再び平和な日常が戻ったように見えました。朋美は家計を管理し、健太は大人しく働いています。しかし、水面下では、あの十数万円の投資が動き始めていました。ある日、健太が上機嫌で帰宅したことで、朋美は事態が良い方向に向かっていることを知ります。しかし、その時朋美が感じたのは喜びではなく、彼の増長した「欲」でした。
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「利益が出たんだ!」夫の上機嫌に蘇った妻の強い嫌悪感
健太に十数万円の資金を残してから、数週間が経ちました。朋美は、健太が約束通り真面目に働いていることに安堵し、少しずつ彼への信頼を取り戻し始めていました。
ある日、健太がいつも以上に上機嫌で帰宅しました。
「どうしたの?何か良いことでもあった?」と朋美が聞くと、健太は興奮した面持ちで答えました。
「あの残しておいたFX、かなりの利益が出たんだ!あの時売らなくて正解だったよ」
健太の言葉に、朋美は安堵と同時に、強い嫌悪感を覚えました。利益が出たのは喜ばしいことですが、健太の目には、以前のような反省の色はなく、欲に目がくらんだ輝きが見えたのです。
血の気がない夫の顔。妻が直感した「約束の再破綻」
「よかった!じゃあ、すぐに全部売って、家計に戻して。これで、あの時の損失もいくらか補填できるよ」
と朋美は即座に伝えました。しかし、健太は首を振りました。
「何言ってんの!相場はまだまだ上がるはずだよ。今売るのはもったいない。もうちょっと待っててくれれば、もっと大きくして返すから!」
朋美はカッとなり、押し問答になりました。しかし、その時、子どもが泣き出し、朋美は仕方なく子どもの世話に追われてしまいました。
「わかった、とりあえずあとでゆっくり話し合おうね」
そう言って、朋美はその場での話し合いを一時中断しました。その「あとで」が、致命的な遅れになるとは、思いもしませんでした。1ヶ月以上が経過し、朋美は忙しさにかまけて、そのFX投資の件を深く追求しないまま過ごしてしまったのです。
そして、ある日の夜、健太が帰宅したとき、彼の顔は前回よりもさらに青ざめ、血の気が全くない状態でした。
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繰り返される裏切り。夫婦が直面する「投資依存」という名の病
この第4話では、健太の「リベンジ願望」が一時的な成功によって増長し、「欲」という形で表面化します。朋美さんは、この時健太の言葉ではなく、彼の表情と態度から、投資がギャンブルに変わっていることを直感的に察知しました。
しかし、子どもの世話という現実的な忙しさに追われ、決定的なタイミングを逃してしまいます。この見過ごされた警告が、物語の破局へと直結することになります。
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