好き嫌いは意外にも高い壁
離乳食のときは何でも食べた子でも、大きくなるにつれて「これ嫌い」「食べられない」と、決まった野菜やお肉などを食べなくなることがあります。細かく切って混ぜ込むと気付かないろきもありますが、気付いた瞬間食べなくなることも。意外と高い壁ですよね。
子どもが好き嫌いをするのには色んな要因がありますが、一番はやはり「味」。苦手な味は大人でもと思います。味のほかにも「見た目」「食感」「固い」「食べにくい」などが要因で好き嫌いになることもあります。
大人は「一度食べてみるとおいしいよ」と勧めたくなりますが、味以前に見た目や食感が嫌だと思っているものは食べないかもしれません。
「何でも食べる子」をゴールにすると、親子ともに疲れてしまう
「出されたものは残さず食べる」「作ってくれた人に対する礼儀」と、ママも子どものころに親から教えられたのではないでしょうか。作ってくれた人に感謝し、食べ物を無駄にしない、健康な体づくりをすることは大切なことです。こうしたしつけをしたいママの方針は、決して間違いではありません。
しかし、だからといって食べられない段階から「何でも食べる子」をゴールにするのは少々ハードルが高く、親子ともに疲れてしまいます。まずは「食べたくない」という子どもの気持ちを理解し、子どもにもママがなぜ食べさせたいのかを知ってもらうことから始めましょう。
園と家庭の連携が近道に
苦手だった食べ物が、急に食べられるようになることはめったにありません。少しずつ経験して味に慣れていく事で、おいしい、または平気になっていきます。園で食べられないものは、お家でも食べられないことがほとんどなので、家庭と園が連携して子どもをサポートすることで克服の近道になります。
では、過去に受け持った子どもたちの経験を踏まえ、好き嫌いがある子が給食を完食できるようになるまでに役立ったことをお伝えします。
1. まずは子どもの気持ちを聞く
例えば、子どもが葉物野菜を好き嫌いしている姿を見ると、あなたはどんなことを感じ取りますか?「野菜だから」「緑色だから」と、一般的に言われているような理由を想像しませんか?本人に確認せず、大人の想像で嫌いな理由を判断していることがありますが、本当の理由は別にあるかもしれません。
また「食べないと大きくなれないよ」と、大人の意見を押し付けていませんか?子どもは一方的に「大きくなれない」「元気がなくなる」などの理由を言われても食べる気にならないことが多いです。
受け答えができる子には、まず子ども自身が嫌いや苦手と感じる理由を聞いてみましょう。色や形、食感やのどごしなど、苦手に感じる理由は、意外にもたくさんあります。小さな理由でも、嫌なものは嫌なのです。共感し、嫌なことを受け止めてあげましょう。
「〇〇がいやなんだね、だから食べたくないんだね」と言葉にしてあげるとより効果的です。
2. 食べてほしい理由を伝える
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子どもの気持ちを聞き、受け止めてあげたあと、ママから食べてほしい本当の理由を、理解できる言葉で伝えてあげましょう。
「作ってくれた人への感謝」など、少し難しい理由であっても、なるべく簡単な言葉で伝えることが大切です。今は理解できなくても、ママが自分の経験でも残っているように「親が教えてくれたこと」として心の中に残ります。
3. 最初は一口から
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いよいよ食べるというときも、焦らず一口から始めましょう。これまでな全く食べなかった子どもが、口に入れようと思った頑張りをほめてあげてくださいね!そしてどんなに小さくても一口食べたらおしまい。ママの気持ちを理解し、頑張ってくれた子どもに対し、次はママが子どもの気持ちを理解する番です。間違っても「もう一回」「もっと食べちゃって」など要求してはいけません。一口食べられたなら一口で終わりです。
このようにして、口に入れられた、少し量を増やせた、スプーンひとさじ、と徐々に量を増やすことを目標に、ゆっくり進めていきましょう。
家庭でこうしたやり方でうまくいったら、担任の先生に「これだけなら食べてくれた」と報告しましょう。そうすることで、先生も食べられたことをほめてくれたり、給食時間に本人に掛ける言葉を適切に考えてくれます。
4. 完食できる量をよそる
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少しなら食べられるようになってきたら、完食できると思う量を自分で決めさせましょう。
園側の事情でいうと、給食は衛生面から、配膳されたものを戻したり、他の子に渡したりすることを禁止している場合があります。配膳前に完食できる量を自分で決め、あらかじめ減らして配膳できるといいですね。子どもは自分で決めるという行為によって、受け止めてもらえた、これなら頑張れる!と、前向きな気持ちになりやすいです。自分で決めた量を食べきれることで、ようやく残さずに「完食」できるのです。全てのお皿がきれいになることの喜びや、頑張ると決めた量を、きちんと食べ終えた時の達成感を得られます。
配膳量を自分で決められるかどうかは園によって違うので、先生に相談してくださいね。
きちんと食べきれた時にはしっかりほめ、ママの食べてほしい気持ちを聞いてくれてありがとう!と伝えましょう。食べられる経験がグッと増えてきたら、皆の半量、三分の二、そして配膳された量を食べられるようになります。
完食までの過程を大切に
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ひと昔前は「給食は絶対に全部食べる」という考え方が当たり前の時代でした。きっとこれを読んでくださっているママ世代の方々も、そのような学生生活を送られてきた方もいるはず。しかし、今は大きく変化しています。保育でも一人ひとりに合った関わり方を求められる時代になり、給食でも「完食」がゴールではなく、その子の気持ちや保護者の意向、それまでの過程が大事にされています。
園生活はわが子だけでなく、他の子どももいるため対応してもらえる範囲はそれぞれかと思いますが、担任の先生に相談しながら、その子にとってどう好き嫌いを乗り越えるのが最適なのか、一緒に考えていける関係でありたいですね。