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日下部さんと会ってから、私の心に小さな変化が生まれた。このままではいけない。穂希のために、私は強くならなければ。
日下部さんが「何か力になれることがあれば」と言って紹介してくれたのは、日下部さんの知り合いが経営する転職エージェントだった。
「ゆうかさんのキャリアプラン、一緒に考えましょう」
担当の女性は、私の話を熱心に聞いてくれた。専業主婦期間が長かった私にとって、社会復帰は大きな不安だったけれど、彼女の力強い言葉に背中を押された。そして、驚くほど順調に、私は新しい仕事を見つけることができたのだ。
「穂希、ママね、お仕事するんだよ」
「そうなの?ママ、すごいね!がんばって!」
娘のうれしそうな顔を見て、心がじんわりと温かくなる。夫と舞子のことを考えると、いまだに怒りと悲しみで心が引き裂かれそうになるけれど、私はもう、彼らに囚われない。穂希のために、前だけを見て生きると決めたのだ。 ※1
自立した女性へ!一歩踏み出した妻
夫の不倫が発覚し、どん底だったゆうか。そんなとき、偶然にも夫の上司・日下部さんと再会。日下部さんは、ゆうかの話に静かに耳を傾け、寄り添ってくれたのです。そして、日下部さんの助けもあり、ゆうかは仕事を見つけます。
その後、ゆうかは離婚を決意。慰謝料と養育費を手に、娘とともに新しい生活を始めます。
不倫をした夫の悲惨な末路
離婚して数か月が経ち、新しい生活にもすっかり慣れたころ、私は日下部さんから、ある驚きの話を聞くことになった。
「ゆうかさん、実はこの前、基樹が飲み会で泥酔したらしくて…」
日下部さんは、少し言い淀みながら話を切り出した。基樹は離婚で解放された気持ちになったのか、社内の飲み会の席で、舞子との関係を洗いざらい話してしまったというのだ。その場に居合わせた社員の中に舞子の“アンチ”がいたらしく、その内容を舞子のSNSに書き込んだという。匿名だったが、その内容は舞子を軽蔑し、糾弾するような趣旨だったようだ。
「それがきっかけで、舞子のSNSが大炎上したんです。これまで築き上げてきたインフルエンサーとしての地位はなくなったでしょうね」
あろうことか、元夫が図らずして舞子を制裁したのだ。これで舞子のインフルエンサーとしての道が断たれた。その言葉に、私の胸の奥に燻っていたわだかまりが、少しずつ溶けていくのを感じた。彼女は何も失わないと思っていたけれど、承認欲求が強い彼女にとって、手軽に称賛を浴びることができたSNSに居場所がなくなるのはとんでもないダメージだったようだ。
その後も舞子は基樹と交際しているものの、精神的にもかなり病んでいるという。 ※2
お酒がはいっていたとはいえ、自分で自分の不倫騒動を暴露してしまうなんて…。さらに、それがきっかけで、不倫相手の女のSNSは大炎上。インフルエンサーとしての道は断たれ、収入も大幅にダメージがあったようです。
もう振り回されない!自分と娘の幸せを第一に
そして、基樹自身も、この騒動で会社から降格処分を受け、さらには遠方への左遷を言い渡されたそうだ。
「基樹は、養育費の分も必死に働かないといけなくなって、かなり大変みたいですよ」
基樹が養育費を払えないなら立て替えるだなんて言っていた舞子も「踏み倒したら訴えてもいい」と言ったのを、後悔しているかもしれない。
彼らの生活は一変してしまったようだが、私も穂希も、もう彼らとは何の関わりもない。彼らの不幸を願っていたわけではないけれど、どこか溜飲が下がる思いがしたのも事実だ。 ※3
ゆうかが直接制裁を加えずとも、勝手に自滅しました…。やはり、大切な人をないがしろにし、見くだした態度ばかりしていると、いつかは自分に返ってくるものですね。
ゆうかは、一時は不倫されたことに傷つき、自分の存在価値すら見いだせないこともありました。ですが、夫の上司が味方になってくれたのがきっかけで、自分で大きな一歩を踏み出します。
娘のため、自分のために、自ら幸せをつかもうと努力しました。その結果、今は母娘で穏やかな日々を過ごしています。不倫をされた側には、一切非はありません。裏切者から解放され、これからも自分たちの幸せのために、歩んでいって欲しいですね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










