Ⓒママリ
🔴【第1話から読む】遠慮がない夫と、口が悪い実母→水と油のような2人にハラハラする妻|夫と実母は仲が悪い
正月帰省中、夫と母の価値観がぶつかり、裕子は板挟み状態に。誰も悪いわけではないけれど、家の中の空気は重く張り詰めていました。
無意識に傷つけられる心
翌日の朝。家の中の空気のように、灰色の厚い雲が空を覆っていました。そんな中、キッチンから母が悠斗に声をかけました。
母「悠斗、ちゃんと宿題は終わったの?」
悠斗「うん、あとちょっと」
母「あとちょっとが大事なのよ。いつもギリギリなんだから」
その言い方に、夫が新聞を畳む音が少し強く響きました。
夫「まだ休みなんだから、そんなに詰めなくてもいいですよ」
母「でもね、小さいうちから習慣をつけないと。将来困るのは本人ですもの」
夫「僕もそう思ってます。ただ、今はお正月ですから」
母「親と同じレベルでいいと思ってるから、サボり癖をつけちゃうんじゃないの?」
その瞬間、空気がぴんと張り詰めるのを感じました。夫は無言で立ち上がり、リビングのドアに手をかけました。
私「ちょっと、待って。お母さんも、そんな言い方しなくても……」
母「何が悪いの?悠斗のためを思って言ってるのよ」
夫「”悠斗のため”なら誰かを傷つけても、正しいことにできるんですか?」
母は驚いた表情で言葉を失っていました。私は心臓の鼓動が耳の奥で響くのを感じながら、必死に間に立ちました。
私「お願い、二人ともやめて。悠斗が見てる」
母「私は普通に話してるだけよ」
夫「普通じゃないですよ。少なくとも、僕にはきつい」
母の目がわずかに揺れました。父が静かに「まあまあ」とつぶやきましたが、その声は誰の耳にも届きませんでした。私は目の前の湯気の立つ湯呑みを見つめました。その湯気が、家の中の緊張感をぼやかしてくれればいいのにと思いました。
予定より早めの帰宅
数分間の沈黙の後、夫は静かに口を開きました。
夫「すみません。少し早いですが、家に帰ります」
私「え?でも……」
夫「正直、もう限界です」
その言葉に、母ですら何も言い返せませんでした。ただ小さく頷き、キッチンに戻っていきました。荷物をまとめて車に乗り込むと、後部座席に座る悠斗が、不安そうに声をかけてきました。
悠斗「パパ、おばあちゃんのこと嫌いなの?」
夫はバックミラー越しに息をつき、静かに笑いました。
夫「ううん、嫌いじゃないよ。ただね、少し疲れるときがあるんだ」
悠斗「ふーん。でも、また行こうね。おばあちゃんのお餅おいしかったし」
夫「……そうだな。そうしよう」
その言葉に、車の中の空気が少しだけ柔らかくなりました。張り詰めていた糸が、ほんの少し緩んだ気がしました。けれど、胸の奥にはまだ、消えない痛みが残っていました。このままではいけない。そう思いながら、私は遠ざかる実家の屋根を見つめていました
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あとがき:離れる決断
親と夫との間で揺れる気持ちは、誰もが経験する現実かもしれません。どちらも大切で、どちらも間違っていないからこそ、複雑で簡単には解決できないものです。そんな時は一旦離れてみるという方法も良いかもしれませんね。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
イラスト:まい子はん










