🔴【第1話から読む】義父と死別した義母と同居開始→しおらしい態度に“異変”感じた日|義母と喧嘩して同居解消した話
義母との同居を始めた麻衣。しかし、義母の嫌味や干渉が日に日に強まり、次第に関係がぎくしゃくしていく。夫に相談しても取り合ってもらえず、孤独を抱えたまま日々を過ごしていた。
嫌味が日常に混じる食卓
ある晩の夕食。夫は帰りが遅く、食卓は私と子どもたち、そして義母で囲んでいた。
先日、一緒に料理した際に義母が漏らした言葉。
「最後は面倒見てもらうんだし」
老後の生活の面倒を見てもらうことを、さも当たり前とするようなその発言に、私は絶句した。それに加えて、嫌味な言動をする義母がそのような発言をしたことに、私は図々しさを感じざるを得なかった。それからというもの、私は義母に対して、明確な拒否感を抱いていた。
「ねぇ、ママ。サラダ残していい?」
息子の蓮が顔をしかめながら私に聞いてきた。
「一口は食べてみないと。ね?」
諭すように声をかける。すると、そこに続いて義母が口を開いた。
「え〜蓮くん、好き嫌い多くなってない?でも、ママ優しいから許してくれるかなぁ」
以前までは二人きりの時にしか私に嫌味を言ってこなかった義母。だけど最近になって、義母の嫌味はエスカレートし、子どもたちの前でも言うようになってきていた。いちいち反応して子どもたちを不安がらせたくないと思い、私は無視に徹しているものの、憤りは募るばかりだった。
「……蓮。まずは一口食べてみよ?完食できなくても、食べられるところまでは頑張ってみよ」
「……はーい」
自分の嫌味で私が息子に声がけするのを促したかのように、義母はどこか自慢げな表情を浮かべていた。それが憤る私の気持ちを逆撫でたが、グッと堪える他なかった。
子どもの言葉が胸を突く
義母と私の関係について、子どもたちが気づいている様子はない。そのため食卓では、子どもたちの話題を中心として会話が広がっていた。
「ママー。今日塾にね、かほちゃんのママお迎えに来てたの」
そう話し始めたのは娘の莉子だった。彼女の表情は何か言いたげだけど、我慢しているようだった。
「へー、かほちゃんママお迎え来てたんだ〜」
「うん……ママは来てくれないの?」
「えっ」
娘の言葉に私は呆気に取られた。子どもたちに悲しい思いはさせまいと、できるだけ一緒に過ごす時間を作ってきたつもりだったけれど、まだまだ甘えたい盛りだったようだ。ただ仕事の関係上、日常的にお迎えに行くことは時間的に難しかった。
「うーん。ママもお迎えいきたんだけど、帰りの時間、まだママお仕事してて行けないの」
「そうなんだ……分かった」
娘が悲しそうに俯く。どうにかしたいけど、どうにもできないことが歯がゆかった。すると、一連のやりとりを見聞きしていた義母が再び口を開いた。
「莉子ちゃん残念だったねぇ。寂しいよね。でも、かほちゃんママも働いてるの?」
「……うん。お仕事終わりって言ってた」
「そうなんだ〜。そしたら、働きながらお迎えも行くなんて、かほちゃんママすごいね〜」
義母は私に当てつけるようにそう話した。確かに至らない部分は色々あると思う。子どもに不自由させているのも情けなく思う。でも、他の家庭と比べて貶められる筋合いはないと思った。
「でも、かほちゃんママも毎日お迎えってわけではないんでしょ?」
義母の当てつけのような発言に、つい躍起になって娘に質問した。
「……うん、たまにお迎えに来てる」
娘が答える。するとそれを聞くや否や、義母が口を挟む。
「たまにでも来てくれると嬉しいんだよね。ママはお仕事が大事なのかなぁ」
その言葉に私は遂に我慢し切れなくなってしまい、子どもたちの前で義母に声を荒げてしまった。
子どもの涙で気づいたこと
「あの、子どもたちの前でいい加減にしてください!わざと私に当てつけるようなこと言って……」
「えっ?そんなつもりじゃ。どこか気に障った?」
「白々しくするのもやめてください!」
「いや、麻衣さんこそ、子どもたちの前で私を悪者扱いしないでくれる?信じられない」
私と義母は互いに引こうとせず、いつの間にか、子どもたちを置いてけぼりにして口論は激化した。口論が一瞬落ち着いた時、小さな嗚咽と鼻を啜る音が聞こえた。我に帰って音のなる方に目を向けると、娘が声を殺しながら頬に大粒の涙を溢し、息子は表情を強張らせていた。
その様子を見て、私はすぐに子どもたちに謝り、さすりながら慰めた。義母もバツを悪そうにして、それ以降黙り込んだ。このことをきっかけに私は、義母と接触する時間を積極的に減らすようになっていった。
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あとがき:矛盾の中で見つけた「境界線を引くこと」
義母との関係は、長く続く小さな我慢の積み重ねから少しずつ歪んでいく。けれど、子どもの涙を前にして初めて気づくこともある──「戦っていたのは、本当は誰のためだったのか」ということに。家族の中での正しさはひとつではありません。誰かを守ろうとして誰かを傷つける、その矛盾を抱えながらも、麻衣は少しずつ自分の境界線を引くことを覚えていきました。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










