育児や家事に対する考え方に男女間で大きな差が発生
女性は妊娠がわかってから、めくるめく体調の変化を経験しますよね。さらに、出産後には夫婦で小さな命を育てるために忙しい日々が始まります。
劇的な変化に直面した夫婦は足並みが乱れる時期もあるかもしれません。しかし少しずつ歩調を合わせて新しい関係性をコツコツと作り上げていきたいものです。
今回は産前・産後の夫婦関係に着目。
株式会社マクロミルが調査した「2020年妊娠期・育児期のパートナーシップ実態把握調査」を参照しながら、夫婦間で意識がすれ違いやすいポイントや、円満のコツを紹介します。
調査概要
- 調査対象:マクロミルモニタ 20~45歳の男女
- 調査地域:全国
- 調査方法:インターネットリサーチ
- 調査時期:事前調査2020年1月24日(金)~1月28日(火)、 本調査2020年1月29日(水)~2月1日(土)
- 有効回答数:事前調査29,967サンプル、本調査1,236サンプル
- 調査実施機関:株式会社マクロミル
育児・家事に対する夫婦間の考え方
同調査では、妊娠期と育児期の夫と妻に同じ質問を投げかけています。「なるべく周りに頼らず育児・家事をしたい」「育児の手間はなるべくかけたくない」などの質問に対し、それぞれ点数が高いほどそう思う割合が高いということです。
妊娠期間中と産後のタイミングでそれぞれ同じ質問をしてみました。
妊娠時期
妊娠期間中の夫婦の間で点数の差が大きかったのは以下三つの項目でした。
妻の意見
- 育児・家事は周囲の手を借りてやればよい
- 育児の手間はなるべく省きたい
- 子どもを預けてリフレッシュする時間も大切だ
妻は育児や家事は効率的に済ませたいという気持ちが強いようです。育児の手間はなるべくかけず、自分自身もリフレッシュしたいという気持ちが大きいようです。
育児に対して具体的なイメージがわいているからこその意見のように感じられます。
夫の意見
- なるべく周りに頼らずに育児・家事をしたい
- 子どものためなら手間は惜しまない
- 子どもが小さいうちは、常に親がそばについて見守るべきだ
一方、夫は育児や家事は、より時間をかけて進めたいという考えが多い結果でした。妻の効率的に進めたいという意見とは対照的に、時間を惜しみなくかけて完璧にしたいという気持ちがあるようです。
また、子どもが小さいうちは、親がそばについて見守るべきという意見も目立ちました。育児や家事に対する考え方に夫婦間でずれが生じやすいというのも納得な気がしました。
産後
産後にも同じ質問をした場合、夫婦間では主に二つの項目で考え方に差がありました。
妻の意見
- 周囲の育児・家事に関する話題に敏感だ
- レトルトの離乳食など、便利な商品を活用するのもよい
産後になると、妻は妊娠期間の考えと大きな差はなく、いかに効率的にこなしていくかということに関心が高く、そのため育児や家事に対する話題に敏感になりやすいようです。
夫の意見
- 他の人がどんな育児・家事をしているかは気にしない
- 赤ちゃんの食事はできる限り手作りが望ましい
一方、夫はうちはうち、よそはよそという考えがあるようで、周りがどのような育児や家事をしているのかということについて関心度は低いようでした。
また離乳食においては時間をかけてでも手作りのものを食べさせたいという気持ちが大きいという結果に。効率化を求める妻とは対照的により子どもに対する思いが強まる傾向にあるようです。
信頼感が高い夫婦は会話が1.6倍多い結果に
先に紹介した産前産後の夫婦のギャップは、夫婦がお互いに抱く感情にも表れていました。
特に信頼感に関しては、育児期の夫が妻に対する信頼感が高まるのに対し、妻側の夫への信頼感が減少しており夫婦のすれ違いは深刻です。
同調査によれば、産前・産後の夫婦関係を良好に保つための大きな鍵になるのが2人の会話。パートナーに対する信頼感が高い層は、信頼感が低い層と比べて夫婦の会話時間が1.6倍も長い傾向が見られました。会話の内容については子どもの話だけでなく、夫婦の話の割合が多い傾向も見られます。
育児や家事に対して夫婦間の考え方が違うからこそ、日ごろからコミュニケーションを意識的にとることが大切。お互いの言葉に耳と心を傾けることが、相手の小さな変化を察知することにつながるのかもしれません。
日常会話を通じて夫婦のコミュニケーションを大切にしよう
今回紹介した調査によると、夫と妻で育児や家事に対する考え方が違うことがわかりました。その結果、産前から産後は、育児や家事において夫婦がわかり合えないと感じる瞬間は、誰にでも訪れる可能性があると言えるでしょう。
夫婦でも考え方に違いがあるということを事前に知っておくことは、今後の夫婦間におけるコミュニケーションを良好にする鍵になりそうです。
理解してもらえない、言っても無駄とあきらめるのではなく、違って当然だからこそお互いの意見をしっかり伝え合える関係性を築いていけるとよいですね。
- マクロミル「妊娠期・育児期のパートナーシップ 実態把握調査レポート」(https://www.macromill.com/assets/files/pdf/20200827-activities-experiences-report.pdf,2021年5月26日最終閲覧)