直美は隣人のママ友・光代との付き合いが6年目になる。親密な付き合いに感謝しつつも、光代の過度な干渉や、気にしすぎにも感じる育児方針に小さな違和感を抱き始めていて…。
隣人との関係に悩みがある
私は直美、33歳。夫のタケルと同じ歳。長女の美里は7歳で、この春ピカピカの1年生になったばかり。普通の主婦で、どちらかといえば平和主義。波風立てるのが苦手で、悩むとすぐに夫に相談する癖がある。
そして、私の悩みの根源は、隣に住む光代さん、35歳。光代さんの娘の桃子ちゃんも美里と同じ7歳で、うちは隣同士。本当に壁1枚隔てただけの関係で、子どもたちが赤ちゃんのころから、もう約6年間、濃密なお付き合いをしてきた。
育児のちょっとした悩みもすぐ相談できる光代さんの存在は、出産当初、とてもありがたい存在だった――。
礼儀正しく優しいママ友が隣人だった
「直美ちゃん、これよかったら。お隣さんだから遠慮しないでね」
「わあ、ありがとうございます!助かります、光代さん」
光代さんは、そういう人。すごく礼儀正しいし、何かあるとすぐに気を遣ってくれる。美里のこともかわいがってくれて、私自身も頼りにしている部分があった。私たち家族に、本当に良くしてくれるんだ。だからこそ、関係を断ち切るなんて、絶対に考えられなかった。
美里と桃子ちゃんは、生まれた時からずっと一緒。家を行き来して、まるで姉妹のように育った。私たち親も、週末には一緒に公園に行ったり、季節のイベントを共に祝ったり。
傍から見れば、理想的なママ友、いや、姉妹みたいな関係に見えていたと思う。
見え隠れする片鱗
でも、去年あたりから、私の中に小さな違和感が生まれてきた。最初は些細なことだったの。
ある日公園に出かけたとき、私が美里の面倒を見ているすきに、光代さんが全く知らないママに話しかけに行っていて。なんだか不穏な雰囲気だったからその後声をかけたら…。なんと、見知らぬママの見守りについてわざわざ注意しに行っていたみたい。
私は驚いて、その日の夜に夫・タケルに気持ちを吐露した。
「光代さんが公園でね、桃子ちゃんの近くで走って遊んでいた子の親にわざわざ注意しに行ったんだよ」
私は隣の寝室でもう寝ているであろう美里に聞こえないよう、小声で今日のできごとを報告した。
「え、なんで? 別にケガさせられたわけじゃないでしょ?」
「そうなんだけど『目を離さないでくださいよ、近くで女の子が遊んでいるのに』って、事前に言いに行っちゃったみたい」
タケルはグラスを傾けながら、軽くため息をつく。
「うーん、光代さんはちょっと気にしすぎなとこあるって、前にも直美言ってたもんな」
「そうなんだけどね、なんだか最近エスカレートしている気もして…」
その時は、まぁ隣人だし、長い付き合いだから仕方ないかって、違和感に蓋をした。まさか、この小さな亀裂が、新学期を迎えて一気に広がってしまうなんて、夢にも思わなかった―――。
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あとがき:ママ友6年目で見えてきた価値観の違い
主人公・直美さんと近所のママ・光代さんがお付き合いしてきた6年という歳月は長く、お互いに心強い存在でしたが、近ごろは価値観のズレを感じるように。平和主義な直美さんにとって、お付き合いの見直しは心の負担が大きいですよね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










