Ⓒママリ
夫の不倫に気づいた専業主婦のゆうかは、相手の女性と対面する。しかし、慰謝料をあっさり承諾され、まるで痛くも痒くもないと言わんばかりの態度に打ちのめされる。夫が不倫相手に心底惚れている様子も伝わり、ゆうかはこの上ない惨めさを味わうのだった―――。
夫があっさり不貞を認めた日
「私って、一体なんなんだろう…」
鏡に映る自分の顔に、思わずそう呟いた。私はゆうか、35歳。夫の基樹は、34歳。そして愛しい娘の穂希(ほまれ)は5歳。専業主婦として、私はごく普通の幸せを掴んだつもりだった。でも、去年のあの日から、私の世界は色を失ったままだ。
きっかけは夫の不倫。相手は、彼の元同僚だったという舞子という女。32歳だという。 信じたくなくて、でもどこかで予感していて。私の直感は、LINEのやり取りという形で残酷にも現実を突きつけてきた。震える手で夫にカマをかけると、基樹はあっさりと自白した。
「ごめん。舞子のことが好きになってしまった」
その瞬間、私の心臓はヒビが入ったグラスのように砕け散った気がした。
渦中のはずなのに、蚊帳の外
「その女を呼び出して。慰謝料請求するから!」
そう告げ、私は舞子を呼び出した。直接話すのは、初めてのこと。どんな女性なのか、どんな謝罪の言葉があるのか、ほんの少しの期待と、拭いきれない憎しみが胸の内で渦巻いていた。しかし、舞子は私の想像をはるかに超える冷静さだった。
「はい、基樹さんとはお付き合いしています。結婚されているのは知っていましたよ」
彼女は淡々と、まるで天気の話でもするように言い放った。
「彼との将来は『穂希ちゃんの子育てを全うしたら考える』という約束をしていましたので。今すぐ離婚してほしいだなんて思ってません。すぐに再婚したい気持ちは、私にもありませんから安心してくださいね」
その言葉に、私の頭は真っ白になった。まるで、私が知らない間に、私の人生が勝手に決められていたような、そんな理不尽さ。「安心して」と不倫相手に言われるなんて、私はどれだけバカにされているんだろう。
自分がただただ惨め
慰謝料の話になると、彼女はため息をつきながらこう言ったのだ。
「慰謝料ですか?別に構いませんよ。あなたの請求した額よりも上乗せして、離婚しようがしまいが一括で払いますから」
こちらが提示した額よりも多い金額を、一括で?その言葉は、まるで「私には痛くも痒くもない」と言われているようだった。私がどんなに怒り、どんなに苦しんでいるかなんて、まるで響いていない。彼女の冷酷なまでに落ち着いた態度に、私の腹の底から怒りが込み上げてくる。
そして何より夫の基樹が何も言わない様子が、無言でいながら舞子側の人間だというのが伝わってきてつらかった。
私は、一体何のために生きているんだろう。家に戻れば穂希がいるから、私はなんとか立っていられるけれど、この惨めさから抜け出す術が、どこにも見つからない――。私はその日、どうやって家に帰ったかも思い出せないほど、憔悴して帰宅した。
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あとがき:裏切られた悲しみ
ゆうかさんが直面した理不尽な現実に、胸が締め付けられるような思いで第一話を執筆しました。慰謝料を突きつけることでせめてもの反撃を、と望んだものの、相手の冷徹な態度と夫の視線が彼女の心をさらに深く傷つけます。
この「どん底」の状況から、ゆうかさんはどうやって光を見つけていくのか。この物語は、彼女が自分自身を取り戻していくための第一歩にすぎません。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










