育児に追われる涼香のもとに、保育士の友人・律子が「助っ人」として頻ぱんに現れる。夜の多忙な時間帯に強引に上がり込み、寝かしつけを妨げる律子…。善意を掲げる彼女に対し、涼香は感謝しつつも疲弊していき…。
頻ぱんにやってくる自称、助っ人
「ピンポーン」
夜の7時。息子の奏斗が、ちょうどお風呂上がりにぐずり始め、私が髪を乾かすヒマもなくあやしている時、チャイムが鳴りました。
「涼香、お疲れ!今日も来ちゃった」
現れたのは、高校時代からの友人・律子。去年の3月に再会してから、自転車で15分という近さに住んでいることもあって、頻ぱんにわが家を訪れるようになりました。
「律子…。仕事帰り?お疲れさま。でも、今、奏斗がちょうど寝ぐずりで……」
「いいのいいの、気にしないで!私、保育士なんだから。奏斗くんの顔を見れば、つかれも吹き飛んじゃう。ほら、抱っこ代わってあげるから!涼香はゆっくりして?」
そう言って、彼女はまだ私が抱いている奏斗を、ひょいと受け取ります。
ありがたいけど、複雑…
律子は独身ですが、職業柄、子どもの扱いは慣れたもの。その好意はありがたい……はずなのですが、正直なところ、私の心境は複雑でした。
私の夫、浩二は、仕事が不規則なシフト制。夜に不在のことも多く、律子はそれを狙ったかのようにやってきます。
「浩二さん、今日も遅いんでしょ?一人で育児してると気がめいるでしょ。私が話し相手になってあげる」
「……ありがとう。でも、夜はバタバタしてるから、できれば、お昼に来てくれたほうがゆっくり話せるんだけどな」
「何言ってるの!夜のほうが大変じゃない。お風呂とか、寝かしつけとか。私、来年はちょうど奏斗くんの年齢のクラスを担任したいって希望出してるの。だから練習させて!手伝わせて!」
彼女の言葉には、一切の悪意がありません。むしろ、心から私を「助けたい」と思っているような、聖母のようなほほ笑みを向けてきます。
私から頼んだことは一度もない
でも、夜の時間は一分一秒を争う戦場なのです。子どもが寝た後に、ようやく、一人で冷めたご飯をかき込む。その静かな時間が、私にとっては唯一の休息。
「律子、今日はもう奏斗も寝るし、悪いから帰っても大丈夫だよ?」
「えー、まだ寝ないでしょ。ほら、私の指、握ってるよ。かわいい~」
結局、彼女が帰ったのは夜の10時。 私は、彼女に気をつかいながら、彼女が帰った後、ようやく自分の夕飯の片付けを始めるのでした。
仕事帰りのつかれもあるだろうに、なぜそこまでして来るのか。
「涼香、もっと私をたよっていいんだよ?」
帰り際にかけられたその言葉が、なぜかトゲのように胸に刺さりました。
(私は助けてほしいなんて、一度も言っていないのに)
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あとがき:その「優しさ」は誰のため?
「子育ては戦場」。一番バタバタする時間にやってくる友人・律子。育児経験者なら、この「ありがた迷惑」に身をよじるような思いがするはずです。
律子の言葉は一見、聖母のように温かいですが、実際には、涼香の生活リズムをムシしたものばかり。本当に相手を思っているなら、まずは「今、大丈夫?」と聞くのが礼儀ですよね。相手の都合をおき去りにした親切は、もはや暴力に近いものがある…。そんな違和感の種が蒔かれた第1話です。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










