夫と付き合っているころ、2度も浮気を繰り返したあんり。修斗に別れを告げられ、初めて自分の愚かさを思い知ったあんりは、もう絶対に修斗を裏切らないと決めて結婚したものの…。
幸せを裏切った過去
私の名前はあんり、32歳。夫の修斗と4歳の長男、翼、そして1歳の次男、健の4人家族。夫は33歳、頼りになる優しい人。上には35歳のしっかり者の姉、のぞみがいる。ごく普通の、どこにでもいる幸せな家庭に見えるでしょう。
でも私にはかつての行いへの後悔がある。
夫とは5年間交際して結婚したのだけれど、その中で2度も浮気をしてしまったのだ。
別れたいわけじゃなかった
1度目は付き合い始めて数か月のころ。出来心で元カレと会って、その後何度か男女の関係になってしまった。そのことが修斗にバレてしまった。当時は修斗が「元カレを忘れさせるくらい大事にするよ」と言ってくれた。今思っても本当に優しい彼だった。
でも、そのやさしさにあぐらをかいた私は、交際4年目にまたやらかしてしまう。高校の同級生たちと飲みに行った際、当時好きだった人に誘われて過ちを犯してしまった。しかも、その後も連絡を取り続けていて、修斗にまたバレたのだ。
そのとき、修斗はさすがにあきれていた。
「もう……別れよう」
修斗の言葉に、目の前が真っ暗になった。全てを失う恐怖。彼が私の人生からいなくなること、この幸せな日常が消えること。それは、浮気したときの高揚感なんかよりも、ずっとずっと恐ろしいものだった。
「ごめんなさい……もう絶対しない……」
私は修斗に縋りついた。泣きながら、何度も何度も謝った。修斗は大声で罵倒するでもなく、悲しい目で私を見ていた。その瞳を見て、私は本当に、心から自分の犯したことを後悔した。
夫に尽くすことを決意
でも、修斗はしばらく考えた末に私を許してくれた。そして彼と私は結婚することになったのだ。私は決めた。修斗に尽くそう。彼が私に尽くしてくれたように、いや、それ以上に。彼を一番に愛し、この幸せを、一生かけて守り抜こうと。
結婚後は他の男性に会うことなんて考えなかった。毎朝「いってらっしゃい」のキスを交わしていたし、子どもが生まれてからも夜は二人でゆっくり語り合う。修斗は相変わらず優しくて、仕事で疲れて帰ってきても、必ず私や子どもたちを抱きしめてくれる。
私は、もう過去の過ちを繰り返さない。そう誓っていた。この幸せが、ずっと続くように。
このころは、夫のスマホの中身を見たいなんて思ったことがなかった。だって、優しい彼はいつでも「真っ白な潔白」だと信じていたから――
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あとがき:「幸福に潜む甘え」
幸せな家庭を自ら壊そうとした主人公の行動は、読む者の心をざわつかせます。なぜ人は、満たされているはずなのに、別の何かを求めてしまうのか。修斗さんの深い悲しみと、それでもあんりさんを許すという決断は、愛の形を問いかけます。再構築を決意したあんりさんの覚悟は、どこまで本物なのでしょうか。










