園での洗いものにはルールがある
保育園ではおもらしがおきることはよくあります。また、トレーニングを始めたばかりの子や、遊びに夢中になっていて、つい便がパンツについてしまった…ということも。濡れたパンツなどの衣類について、特に問題ない「普通便」の場合は洗って返してくれる園もあります。
ただし、下痢やおう吐の場合はルールが違います。厚生労働省の『保育所における感染症対策ガイドライン』で定められている通り、感染症の可能性がある下痢便、おう吐物がついた衣類は、洗うことができません。
理由としては、水などで洗うことにより、周囲にウイルスや細菌を広げてしまい、感染症が蔓延する可能性があるからです。
保護者に返すまでの間も、感染対策を講じている
私が勤務していた園では、便やおう吐物が付いた衣類は、袋を二重、または三重にして消毒が可能な容器に入れ、必ずふたをして園の外やトイレの倉庫などに置き、感染が広がらないように注意していました。
処理に使った手袋やペーパー類についてはすぐにゴミ捨て場に捨て、保育室のゴミ箱などには捨てない対応をしている園も。子どもたちに感染が広がることがないように、徹底して配慮しています。
- 厚生労働省「保育所における感染症対策ガイドライン (2018 年改訂版)」(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000201596.pdf,2023年11月20日最終閲覧)
- 千代田区「令和 5 年度 年末保育のしおり」(https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/15666/r5shiori.pdf,2023年11月20日最終閲覧)
感染症のまん延は絶対に避けたい
保育園は集団生活ですから、子どもたちは密に接して過ごします。おう吐や下痢を引き起こす菌・ウイルスがあっという間に広がってしまうことも考えられる状況です。そのため、園内で1人でも症状がみられたら、保育士は使用したおもちゃや部屋の床や壁、扉などをていねいに消毒します。
もしも便やおう吐物のついた衣類を洗った保育士が感染し、さらに他の保育士や子どもに感染を広げてしまうと、保育体制が保てなくなり休園する可能性もないとは言い切れません。そうした状況を避けるためにも、感染対策はガイドラインやマニュアルをしっかりと守るようにしているのです。
消化器症状があるときは登園を控えて
朝、子どもが「気持ち悪い」「おなかがゆるい」という状態の場合、園で悪化してしまうことがあります。万が一のことがあっても、園ではルール上汚れ物を洗ってあげることができません。保育士としても、ルールとはいえ汚れたものを家で処理する大変さはわかります。そのため、いつも心苦しく思っています。
また、保育園では給食の献立が決まっている関係上、おなかの調子が悪そうな子にも、消化がよいものを提供することはできません。不調なまま通常食を食べること、また食べられずにおなかを空かせて夕方まで過ごすこと、どちらも子どもにとってつらいと思います。
消化器症状があるときは登園を控え、通常便で、いつも通りに近い食欲に戻ってからの登園が望ましいと思います。
「なんで?」というルールは園に確認してみて
今回は、汚れた下着を園で洗えない場合がある理由をご紹介しました。汚れたものをそのまま返す・返されることはお互いにいい気持ちではないものですが、子どもたちを守るための感染対策なので、理解をしていただけたらありがたいです。また、子どもの体調不良には十分注意したいですね。
同様に、園生活で「なんで?」と思うルールがあったときは、ぜひ保育士に聞いてみてください。ずっとモヤモヤするよりも、理由がわかればすっきりすることがあるかもしれませんよ。