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運動会を見に来た義姉→まさかの行動で“嫉妬心”持ってしまったワケ|弟の子を独占する義姉

家族が集う運動会──。子どもの成長を一緒に見守る、温かな一日になるはずだった。けれど、義姉の参加に、沙耶の胸の奥ではざらつく感情が渦を巻いた。無邪気な娘の笑顔、みんなの歓声。その中心にいるのは、母であるはずの沙耶ではなく、義姉だった。「私じゃなくてもいいの?」そう思ってしまった自分が情けなくて、笑うことさえ苦しかった──。『弟の子を独占する義姉』をごらんください。

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お食い初めや七五三など、節目ごとに義姉が顔を出すようになった。最初はありがたいと思っていたが、次第にその距離の近さに息苦しさを覚えるように。「私の家庭に踏み込まないで」──そう言えないまま、日々が過ぎていった。

思いがけない来訪

姉 PIXTA

──総合公園での一件からしばらく経った頃。娘の花の幼稚園で運動会があった。声をかけた両親に義両親、そして義両親から話を聞き付けた義姉が駆けつけた。

私が義姉に対して抵抗感を抱いていることとは別で、元々義姉だけは遠方に住んでいることもあって、今回誘うのを遠慮していた。けれど、義両親から運動会の話を聞き付けるや否や「遠慮しないでよ〜水臭い。私も参加させて!」と連絡が入った。心のどこかで「今回は義姉は来ない……」と安心していた自分がいたせいか、連絡を受けた後にどっと疲れた。

「みんな、はなのことみててね〜!」

思いがけない義姉の参加に私は心中穏やかではなかったけれど、娘は義姉たちを目の前にして張り切っていた。娘が乗り気なのであればいいか、とざわつく胸を落ち着かせようとする。でも、義姉が集合前の娘の支度の手伝いをする姿や息子をあやす姿に、私はモヤモヤを抑えることができなかった。

晴れない私の気持ちとは裏腹に、天候は運動会日和の晴天だった。入場曲がスピーカーから流れ、運動会は盛大に開会した。

「花ー!頑張れ〜!!」

「花ちゃ〜ん!ファイトー!!」

競技中は家族みんなで娘の姿を追っては、声を張り上げ応援した。そんな私たちに応えるように一生懸命競技に臨む娘。その姿に私は、これまでの娘を重ね合わせては、成長を実感して感慨に浸っていた。その瞬間だけは、義姉への胸のモヤモヤを誤魔化せた。

奪われた瞬間

手 子ども 親 PIXTA

前半のプログラムも終盤に差し掛かり、子どもと力を合わせて行う保護者競技が前半最後に予定されていた。放送をきっかけに娘が私たちの元へ戻ってきた。プログラムを貰ってきてからこの競技はママと出たいと言ってくれていた娘。娘からの指名に私も、期待に胸を膨らませていた。

しかし、タイミング悪く息子の悠がぐずり出してしまった。母や義母があやすのを代わると言ってくれてはいたものの、息子がガッチリ抱きついて離れてくれない。落ち着かない息子に、不機嫌になりながら急かす娘。必死に息子をあやしていると、義姉に声をかけられた。

「悠くんも沙耶ちゃんから離れたくないようだし、花ちゃんは啓介じゃ嫌っぽいから、私が行って来るね!」

そう言うと義姉は止める間もなく娘の手をとって、集合場所へと駆けて行った。息子のあやしを代わるでもなく、「代わりに行って来てもいい?」と訊ねるでもない。娘と臨むはずだった、楽しみにしていたプログラム。義姉のその行動に、私は憤りを通り越して虚しさすら覚えていた。

私が娘と出るはずだった競技を傍目から見る。他のご家庭はパパさんやママさんが笑顔で、子どもと楽しみながら競技に臨んでいる。私も本当は、そっち側だったはずなのに……。

競技が進み、娘と義姉の姿が見えた。義姉はもちろんのこと、娘も満面の笑みで競技に臨んでいた。楽しそうにするその姿が、私には何より辛かった。「私じゃなくても良かったんだ……」そんな卑屈な考えが、頭の中を埋めていた。

母でありたいだけなのに……

孤独 PIXTA

保護者競技のプログラムも無事終了し、お昼休憩のアナウンスが入った。子どもたちは待機場所から親御さんと手を繋いでそれぞれのレジャーシートに戻っていく。移動する人波の中、遠目に義姉と娘の姿が見える。娘は楽しそうに義姉と話しながらこちらへと戻っていた。

義姉を見上げる娘の眼差しが、まるでいつも私に向けているもののようで、義姉に対する激しい嫉妬のような感情が込み上げた。まるで義姉に母親の座を取られたような気分だった。

「ただいま〜!たのしかったー!!」

娘の無邪気で元気な声が家族に広がる。みんなはそれを微笑ましく受け入れているけれど、複雑な心境の私にはその余裕はなかった。義姉への激しい嫉妬や自分への虚しさをなんとか押し殺し、精一杯の笑顔で明るく振る舞った。

お昼休憩が終わり、午後のプログラムが始まった。

「……ちゃん、沙耶ちゃん?」

「……えっ、はい?」

私は義母からの声がけにも反応できないほど、午前中の出来事が尾を引いていた。苦笑いで何とか誤魔化す私。そんな私を見つめる義母の目は、どこか私を見透かしているような、それでいて穏やかな目をしているように思えた。

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あとがき:母の心は、誰にも見えない痛み

義姉は悪気があったわけではありません。それでも、母である自分の居場所を奪われたような気がして、沙耶の心は何度もざわつきました。
「子どもにとって一番近い存在でいたい」──そんな当たり前の願いが、少しずつ壊れていく。家族という温かな輪の中で、ひとり冷たい風を感じていたのは、きっと彼女だけでした。
母親の孤独は、いつも静かに笑顔の裏に隠れているのでした。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています

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