高まります。集まった回答では、他人にまで感染を広げてしまうかもという心配の声もありました。

ここに挙げたママリユーザーの意見と同じように、風しんの感染へ不安を抱いている妊婦さんは少なくないのではないでしょうか。

風しんとは?なぜ予防接種を受けなきゃいけないの?

予防接種 PIXTA

子供の頃風しんに感染した、あるいは予防接種を受けたという人もいるでしょう。ですが、だから大丈夫だと胸を張って言える人は少ないのではないでしょうか。

胎児のリスクを減らすために風しんの感染を防ぐことは重要ですが、そのためにはどんなことに気をつければいいのでしょう。風しんという病気の特徴、また予防接種がなぜ必要なのかなど知っておきたいことをまとめます。

風しんとは

風しんとは、ウイルス性の感染症です。感染症の代表格といえばインフルエンザが思い浮かびますが、風しんはインフルエンザよりも感染力が強く、1人の患者から 5~7人に感染させる可能性があります。

特に成人で発症した場合には、小児の場合よりも重症化することがあります。また、脳炎や血小板減少性紫斑病のような重篤な合併症を引き起こす場合もあり、大人も子供も決して軽視できない病気です。

風しんの特徴

  • 流行は春先~初夏が多い
  • 潜伏期間は2~3週間(平均16~18日)
  • 感染しても症状の出ない人が15~30%いる

覚えておいてほしいこと

特に風しんについて、覚えておきたい重要なポイントがあります。妊婦ご自身の予防や小さい子供への感染を防ぐためにもぜひ知っておいてほしい内容です。

  • 手洗いやマスクの装着は風しんの予防手段として十分とは考えられない
  • 風しんウイルスの感染力はインフルエンザの2~4倍と言われている
  • 風しんは一度自然に感染したりワクチンを接種することで生涯続く免疫が体内に作られ、その後風しんにかかることはないと言われている
  • 生まれた年により今までのワクチン接種の機会(回数)が異なる
出典元:

妊娠初期に感染すると生まれてくる赤ちゃんにも影響

妊娠初期 PIXTA

免疫のない女性が妊娠初期に風しんにかかると、風しんウイルスが胎児に感染して「先天性風しん症候群 (CRS)」と総称される障がいを引き起こすことがあります。

先天性風しん症候群には治療法がありません。また先天性風しん症候群を起こした赤ちゃんがすべての障がいを持つとは限らず、これらの障がいのうちの一つか二つのみを持つような場合には気づくまでに時間がかかることもあります。

妊娠した女性が風しんにかかると、妊娠1ヶ月で50%以上、2ヶ月で35%程度の確率で、先天性風しん症候群の赤ちゃんが生まれるというデータもあります。

出典元:

自分やパパ、周りにいる人々の抗体価をご存知ですか?

家族 PIXTA

妊娠中の女性は風しんワクチンを受けられません。流行の地域や期間では特に、抗体を持たないまたは抗体価の低い妊婦はできる限り人混みを避け、不要不急の外出を控えることが必要です。

また、出産後にはできるだけ早く、風しんワクチンを検討しましょう。もしも自分や家族、職場の人などが風しんとわかったら、かかりつけの医師に相談してください。

風しんの免疫が十分でない妊婦への感染を避けるためには、周囲の人(妊婦の夫、子供、その他の同居家族等)が、風しんを発症しないよう予防に努めることが大事になります。

自分や周囲の人の抗体価をご存じですか?風しんの免疫が十分と確認できない場合には、ぜひ任意での予防接種の検討もしてください。特に妊娠を希望する場合、抗体価がない、あるいは低いという人は妊娠する前に夫婦で予防接種を受けておきましょう。

風しんワクチン接種状況をチェック

風しんの免疫の有無は生まれた年代によっても異なる可能性があります。これは世代によって風しんワクチンを受ける機会が異なっているため。

自分の生まれた年代でのワクチン接種状況をチェックしてみるのも一つの方法です。

【昭和37年4月1日以前生まれ】ワクチンの定期接種なし。ただし大半の人が自然に風しんに感染することで免疫があると考えられます。

【昭和37年4月2日~昭和54年4月1日生まれ】女性のみを対象として、中学校で集団接種あり。男性は定期接種制度がなく自然に風しんに感染する機会も減少しているため、風しんの免疫がない人が多い世代です。

【昭和54年4月2日~昭和62年10月1日生まれ】男女とも中学生のときに予防接種を受ける対象に。ただし個別に医療機関で予防接種を受ける制度であったため接種率が低く、男女ともに風しんの免疫がない人が多いです。

【昭和62年10月2日~平成2年4月1日生まれ】男女とも幼児の間に予防接種を受ける対象となり接種率は比較的高め。自然に風しんに感染する機会がさらに減少したため、接種を受けていない場合には免疫がない人が比較的多い世代です。

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自分の抗体価を知りましょう。無料で検査ができるところがあります

採血 PIXTA

これから妊娠を希望するという人で、風しんワクチンを受けているか不明な場合や風しんにかかったことが確実でない場合には、自分の風しん抗体価を検査しましょう。

検査は採血だけのシンプルなもの。医療機関等で採血して抗体を調べ、後日結果の報告があります。(検査機関によって報告方法が異なる場合があります)その結果に応じて医師と相談のうえ、必要な場合にはワクチンの接種を検討しましょう。

現在、多くの自治体では主として妊娠を希望する女性を対象に、風しんの抗体検査(免疫の状態を調べるための血液検査)が無料で実施されています。

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知識と関心を持って予防に努めましょう

妊婦 夫婦 PIXTA

先天性風しん症候群にはそれ自体の治療法がありません。現在のところ、赤ちゃんをこの病気から守るには感染する前に防ぐしかないのです。

そのためには、妊娠を希望するママは妊娠前に抗体価の検査や予防接種を受け、風しんの免疫を持っておくことが最も重要。またママだけでなく、自分の赤ちゃんを守るという意味からも、パパや周囲の家族にも知識と関心を持ってもらい風しんの予防に努めたいものですね。

早期に先天性風しん症候群の発生をなくし、風しんを排除することを目指して厚生労働省からはさまざまな呼びかけがされています。最近はニュースなどでも取り上げられていますね。誰もが自分のこととして、こういった呼びかけに関心を持てば、風しんや先天性風しん症候群を恐れずに済む日も近くなるかもしれません。

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