🔴【第1話から読む】夫が出社せず「行方不明」→警察からの電話で【地獄】に突き落とされた日|夫が痴漢で捕まりました
義母からの怒号と文也の解雇通知で孤立する佳奈さん。泣き崩れながらも、幼い佳文のために自立を決意し、保育園と仕事探しに奔走します。数日後、事務補助の仕事を得て新しい生活へ踏み出します。
義母の怒号と崩れ落ちる現実
夫の職場から解雇を告げる電話が切れたあと、世界から音が消えたように感じました。義母の怒鳴り声も、会社からの解雇通告も、全部まとめて頭の中でぐるぐる回っていました。受話器を戻した手が震えていました。膝から力が抜け、その場にぺたんと座り込んでしまいました。
「…どうしよう」
佳文が不安そうに、私の膝によじ登ってきました。その小さな手が、今の私が持っている唯一の現実のように思えました。どれくらいそうしていたのか分かりません。突然、玄関のチャイムが連打されました。
おそるおそる玄関の戸を開けると、そこには義母が立っていました。いつも整えられている髪は乱れ、目は真っ赤に腫れていました。
「佳奈さん、あんたのせいよ!!!」
玄関に上がり込んできた義母は泣き叫んでいました。
「ふみちゃんは痴漢なんてする子じゃないの!あんたがおかしくしたのよ!」
義母の顔は怒りと涙でぐしゃぐしゃでした。やがて義母は私をにらみつけました。
「佳奈さん、今すぐふみちゃんの人生から出ていきなさい」
「えっ…」
「離婚しなさい。そうじゃないと、文也は人生をやり直せないから。とにかく早く消えてちょうだい!」
叫び終えると、義母は立ち上がり、乱暴にドアを開けて飛び出していきました。
支えの喪失と、決意の芽生え
私はその場にしばらく座り込んだまま動けませんでした。膝が震え、指先が冷たく、心臓だけがバクバクと音を立てていました。やっとの思いでリビングに戻ると、佳文が不安そうにこちらを見ていました。
目が合った瞬間、堰を切ったように涙があふれました。
「ごめんね、ごめんね、佳文…」
小さな体を抱き上げると、佳文は何も分からないまま、私の首にぎゅっと腕を回してくれました。その温かさが、かろうじて私を現実に引き留めてくれていました。怒り狂った義母の姿を見た私は妙に冷静になり、今後のことを考えました。
家賃、食費、光熱費、携帯代…挙げればキリがありません。文也は勾留され、会社からは解雇を告げられ、義母は私を罵倒して帰っていった。私と佳文を支えてくれる“大人”は、もう誰もいません。
「……働かなきゃ」
声に出すと、ようやくその言葉が現実味を帯びました。
母としての再出発
怖くて震えが止まりませんでしたが、電卓が示す数字の前では、迷う余地はありません。とにかく今すぐ、働かなくては。その日の午後、私は佳文を抱っこひもで胸に固定し、市役所へ向かいました。
「認可外なら、すぐ預けられる可能性があります」
そう言われ、紹介された無認可保育園にその足で電話をしました。受話器越しの園長先生は、思いがけず優しい声で言いました。
「お母さん、大変でしたね。お子さん、明日からでも大丈夫です」
その言葉に、胸がじわっと熱くなりました。泣きそうになるのを必死にこらえながら、何度も「ありがとうございます」と頭を下げました。翌日、佳文を園に預けたあと、私はハローワークへ向かい、何社も応募しました。携帯の電池が切れそうになるまで歩き、メモを取り、面接を受けました。
不安でつぶれそうになりながらも、“動き続けるしかない”。その思いだけで身体を前に運び続けました。
そして3日後、古い倉庫会社の事務補助に、採用が決まりました。そして翌週の月曜日から、佳文を保育園に預けて働き始めたのです。私の、新しい生活の始まりでした―――。
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あとがき:絶望の淵で、それでも立ち上がれる理由
佳奈さんが味わったのは、夫の逮捕だけではなく、義実家からの断絶と生活基盤の喪失でした。それでも彼女は立ち止まらず、幼い息子を抱えながら前に進む選択をします。支えてくれる人がいない状況で、それでも行動を続けた佳奈さんの姿には、追い詰められたときの人の強さが静かに映し出されています。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










