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🔴【第1話から読む】「他の良い人を見つけたほうが…」夫から突然の離婚勧告、一体なぜ?
不倫相手が保育園の先生と知り衝撃を受けた彩乃。しかし夫は「彼女は悪くない」と庇い、噂を伝えても耳を貸さない。むしろ来年までに別れると曖昧な約束をし、彩乃を置き去りにした。
涙とヤケ酒の夜
深夜のリビング。沈黙に私の鼻を啜る音だけが虚しく響き渡るも、その涙に寄り添う“誰か”はいなかった。
夫の不倫、しかも相手は子どもたちが通う保育園の先生……。その事実に衝撃を受けた上で、不倫相手をさもまともな様に扱って庇う夫の姿に、私はもはや怒りの矛先さえ見失っていた。
「彼女は何も悪くないし、俺は彼女が好きだ」
「あの子はそんな子じゃないよ。良い子なんだよ」
ヤケ酒を再開して記憶や感情を誤魔化そうとすればするほど、夫からの告白が思い起こされては一言一言が胸を鋭く突いてきた。痛みを誤魔化そうと、お酒を理由に結婚指輪を外して壁に投げつけたり、夫の写る写真を勢いよく伏せたりしてみた。けれど、荒っぽい行動をしている自分に嫌悪感を抱いては虚しさが募るばかりで、それがさらに涙を流させた。枯れ果てるほどの涙を流し、自暴自棄に当たり散らしたのに一向に眠ることはできなかった。
「君と別れる」夫の冷酷な答え
日が出始める頃、呼吸が落ち着いたタイミングで考える。「やっぱり納得できない」と。
こんな状況でも私は夫を含めた家族をかけがえのない存在だと思っている。夫は10代後半から連れ添い、長くて辛かった不妊治療の時期も支えてもらった。もし夫の話すように不倫相手が脅しているのなら、私たち家族で受けて立てばいい。どこに移り住んだっていいと思った。でももし、それは建前で不倫を続けるための口実だったら?あわよくば2人で逃避行しようとしていたら?……。湧き上がる不安に、私の決意は揺さぶられていた。
「ママー、めぇ、あかいのどーしたの?」
朝食を摂るリビング。娘の結の鋭さを誤魔化すことができないほど、一晩中泣いた目は腫れて充血していた。
「んん?昨日、ちょっと怖い夢見てママ泣いちゃったの〜」
明るく振る舞いながら子どもたちに答えるも、夫の反応はなかった。昨晩のこともあって、朝のリビングの雰囲気は異様に静かで冷たい気がした。いつも子どもたちと積極的にやりとりする夫、今朝は必要最低限のやりとりのみでしきりにスマホのネットニュースをスワイプしている。私や昨晩の話題から距離を取るようなズルさを感じてモヤついた。唯一の救いは、普段通りで元気な子どもたちの姿だった。
保育園に送り出す直前。出社準備を済ませてソファーに黙って座る夫に我慢ならず、私は子どもに聞こえないよう質問した。
「……ねぇ。昨日の話だけど、女と私たち家族、どっちと別れるつもりなの?」
夫は眉をピクッと反応させつつ、こちらに顔を向けずに答えた。
「……君と別れる」
端的なその答えには、不倫相手を選んだこと、そして私を切り捨てる意思が込められていた。深い哀しみとともに激しい怒りが込み上げた。
子どもの幸せと私の葛藤
「分かった!ならもう、全部言ってくるね?保育園に言ってくるから!」
込み上げる涙を堪えながら、怒りに任せて吐きつけた言葉。必死の思いにも夫は依然としてこちらに目もくれず、ゆっくりコーヒーを口に運ぶ。そして深いため息をひとつ吐いて答える。
「バレる覚悟で浮気したから、いいよ。別に」
夫の目や声色が、私に対する鬱陶しさを滲ませていた。夫との熱量の違いにやるせなさが募った私は、力無く子どもを送りに保育園へと向かった。
「ねぇー、きょうはなんで、じてんしゃのらないのー?」
「えっ?……ママ今日ちょっと、歩きたい気分なんだ!」
夫から吐かれた冷たい言葉と態度に、私は心底疲れてしまった。
「……君と別れる」
ならいっそ、離婚してしまおうか……。そんな考えさえ頭を過った。でもそうしたら、今目の前のこの子たちはどうなるんだろう?淋しい思いはさせたくない。子どもたちには父親が必要。そのためなら、多少私が傷ついたって……。
ズキズキと痛む心は、子どもたちの幸せを願う気持ちと私の傷つきが葛藤した、複雑な感情で満ちていた。
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あとがき:切り捨てられた妻の孤独と葛藤
夫の口から突きつけられた「君と別れる」という言葉。その冷たさと無関心は、彩乃を一層孤独へと追い込みました。子どもたちの前では必死に笑顔を取り繕っても、心は崩れ落ちそうで、父親を必要とする姿を見るほど胸が痛みます。裏切りへの怒りと、子どもたちの幸せを守りたいという思い。その狭間で揺れる彼女の決断は、容易には出せませんでした。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










