©ママリ
👉【1話から読む】新1年生になった娘は登校拒否児なりかけだった
やってきた小学校初の保護者会。正直、他の保護者の目が気になり気は重かったけれど、私は意を決して、今のユイのことをカミングアウトすることに。すると翌日、信じられない光景を目の当たりにするのでした。
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保護者会という名の処刑台?母、憂鬱マックスで会場へ
4月下旬、小学校初の保護者会。正直、気が重かった。
ユイの状況を知るのは先生方だけ。他の保護者は、毎朝メソメソしてるユイと私をどう見てるんだろう…。不安で足取りは鉛のようだ。
教室には既に多くの保護者が。当たり障りのない挨拶を交わすも、どこかアウェイ感。
早く終わらないかな…そんなことばかり考えていた。
そして会の後半、担任から「一言ずつご挨拶を」の声。
来たか…。
順番が近づくにつれ心臓が早鐘を打つ。
(どうしよう…何を話せば…)
当たり障りなく済ませることもできる。
でも…ここまで来たらもう隠していても仕方ないのでは?迷惑をかける可能性もあるなら、先に正直に話し、理解と謝罪を伝えておくべきじゃないか…?
意を決した。
震え声でカミングアウト「娘が…迷惑かけます」結果は
私の番が来た。深呼吸し教卓の前に立つ。
「〇〇ユイの母です。いつもお世話になっております」
定型文の後、一呼吸。
「あの…実は娘のユイですが、まだ一人で学校に来ることが難しく、新しい環境に慣れるのに少し時間がかかっている状況です。ですので、毎朝付き添ったり、メンタルケアの先生にお力をお借りしたりしています。もしかしたら授業中に落ち着きがなかったり、ご迷惑をおかけすることがあるかもしれません。本当に申し訳ありませんが…一年間、どうぞよろしくお願いいたします」
言い終えると同時に深々と頭を下げた。
顔を上げると、教室はしーん…と静まり返っているように感じた。
(実際はそうでもなかったかもだけど)
保護者の皆さんの視線が痛いほど突き刺さる。早く席に戻りたい一心だった。
保護者会が終わりどっと疲れて帰宅。
(あんなこと、言わなきゃよかったかな)
後悔と、でも胸のつかえが少し取れたような妙な解放感もあった。
翌朝、優しい世界線に涙腺崩壊
そして、運命の翌朝。
いつも通りユイと手を繋ぎ学校へ。下駄箱に着くと、昨日までとは明らかに違う光景が待っていた。
「ユイちゃん、おはよー!」
「あ、ユイちゃんだ!一緒に教室、行こ!」
「ねえねえ、昨日、カブトの折り紙いっぱい持ってたでしょ?すごいね!」
クラスメイトの子たちが、次から次へとユイに笑顔で話しかけてくれるのだ!
当のユイは相変わらず少し俯き加減でモジモジし、はっきりした反応は返せていない。
(そこは通常運転、笑)
でも、そんなことはどうでもよかった。子どもたちの、屈託のない、優しい声かけのシャワー。それを見ているだけで、私の目から熱いものがポロポロとこぼれ落ちた。うれしくて、ありがたくて、涙が止まらなかったのだ。
(……ああ、きっと……)
確信した。
昨日の保護者会の後、家に帰ったお母さんやお父さんたちが、自分の子どもたちに話してくれたんだ。
「ユイちゃん困ってるみたいだから、優しく声をかけてあげてね」
って。
そうとしか考えられない、明確で温かい変化だった。
なんて、なんて優しい人たちなんだろう。胸がいっぱいになった。
この学校で、このクラスで、本当によかった。
一人の勇気が紡いだ、温かい奇跡の連鎖
母親が抱えた不安と葛藤の末に絞り出した勇気あるカミングアウトは、予想もしなかった温かい支援の輪となって返ってきました。
この出来事は、閉鎖的になりがちな問題をオープンにすることの意義、そして周囲の理解と具体的な行動が、当事者にとってどれほど大きな救いと希望になるかを鮮やかに示しています。
たった一人の母親の告白が、クラスの子どもたちの優しい行動へと繋がり、絶望の中にいた親子にとって大きな光となった、感動的な奇跡の連鎖のように感じられます。