子どもが風邪をひいたら耳鼻科か内科・小児科どっち?
子どもが風邪をひいたら内科・小児科か耳鼻科のどちらに行くべきなのでしょうか?
一般的には小児科を選びがちなようですが、実は耳鼻咽喉科を受診したほうが良いという意見もあります。風邪の症状はたいていの場合、鼻水や喉の痛みから始まりますよね。そのため、風邪のひきはじめであれば耳鼻科を受診したほうがスムーズだとも言われるのです。
さらに、耳鼻咽喉科は耳・鼻・喉のみを診ている病院なので、専用の検査機器などが充実していてより専門的な治療提案ができるとのこと。ただし、耳・鼻・喉以外の部分に症状が現れている場合は、やはり小児科を受診したほうが良いようです。小児科や内科は、全身を幅広く診てくれる心強い存在です。
耳鼻科を専門とするクリニックでも、子どもの風邪については「状態によって診療科を使い分ける」ことをすすめています。
内科と小児科の違いは?
内科と小児科の違いは、対象としている患者の年齢で分けられています。小児科は新生児から小学生までの子どもを対象としていて、内科は中学生以上の子どもと大人が対象です。
ただし、中学生にならなければ内科を受診できないというわけではありません。内科の先生は患者を子どもとして扱わないので、大人と同じように自分で症状の説明ができたり、先生の話を聞いたりすることができる子どもなら内科を受診しても問題ありません。
- にしおぎ耳鼻咽喉科クリニック「子供の発熱は【耳鼻科】と【小児科】のどちらにかかれば良いの?」(https://nishiogi-ent.com/column/子供の発熱は、【耳鼻科】と【小児科】のどちら,2021年10月26日最終閲覧)
先輩ママは子どもの風邪で何科を受診した?
それではまず、ママリに寄せられた先輩ママたちのコメントから、皆さんは子どもの風邪でどの診療科目を受診されているのか伺ってみましょう。
とても多く見られた意見が、「症状によって通い分けている」というものでした。鼻水がひどいなら耳鼻科に、熱があるなら小児科に…と、子どもの風邪の症状にあわせて受診すれば無駄がありませんし、病院での診察もスムーズでしょう。
子どもの診察は小児科で、と考えている方もいらっしゃるようですね。耳鼻科は子どもを専門に診ているわけではありませんから、子どもの体調不良についてはまずは小児科で診てもらってほしいという医師もいるかもしれません。
耳鼻科と内科・小児科どちらを受診するかの判断ポイント
子どもの風邪の症状により、耳鼻科と内科・小児科を使い分けたほうが良い…とは言っても、どっちを受診したほうが良いのか判断に迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
先輩ママたちの意見を見ていると、熱がメインの風邪なら小児科に行くという方がいらっしゃいました。ただし、風邪ではなく中耳炎で熱を出すこともあるそうなので、やはり判断が難しいところですね。
一般的にはどのような症状を基準として、内科・小児科と耳鼻科のどっちに行くべきか判断されるのでしょうか?
内科・小児科を受診したほうが良い風邪の症状
内科・小児科と耳鼻科のどっちを受診するか迷ったとき、次のような症状があれば内科・小児科がおすすめです。
- 鼻水や咳がなく発熱のみがある場合
- 発熱にくわえて下痢・嘔吐・腹痛
- 全身への発疹が見られる場合
- 生後3ヶ月未満での発熱がある場合
- 呼吸をするとゼーゼーと音がする
- 食欲がない
- どの診療科目を受診するべきかわからない場合
内科・小児科を受診したほうが良いケースは、やはり「耳・鼻・喉以外の症状」があるかどうかが判断基準。熱とともに発疹や下痢が見られるなど全身症状があるなら、小児科を受診したほうが安心です。
また、内科・小児科と耳鼻科のどっちを受診したほうが良い風邪なのか全く判断がつかない場合は、ひとまず小児科を受診してください。小児科で全身の症状を診てもらえば、先生が適切な診療科の案内をしてくれるはずです。
中耳炎などが気になる場合は、鼓膜も診てもらえるか否かを確認しましょう。さらに中耳炎でも軽症の場合には、抗生剤は不要で、まずは鎮痛剤で経過を見るのがスタンダードなので、必ずしも耳鼻科受診が必須とは言えない場合も。中耳炎の疑いが出てきたらしっかりと医師に相談し耳鼻科受診が必要か確認しましょう。
- 日本耳科学会「小児急性中耳炎診療ガイドライン」(https://www.otology.gr.jp/common/pdf/guideline_otitis2018.pdf,2021年12月6日最終閲覧)
- きくちクリニック「小児急性中耳炎とその治療について」(https://kikuchi-cl.net/小児急性中耳炎について/,2021年12月6日最終閲覧)
耳鼻科を受診したほうが良い風邪の症状
それでは次に、耳鼻科を受診したほうが良い風邪の症状を確認していきましょう。
- 頻繁に中耳炎・副鼻腔炎になっている場合
- 熱がなく鼻・喉に症状が見られる場合 ・
- 頻繁に鼻の症状が見られる場合
- 小児科・内科で鼓膜が診られなかった場合
- 小児科の風邪薬でなかなか症状が改善しない場合
- 耳を痒がったり耳だれがあるなど耳の症状がある場合
耳や鼻の症状が頻繁に繰り返されている子どもであれば、風邪であっても耳鼻科に行くのがおすすめ。風邪をひくと、中耳炎や副鼻腔炎が悪化してしまうケースも多いので、まずは耳鼻科で診察を受けたほうが体調の悪化を防げるでしょう。
最初に小児科を受診したものの鼻水がずっと改善されない場合や、耳垢が溜まっていて鼓膜まで見れない場合も耳鼻科を受診してください。もしかすると耳鼻科の先生しか診察できない病気なのかもしれませんし、鼓膜が原因で熱を出している可能性も考えられます。
- にしおぎ耳鼻咽喉科クリニック「子供の発熱は【耳鼻科】と【小児科】のどちらにかかれば良いの?」(https://nishiogi-ent.com/column/子供の発熱は、【耳鼻科】と【小児科】のどちら,2021年10月26日最終閲覧)
- 砂町銀座はた耳鼻咽喉科「コラム2:子どもが風邪を引いたときは耳鼻科?小児科?(1)」(https://sunamachiginza-ent.com/column_02.html,2021年10月26日最終閲覧)
- じんのうち耳鼻咽喉科・内科「こどもの みみ・はな・のど」(https://www.jinjinclinic.com/service/children/#:~:text=耳鼻咽喉科は読ん,ことをオススメいたします。,2021年10月26日最終閲覧)
年齢や科を問わない「家庭医」という選択肢も
日本ではまだ幅広く知られていませんが、育児中の家族には「家庭医」に診てもらうという選択肢もあります。家庭医とは患者の年齢や診療科目を問わず総合的に診療を行う医師のことで、近年は「総合診療医」という言葉で耳にしたことがある人もいるかもしれません。
家庭医がいる病院やクリニックの場合、親子で風邪を引いてしまった場合やきょうだいも一緒に診察してもらいたい場合などにまるっと相談に乗ってもらえることがあります。小さな子どものいる家庭では体調不良の際の選択肢に「家庭医」があると知っておくのも良いのではないでしょうか。
- グレース家庭医療クリニック「家庭医療とは」(https://www.grace-clinic.jp/family_medicine/,2021年12月6日最終閲覧)
- 一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会「新・家庭医療専門医制度 家庭医とは 」(https://www.shin-kateiiryo.primary-care.or.jp/kateii,2021年12月6日最終閲覧)
内科・小児科と耳鼻科のどっちか迷ったら風邪の症状を観察して
先輩ママたちの意見も参考にしながら、子どもの風邪で受診するべき診療科目を解説しましたが、「風邪だから小児科」とか「風邪だから耳鼻科」と明確な線引きはしにくいのが現状のようです。
子どもの風邪で小児科・耳鼻科のいずれかを選ぶのは、子どもの普段からの体調や風邪の症状で臨機応変に選ぶのがベスト。普段から鼻や耳の症状で耳鼻科に通っているなら耳鼻科でも良いでしょうが、症状が熱だけであれば内科・小児科が適しています。
子どもの風邪で内科・小児科か耳鼻科のどっちを受診したほうが良いかは判断が難しいですが、子どもをよく観察しながら解説した内容を参考にして診療科を決めてくださいね。