子どもに伝えたい「お手伝いの意味」
もし「今日はお手伝いをさせてみよう」と思ったら、子どもに伝えておくとよいことがあります。
食器を洗わなかったらどうなる?掃除をしなかったらどうなる?洗濯をしなかったらどうなる?困るのは、家族誰か一人だけではなく、家族みんなです。自分1人のためだけでなく、家族のために「お手伝い」は大切なことだと伝えてみてはいかがでしょうか。
そして、○○ちゃんが元気に過ごせるように、ママ、パパはこんな家事をしているんだよ。とお話してみると、家の中にあるお仕事には理由があって、とても大切なことだと感じるとともに、責任感が育つと思います。
家事は誰がするものなのか。考え方は人それぞれなので一概には言えませんが、子どもも家族の一員で、家族というチームの中で欠かせない大切な存在です。生きていくために欠かせない家事も、家族で快適に過ごすためのミッションなのです。
「あなたも家族の一員。だからみんなで協力してやっていこうね」という声掛けは、子どもの意欲を高めるだけでなく、家族への信頼と結束を強くしてくれると思います。
お手伝いは、無理にさせなくてもいい
何かお手伝いさせてあげなきゃ、これはやらせた方がいいかな…そんな風に悩まれている方はいませんか?特に乳幼児期は、お手伝いは「させる方が大変」ではないでしょうか。子どもにやらせると余計に手間。見てる方がイライラする…そんなこともあるでしょう。
保育士として言いたいのは、子どものお手伝いは、親の余裕がないときに無理にやらせなくていい、ということ。大人がイライラしながら無理にやらせるメリットなんてありません。それよりも、洗い物がササっと終わって、そのあと一緒に遊んだり、お話ししたりすることの方が、子どもにとってはよほどうれしいことだと思いますよ。
余裕があるなら家事に参加してもらえばいいし、余裕が無かったり余計に大人の負担になることがつらいと思うなら、全然やらなくても大丈夫。忙しいから乳幼児期の子どもにお手伝いをやらせていないからといって、なんの問題もありません。
保育士解説、年齢に合ったお手伝い
ここで紹介するものは、年齢に沿ったものよりもほんの少し簡単なもの。
なぜかというと、年齢並みで「なんとかできるかな」という内容を頼んでしまうと、親が過度に期待してしまうためです。期待した分、できないとつい「もう、頼まなければよかった」「頼んだのに、なんでできないの」「やり直しするのが大変」など思ってしまいます。
また、手直しされることは子どものプライドを傷つけてしまうこともあります。
忙しい時や余裕がないな、という時は年齢よりも簡単なものを頼むのがおすすめです。
1歳ごろから「コロコロ&ハンディモップ」
お掃除のお手伝いは身の回りのことを自分でやる力を育てることにつながります。掃除用のコロコロでカーペットや布団の上、ソファーなど、お座りしながら、つかまり立ちしながら、つたい歩きしながらできます。わが子は0歳のころからコロコロに興味津々で、お座りやはいはいしながらコロコロしてました。
最初は大人がお手本を見せてあげるのがいいでしょう。最近では、いろいろなキャラクターのコロコロも出ています。少し小さめに子どもが持ちやすいように作られていたりもするようです。わが子の場合は、ハンディモップも好きでリビングや脱衣所などをよくモップを持ちながらうろうろしていましたよ。
子どものおもちゃではないので、使用中は親がしっかりと見守ってあげてください。
2歳ごろから「食器を運ぼう」
運ぶ動きはバランス感覚を養い体幹を鍛えることにもつながります。小さめのお皿や、滑りにくいおぼんで運ぶのもおすすめです。食器を運ぶのが難しいように思えるときは、お皿だけでなくスプーンなど軽くて運びやすいものでも十分。おしぼりを運ぶなど、危険が少ない、簡単なもので大丈夫ですよ。
偏食のお子さんの場合、少しでも食事の準備に参加することで食に対する興味にもつながります。「布巾でテーブルを拭いておいてね」と食に関する準備にかかわることをこちらが提供してみてくださいね。
2歳半ごろから「靴をそろえよう」
2歳ごろになると、自分のことを自分でやってみたい気持ちが高まるので、そこがねらい目です。靴をくっつけて置くということを見て学ぶことができるようになるころなので、大人がお手本を見せて、まずは自分の靴から。
自分の靴がそろえられるようになったら「家族みんなの靴も並べられるかな?お願いしてもいいかな?」と声をかけてみるのもいいでしょう。
3歳ごろから「掃き掃除」
大人の動きをまねてほうきを動かしたりすることは今まであったかもしれません。もちろんそれだけでも構いませんが、100円ショップなどでも売っているミニちりとり&ほうきを用意すると、今までできなかったちりとりに入れるという動きがしやすくなります。
子どもにとってはなかなか難しい動きですが、大人がお手本を見せてあげると一生懸命真似しようとしてくれます。子どもサイズのものを用意するというのが一番のポイントですね。
3歳ごろから「たたむ」
3歳でもちょっと難しいかもしれません。3歳後半ごろからでもいいでしょう。3歳になると、幼稚園や保育園などの集団生活に入るお子さんが多いので、そのタイミングでお家でも取り入れるのがおすすめです。
洋服は難しいので、布巾やフェイスタオルから初めて、慣れてきたら大きめのタオルや、洋服などに移行していくのがいいでしょう。ついたたみ直したくなりますが、子どもが見ていないところでササっと直してあげてくださいね。
年齢に応じて変えて「おにぎりづくり」
2歳ごろは、100円ショップなどで売っている、ご飯を入れて振るだけで丸いおにぎりが作れるグッズがおすすめです。持ち手がついて握りやすく、サイズが小さいおにぎりが作れます。自分で作ったものを食べるというのがまた子どもにとっては特別うれしいものですね。
4歳ごろは、おにぎりメーカーで作るのがおすすめです。三角の型に入れてぎゅっとするだけできれいな形の三角おにぎりができるので、一人できれいな形の三角おにぎりに大満足できます。
6歳ごろは、おにぎりをさらにラップに包んだり、最近だとかわいい包みのおにぎりの袋も売っています。食べる直前までおにぎり作りに参加することで、より達成感や満足感を味わえます。作るだけで終わりでなく、最後の食べる前まで、工程があることを知ることができますね。
ごほうびは「感謝の言葉」が一番
お手伝いにごほうびは必要でしょうか?
家庭によって考え方が違うことと思いますが「毎回ご褒美のお菓子を用意する?」「お小遣いをあげる?いくら?」など、悩みや疑問が出てくるかもしれません。ご家庭で話しあって決めていってそれぞれの答えを出して言っていいと思います。
私個人としては、お手伝いをして、何か物として手に入れるよりも、一番のごほうびは「あなたが、家族の一員として参加してくれたから、とっても助かった」「あなたのおかげで、ここがきれいになったね」「あなたがお手伝いしてくれたからとっても気持ちよく過ごせるようになった」という家族からの言葉なのではないかなと思います。
とにかく「ありがとう」と伝えてみてください。この言葉に勝るものはないですね。大人も子どもも誰かのために何かをする。そのことでうれしく思ってくれる人がいる。お手伝いはそれを一番感じられることだと思います。
そして、毎日無償で家事に時間をさいているパパやママは本当にお疲れ様です。お手伝いをさせるのも大変かと思いますが、手を抜けるところはできるだけ手を抜いて、体を休めてくださいね。