Ⓒママリ
🔴【第1話から読む】増えた“非通知着信”→「待てよ?」記憶から行きついた、恐ろしい推理|恐怖!見えない敵はママ友でした
夫の転勤で東京に引っ越してきた主人公ゆきは夫と娘と三人、慎ましくも幸せに生活を始め、ゆき自身もママ友やパートで交流築く。しかし非通知着信や悪質な口コミに悩まされ…。ママ友詩織の関与を疑い、ママ友の一人田中から彼女の裏の顔を知り、対峙を決意する。
何気ない笑顔のランチ会
詩織さんからのランチの誘いLINEに、私は「遅くなってごめんね、ちょっと立て込んでて…明日明後日ならパートも休みだから予定空いてるしどうかな」と返信した。気持ちは重かったが、このままでは彼女の悪意に振り回されるばかりだ。今後の動向を見極めるためにも、ここは意を決して「カマをかける」しかないと腹をくくったのだ。
すぐに返ってきた彼女からの快諾のメッセージは、まるで何も知らないかのように明るく、その裏にある彼女の顔を想像すると、胸の奥がざわついた。
約束の日、カフェに向かう足取りは鉛のように重かった。胃のあたりがずっとキリキリと痛む。まるで、これから毒を飲まされるような気分だった。カフェに着くと、詩織さんはすでに席についていて、私を見つけると満面の笑みで手を振った。
「ゆきさん、こっちこっちー!」
私は笑顔を貼り付けて席に着いた。彼女は本当に何も知らないかのように、楽しそうにメニューを眺めている。その変わらない様子が、かえって私には薄気味悪く感じられた。
「ここ、内装もかわいいし、メニューも豊富で迷っちゃうよね!私、ここのパンケーキがずっと気になってたんだ!」
彼女は屈託なく話しかけてくる。私は相槌を打ちながら、冷静を保つよう努めた。まずは他愛もない雑談で場を和ませ、ころ合いを見て本題に入るつもりだった。愛奈の学校の話、夫たちの仕事の話、近所の美味しいお店の話…。一般的なママ友同士の会話が続く。彼女は饒舌で、私が口を開く隙もほとんどないほどだった。
しばらくして、パンケーキが運ばれてきた。甘い香りが漂い、一瞬だけ心が和む。しかし、目の前のパンケーキがどんなに美味しそうに見えても、私の心は一点の曇りもなく、緊張で張り詰めていた。
カマをかけると様子が
「そういえばさ、詩織さん」
私は意を決して、切り出した。彼女がフォークを止めて私に視線を向けたのを確認する。
「最近ね、ちょっと困ったことがあって…誰にも相談できなくて困ってたんだけど、詩織さんなら聞いてくれるかなと思って」
私はわざと困ったような顔を作り、彼女に助けを求めるような姿勢を見せた。これが、私が仕掛けた罠の入り口だった。
「え、どうしたのゆきさん?何かあった?私で力になれることなら何でも言って!」
彼女の表情は、心配そうな色を帯びている。それが演技だと分かっていても、その自然さに感心するほどだった。
「実はね、ここ最近、非通知の着信がすごく増えてて…毎日毎日かかってくるから、正直、ちょっと怖いなって思ってて…」
私の言葉に、詩織さんの顔が少しピクッとしたような気がする。しかし、すぐに持ち前の明るさで繕う。
「えー!それは怖いね!いたずら電話かな?」
「うん、それも考えたんだけど…あとね、パート先のスーパーのクチコミも、最近酷いこと書かれてて…」
私が続けると、彼女は少し目を泳がせた。非通知電話とクチコミのつながりがバレていそうなことを感じ、焦っているのだろうか。
「そのクチコミ、最初は漠然としたことだったんだけど、最近になって『おばさんのレジ応対が悪い』なんて、具体的なこと書かれちゃって…多分私のことだと思わない?」
私が言葉を紡ぐたび、彼女の顔は少しずつ下を向き、表情を伺いにくくなった。
「でね、私の知り合いに、弁護士さんがいるんだけど…こういうのって、発信者情報開示請求っていうのができるらしいの。誰が非通知の電話をかけてるのか、誰がクチコミを書いてるのか、調べられるって」
その言葉を口にした瞬間、詩織さんの顔色は明らかに変わった。それまで饒舌だった彼女の口から、一切の言葉が出なくなった。明らかに動揺している。
「あ、あはは…そんな…弁護士さんなんて…大袈裟じゃない?
きっと、ただのいたずらだからさ…やめた方がいいと思うよ、そういうの…」
彼女の声は、普段の明るさを失い、か細く震えていた。笑顔は完全に消え去り、額には脂汗が滲んでいる。まるで、罪を追及された容疑者のようだった。そして、弁護士を介入させることを、必死に止めようとしている。
カタカタと震える手でパンケーキを口に運び、精一杯の笑顔を作ってこう言った。
「ね、相談なら私がいつでも乗るし、そこまで怖がらなくても、実害ないんでしょ?」
と、ぎこちなく笑う。
ここで意を決して「ごめんなさい」と言ってくれれば、私もまだこの人を許すことができたかもしれない。
でも、このまま話し続けても彼女がしらを切り続けることは明らかだった。
私はついに“反撃”を決意した。
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あとがき:張りつめた緊張の糸と甘い香り
張りつめた緊張の糸を和らげるような、それでいて間延びさせてしまいそうな甘い香りに意を決することができたゆき。
後から思い返せばもっといい言い回しができたかもと思えるゆきの人の良さが垣間見えます。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










