突然訪れた恋、その裏に潜む現実
美咲さん(32歳)は、小学1年生の娘と暮らすシングルマザーです。数年前の離婚は、彼女の生活に大きな変化をもたらしました。元夫の不倫により得た慰謝料と財産分与、計500万円。この金額は、美咲さんにとって新たな生活を築く上での希望でした。しかし、現実は美咲さんの想像をはるかに超えるものだったと言います。
「新しいアパートの敷金礼金、家具家電の購入、娘の学用品の準備、そして生活の足となる車の購入。離婚後の『初期投資』は想像以上に大きく、500万円はあっという間になくなってしまいましたね。でも、これは必要経費と割り切るしかなかったですね。」
美咲さんは、自身の収入では年100万円の貯蓄も困難であり、減った貯金を取り戻すことは容易ではないそう。それでも、ネイルやスターバックスでのコーヒーなど、ささやかなご褒美を日々の活力にして過ごしてきたと言います。
そんな美咲さんの前に現れたのが、健太さん(30代後半)です。彼もまたシングルファザーであり、マッチングアプリを通じて出会いました。互いに子を持つ親として、二人の関係は急速に深まり、結婚を前提とした交際へと発展したのです。
貯金問題、彼が放った衝撃の言葉
交際が始まって間もない頃、二人の会話は貯蓄の話へと及びました。美咲さんは、500万円の貯金が離婚後の初期費用で尽きたことを正直に話したと言います。この美咲さんの告白に対し、健太さんは驚きを隠せない様子だったと美咲さんは振り返ります。
「え、500万もあったのに、そんなに減っちゃったの? 信じられないな…」
健太さんはそう口にしたそうです。
その時の話をする美咲さんは、複雑な表情を浮かべます。
「チクリと胸が痛みました。まるで私が、500万円という大金を無駄遣いしたとでも言われているような気がして……。さらに彼が『俺なら、それならスタバやめるかな、とか思うけどな』と続けて。私にとってはささやかな息抜きだったのに、そこまで否定されるなんて、正直ショックでしたね。」
追い打ちをかける「これからどうする?」
健太さんの問いかけはさらに深く、美咲さんの計画性を問うものへと変化したと言います。
「どうするつもりだったの?これから? 貯金そんなに減って、どうするつもりだった?」
健太さんはそう問い詰めたそうです。
彼の問いに対し、美咲さんは具体的に将来設計を考えていたのかどうか問うと、美咲さんは正直に語りました。
「いえ、そこまで詰めて考えていたわけではありませんでした。日々の生活を維持することに精一杯で、貯蓄計画まで手が回っていなかったのが実情です。彼は自分の娘の大学費用は既に確保していると明かし、結婚となれば私の娘の貯蓄も『頑張らないと』と言ってくれました。でも、私にはそれが、まるで『あなたとは違う』と言われているような嫌味に聞こえてしまって……。」
美咲さんは、なぜ健太さんがそこまで自身の貯蓄状況や将来の計画について詰問するのか、その意図が理解できずに困惑したと語ります。
この日の会話は、美咲さんの心に拭い去れないモヤモヤを残したのでした。