23歳のみちるは、夫の健司と結婚3年目。現在妊娠7週目で、ささやかな幸せの中にいた。不器用ながら優しい健司との関係は良好に見えたものの、お互いにネガティブな感情を打ち明けられない部分があり、関係性には少しずつひずみができていて…。
お互い初恋人同士だった彼と結婚
私の名前はみちる。現在23歳。夫の健司は29歳。私たちは、世間から見ればきっと「良い夫婦」だったことでしょう。
私が20歳、健司が26歳のときに出会って、お互いが初めての真剣な恋人同士。不器用だけど真っ直ぐな健司と、少しだけおせっかいで世話焼きな私は、3年間の交際を経て結婚することになった。
平凡な生活が何より大事だった
私たちの生活はごく普通。私は地元の給食業で働き、健司はシステムエンジニアとして忙しく働く毎日だった。ささやかだけど、二人で笑い合って、将来の計画を話す。そんな毎日が、私にとって何よりも大切に思えるものだった。
そして今、私のおなかの中には、小さな命が宿っている。妊娠7週でまだ赤ちゃんの姿をしっかり確認できたわけではないけれど、健司と私の未来が詰まった大切な存在。健司はこの報告を聞いたとき、まるで子どもみたいに飛び跳ねて喜んでくれた。
「みちる、ありがとう。本当にうれしい。無理しなくていいよ。俺、何でもやるから」
そう言って、家事も以前より手伝ってくれるようになった健司。彼の不器用ながらも優しい笑顔を見るたび、この人と結婚して本当によかったと心から思っていた。
喧嘩しないけど、それが弱点でもあった
ただ、私たちの関係には一つだけ弱点があった。それは、お互いに感情の全てをぶつけられずにいたこと。初めての恋人同士だったからか、私たちはどこか「良い関係」を壊すことを恐れていたんだと思う。
喧嘩はほとんどしない。でもそれは、お互いが自分の奥底にあるネガティブな感情を飲み込んでいる証拠でもあったのかもしれない。特に健司は、ストレスを溜め込みやすい性格なのに、それを私に見せまいと無理をする節があった。
私が愚痴をこぼしても、じっと聞くばかりで特に何か助言をするわけでもなく静かな様子の健司。聞き上手なのかと思っていたけれど、実は私の愚痴にうんざりしていたのかもしれない。
「はっきり言えない」「マイナスの感情を出せない」そんなちょっとした“苦手”が崩壊のきっかけを生むなんて、この時の私は知る由もなかった。私たちが築き上げてきた幸せな日常は、実はガラス細工のように脆い土台の上にあったのだから―――。
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あとがき:"見えない壁"が招く予兆
みちると健司の関係は、一見すると円満ですが、心の内を全て打ち明けられない「見えない壁」が存在していました。初めての真剣な相手だからこそ、関係を壊すことを恐れて本音を飲み込む。これは、多くの夫婦が陥りがちな罠です。
特にストレスを溜め込みやすい健司の性格と、みちるの「世話焼き」な部分が、お互いの負荷を増幅させているようにも見えます。この「壁」こそが、後に健司を誤った方向へ向かわせるきっかけとなるのですが、この時点では誰も知る由もないようです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










