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お金を返す気はなく、ひたすら逃走するママ友
遠くから引っ越してきて、慣れない土地での人間関係に困っていた主人公のカモ田さん。クレ子さんはそんなカモ田さんのさみしい気持ちにつけこみ、一緒に入ったカフェ代を建て替えさせ、何かと理由をつけて返さないといった行為を繰り返していました。
ストーリーはカモ田さん視点で主に語られ、クレ子さんの悪意に気づくまでがリアルに描かれます。友だちになってくれたと思っていた相手に悪意を感じたとき、きっと寂しくつらかったことでしょう。
カモ田さんがクレ子さんに「お金を返して」と言って追いかけるとき、加害者であるクレ子さんに移る場面があります。
カモ田さんを利用する心情があらわになり、読者としても怒りを覚えるこのシーン。カモ田さんは、悔しさのなか負けじとクレ子さんを追いかけますが、「警察を呼ぶ」の一言にその場を離れるしかありませんでした。
怒りを見せる夫は、妻の強い味方
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今まで金銭面で厳しかったカモ田さんの夫でしたが、妻からの「ケチ」の一言で猛反省。お小遣いで購入してきたお酒を渡して仲直りするものの、クレ子さんの一件で怪我をした妻の手を見て「なんだよそれ」と強い言葉を放ちます。
カモ田さんは少しおびえるも、夫は自分を心配してくれていると知り、強い味方を得たことに安心感を覚えたようです。カモ田さんの夫は、冷静な判断でクレ子さんの夫と話すと決意します。
いざというときに頼りになる家族がいるのは、心強いですね。
家族の力でママ友問題を解決へと導く作品
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カモ田さんの夫が味方をした場面で救われたのはカモ田さんだけではなく、読書としての私もそうでした。
クレ子さんの夫との会話をする機会をうかがうカモ田さんでしたが、クレ子さんを取り巻く環境に異変を感じます。幼稚園の迎えに義母がくるようになり、クレ子さんに会えなくなったのです。
家に出向いてみると、クレ子さんと夫は金銭関係でもめていたよう。一体この家庭では何が起きているのでしょうか。
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クレ子さんの夫によると、クレ子さんはギャンブルにお金をつぎこむ癖があり、お金の管理を任せられなかったのだそう。そのため、使ったお金をレシートで報告し、お金をその都度渡す方法をとっていたのだといいます。
結果、クレ子さんはカモ田さんに立て替えてもらったレシートを使い、夫から金を得ていたのです。夫もクレ子さんに騙されていたのですね。
ただの『ママ友への嫌がらせ』では片付けられない本作。立て替えたお金は返金され、穏やかな日々を取り戻すカモ田さんですが、ママ友が土壇場で口にした「私たち友達でしょ」の言葉はその後もトラウマとして残ってしまいそうです。