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幼なじみとのケンカで発動する「親ネットワーク」→親友の隠れた悩みを知る|ワーママと専業主婦のミゾ

ナツミさんは、フルタイムで働きながら三人の子どもを育てる明るいママ。専業主婦の親友・チサトさんとぶつかってしまったあとも、心の中には小さなトゲが残ってしまっていて…。ですが、『違っていても、つながっていたい』そんな想いが静かに再び重なりはじめます。主婦としての生き方を模索する女性たちの物語。『ワーママと専業主婦のミゾ』最終話をごらんください。

🔴【第1話から読む】牛乳がこぼれるいつもの出社前、突き刺さる親友の“キラキラ専業主婦SNS”|ワーママと主婦のミゾ

幼なじみ同士のワーママと専業主婦。価値観の違いによる衝突のあと、届いたのはお互いの本音と涙。親友として、主婦として、母として積み上げてきた時間を、2人は見つめなおします。

実母に気づかされた。私と彼女の「現実」

電話 女性 日本人 PIXTA

一夜明けて月曜日。今日もめいっぱい働いて、家事をして、もうこんな時間だ。子どもたちを寝かせてから、スマホをにぎりしめた。トオルは今夜は夜勤でいないから、家は静まり返っている。

気づけば、実家の母に電話をかけていた。何を話したいのか、自分でもよくわからなかった。

「あら、どうしたの」
「うん、別に。元気?」

世間話のつもりだったのに、声が震えているのを母はすぐに聞き分けた。

「チサトちゃんのことでしょう?」

ドキッとした。

「なんで知ってるの?チサトから聞いたの?」
「オカンネットワークをなめちゃいけないよ」

母が笑う。私はたまらず今回のことを母に話した。そして、チサトのお母さんから聞いていた実情を教えてくれた。

「チサトちゃんもね、お母さんにあなたとケンカしちゃったって今朝連絡してきたそうよ」
「チサトちゃん、実はちょっと大変みたい。本当は働きたいけど、ご家族が母親は家を守るって考えで、強く言えないらしいの」
「ナナコちゃんのバレエも、向こうの親の意向でね。いろいろと我慢しているみたい」

頭を思い切り殴られたような感覚がした。チサトのきれいなお弁当、飾り切りのにんじんがのったきれいな煮物。羨ましくて、悔しくて。

チサトは子どものころからお菓子作りや裁縫が趣味だった。でも今のなんでも手作りは、彼女が好きで選んだ時間じゃなかったのかもしれない。

「ナツミ、あなたが働いているのはすごいと思うし大変なことだよ。でも、主婦にだって大変なことはあるのよ。それぞれ事情もあるからね」
「…うん」

気がつけば、涙がぽろぽろ落ちていた。私はチサトを「キラキラ主婦だ」と決めつけていたし、チサトに大変な一面なんてあるはずないと思っていた。でも、チサトにはチサトの悩みがあったんだ。

再会と素直な「ごめんね」

女性 室内 日本 涙 PIXTA

その週末。インターホンが鳴って、ドアを開けるとチサトが立っていた。ナナコの手をしっかり握って。2人を招き入れて、お茶を出す。

「ナツミ…この前はごめんね」

声が震えていた。ナナコちゃんも不安そうに私を見ている。

「私こそ、ごめん」

素直に言葉が出た。リビングでナナコちゃんとわが子を合流させて、チサトとダイニングに腰かけた。

「チサトが頑張ってるの、知ってたのに。勝手に比べて、勝手に怒って…」

そのあとはもう言葉にならなかった。涙が止まらなかった。

「違うの。私だって自分で決めて家にいるはずなのに、そうじゃない人生を見るとちょっと羨ましく見えて、なんだか妬ましく思っちゃうこともあって。この間もそう。ナツミは義両親に大切にされていていいなとか思っちゃって」
「子どもたちのことも、余計なこと言ってごめんね」

チサトの目にも大粒の涙が浮かんでいた。胸がぎゅっと締めつけられる。

「私だって、チサトの料理や暮らし方を尊敬してたのに、比べ合ってバカだよね、私たち」

思わず笑うと、チサトも涙を拭きながら笑った。

ソファーで大人しくしていたカンタが、仲直りを感じ取ったのか

「よし、みんなオレの変身を見ろーっ」

と謎のダンスと変身ポーズを決めた。こういうやさしさが、うちの子の魅力なんだと思った。

人生のステージが変わっても、また笑いあえるように

女性 楽しい 日本 PIXTA

大人になった今も、私達は友達。だけど、ファミレスで何時間もおしゃべりしたあのころのような友達じゃない。

生きていくことは常にステージが変わること。友達とはそれぞれの人生を生きるなかで、楽しく過ごしたり、励ましあったり、とてもありがたい存在。子どものこと、旦那のこと、どんどんステージが変わる。でもそれは上がったわけでも下がったわけでもない。新しくなったんだよね。

おたがいの人生を生きながら、また交差した時、笑い合えるように頑張っていなくちゃ。

その夜、子どもたちが寝たあとの静かなリビングで、私はトオルに言った。

「チサトと仲直りできた」
「そっか」

トオルはうなずいた。

「これからも、お互い違うって認め合える友達でいたいと思ったよ」
「いいじゃん、最高じゃん」

その言葉に、心がふっと軽くなった。大切な親友と、これからもお互いを認め合ってお付き合いしていきたい。

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あとがき:違うからこそ、わかりあえることもある

比べたくないのに比べてしまう。すれ違い、ぶつかる。でも、お互いを思うからこそ、本音をぶつけ合えたナツミさんとチサトさん。

同じじゃなくていい。認め合える関係が、また一歩2人をつなぎなおしていく。どんなライフステージにいてもまた笑い合いたいと思える誰か、それこそが「親友」なのかもしれません。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています

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