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🔴【第1話から読む】遠慮がない夫と、口が悪い実母→水と油のような2人にハラハラする妻|夫と実母は仲が悪い
年に一度の正月の帰省。率直な夫と嫌味な言い方をする母を会わせることが不安な裕子は、「穏やかに過ごせますように」とひたすら祈っていました。
帰省初日の第一声
実家に着いたのは、昼を少し過ぎたころでした。玄関を開けると、母の声がすぐに聞こえてきました。
母「あら、やっと来たのね。早かったじゃない」
私「ごめんね、道が混んでて」
母「どうせ拓也さんがスピード出してたんでしょ」
夫「いえ、安全運転でしたよ」
その瞬間、空気が少しピリッとしたのを感じました。母は悪気なく言ったのかもしれませんが、夫の表情はわずかに強張っていました。
私は慌てて「寒かったね」と話題を変えました。食卓につき、おせちの準備をする母の背中を見ながら、私は心の中で願っていました。これ以上何事もなく過ごせますように、と。
ついに対立してしまう夫と母
夕方になると、父が日本酒を取り出しました。
父「拓也くん、ちょっと一杯やるか」
夫「ありがとうございます。じゃあ、少しだけ」
二人は並んでこたつに座り、湯気の立つ盃を交わしました。最初は和やかでした。父は上機嫌で笑い、夫もいつになく饒舌になっていました。私は安心してキッチンで皿を洗っていましたが、背中越しに母の声が聞こえてきました。
母「お父さん、もうそのへんにしておきなさいよ」
父「なんだ、まだ一合も飲んでないぞ」
母「また去年みたいに寝込まれたら困るのよ」
父「大丈夫だって」
母「大丈夫じゃないの。それに拓也さんも、もうお酒すすめないでね」
嫌な予感がして振り向くと、拓也は盃を持ったまま固まっていました。
夫「……僕、すすめてませんけど」
母「あら、そう? でも、つい飲みたくなる雰囲気出してたでしょ」
夫「雰囲気、ですか」
夫の声のトーンが、明らかに低くなったのを感じ取り、私は慌てて二人の間に割って入りました。
私「お母さん、私が止めるから大丈夫だよ」
母「なによ、心配して言ってるだけじゃない」
夫「心配なら僕じゃなくてお義父さんに言ってくださいよ」
父「まあまあ、いいじゃないか。俺が飲みたいだけだから」
母「そうやってあなたはいつも調子に乗るんだから!」
その瞬間、場の空気が凍りついたのがはっきりと分かりました。父は苦笑し、夫は無言で盃を置きました。私はどうにか笑顔を作りましたが、内心は冷や汗が止まりませんでした。母の何気ないほんのひと言。それだけで、こんなにも空気が変わってしまうのでした。
その夜、布団を敷いた客間で、夫は黙ったままスマートフォンを見つめていました。
私「さっきはごめんね」
夫「別に怒ってないよ。ただ…ああいう言い方、ちょっときついなと思って」
私「そうだよね。お母さんも悪気があるわけじゃないと思うんだけど......」
夫「分かってる。でも、悪気ないって言葉、便利すぎるよな」
私は小さく息をのみました。夫との会話の後、私はなかなか眠ることができませんでした。
🔴【続きを読む】正月の実家帰省でピリつく夫VS実母→「男の人って…」“余計な一言”もうやめて!|夫と実母は仲が悪い
あとがき:避けられなかった摩擦
やはり起きてしまった夫と母の摩擦。貴重な帰省の時間を笑顔で過ごすために、板挟みになりながらも奔走する裕子の心情が痛いほどに伝わってきます。これ以上大事にならないようにと祈るばかりですが...
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
イラスト:まい子はん










