Ⓒママリ
【第1話から読む】【要注意人物?】評判最悪ママ友と接近…楽しいはずのお茶会で気持ちが暗転した理由
「自然と疎遠に…」小学校受験後に引っ越し、自己中教育ママのその後
年が明け、小学校受験の結果が少しずつ聞こえてくる季節になった。あれだけ熱心だった小百合さんのことだから、きっと良い報告があるのだろうと誰もが思っていた。でも、結果は、残念ながら樹里ちゃんは志望していた私立小学校には合格できなかったらしい。
噂では、小百合さんは樹里ちゃんの現在の学力や性格を考えず、自分の理想を押し付けて受験に臨んでしまったようだ。樹里ちゃん自身は、誰とでもすぐに仲良くなれる、明るくて素直な良い子だっただけに、もったいないと思った。親の過剰な期待に、子どもがつぶされてしまったようにも見えた。
そして、受験が終わってしばらく経った頃、驚く事実を知ることになった。
小百合さん一家が、隣の学区に引っ越すというのだ。理由ははっきりとわからなかったけれど、今の幼稚園の子どもたちと同じ小学校に通わせるのは嫌だったらしい。やはり、メリットがないと思ったのだろうか。
娘の思いを耳にして、距離を置こうと決意
引っ越しの日が近づいたある日、麻友が幼稚園から帰ってきて、こんなことを言った。
麻友:「お母さん、今日は樹里ちゃんに会ったよ。新しいおうちにも遊びにおいでって言ってた!」
亜由美:「へぇ、そうなんだ。麻友は、樹里ちゃんの新しいおうち、行ってみたい?」
私は、麻友の気持ちを探るように、そっと尋ねてみた。すると、麻友は少し考えてから、意外な言葉を口にした。
麻友:「うーん…。樹里ちゃんと遊ぶのは楽しいけど、樹里ちゃんのママが彩加を遊びに入れてくれないときがあるから嫌だな」
子どもは、本当に正直だ。麻友は、小百合さんの彩加に対する態度に、密かに違和感を持っていたのだ。公園で遊ぶちょっとした時間だけでも、自分の妹がよく思われていないことを察知していたなんて…子どもは本当にすごい。
私は麻友の言葉を聞いて、胸のつかえが取れたような気がした。
亜由美:「そうだね。じゃあやっぱり、彩加も一緒に遊べるときだけにしよう」
麻友:「うん!」
その件以降、小百合さんとは連絡を取り合うこともなく、自然と疎遠になっていった。正直なところ、ホッとしている自分がいる。
今回の出来事を通して、私は色々なことを考えさせられた。人付き合いにおいて、本当に大切なものは何なのか。子どもにとって、本当に必要な環境とは何なのか。小百合さんのように、「メリット」ばかりを追い求める生き方は、果たして幸せなのだろうか。
答えは簡単には出ないけれど、私はこれからも、自分の価値観を大切に、そして何よりも子供たちの気持ちに寄り添いながら、日々の生活を送っていこうと心に誓った。メリットやデメリットで人を判断するのではなく、それぞれの個性を尊重し合えるような、そんな温かい人間関係を築いていきたい。
私たち親子にとってのメリット…大切な経験や時間は、日々過ぎていく当たり前の日常の中にこそあるものだと思う。
子どもを幸せにするには「メリット」だけが必要なのか
親であれば、わが子の幸せを願うことは当たり前のことのように思えます。できれば嫌な思いをしてほしくないものですし、より大きな幸せを手に入れてほしいと思う、本作中の小百合の気持ちも理解できます。
しかし、幸せになるために必要なのはメリットだけでしょうか?メリットにならないと思われるものを排除し続けていれば幸せになれるかというと、そんなに単純なことではないでしょう。子どもはさまざまな経験を通じて自分にとって大切なものを見極めて成長していくからこそ、親は見守りに徹することも必要ですね。子どもを幸せにするために何が必要なのか、改めて考えさせられるお話でした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
イラスト:まい子はん