🔴【第1話から読む】アプリで出会った「運命の夫」しかし夫は二時間前にあのアプリにログインしていて...
怯えながら「理想の夫」を演じるようになった亮平。アプリを消し、献身的に尽くす彼を冷めた目で見守るりかこ。崩れた信頼は二度と戻らないが、彼女は彼を解放しない。永遠に続く「監視」という名の地獄が始まる。
帰宅すると夫はすでに布団の中
私が帰宅すると、家の中は真っ暗だった。寝室を覗くと、亮平が布団を頭から被って丸まっている。
「ただいまー。亮平、寝てるの? 早かったんだね」
私が声をかけると、彼はビクッと肩を震わせた。
「あ、ああ……。打ち合わせが早く終わってさ。ちょっと頭が痛くて」
「そうなんだ。お疲れ様」
私は彼の背中に向かって、優しく微笑んだ。もちろん、彼はそれを見ていない。
例え「真っ白」だととしても、この記憶は一生消えない
翌日から、亮平の行動は劇的に変わった。休日は一日中家にいて、家事を積極的に手伝うようになった。スマホをテーブルに置くときは必ず画面を上に向け、私の顔色を伺うような仕草が増えた。 例のアプリを確認すると、彼のアカウントは跡形もなく消去されていた。
「りかこ、最近亮平さんどう?」
数か月後、静香と再び会った。
「今のところ、真っ白。というか、怯えてる感じ。私がスマホを触るたびに、視線がこっちに飛んでくるわ」
「まあ、あんな正体不明の『まどか』に釘を刺されたら、怖くて夜も眠れないわよね」
「自業自得よ」
私は、冷めた紅茶を一口飲んだ。
亮平は、「まどか」の正体が私だと気づいていない。彼は今、「自分の不倫未遂が誰か(妻の友人)に握られている」という恐怖と戦いながら、私に誠実な夫を演じている。
それはある種の地獄だろう。 でも、私にだって地獄はある。「優しくて誠実な夫」という虚像が崩れ、「セフレ探しをしていた裏切り者」という実像を知ってしまった。この記憶は、一生消えない。
許したわけじゃない。だけど確実に支配する…
「ねえ、りかこ。許したの?」
「許してないわよ。ただ、今は泳がせてるだけ。次に何かあったら、その時は法的手段でも何でも使って、徹底的にやるって決めてるから」
私はバッグからスマートフォンを取り出し、亮平の最新の居場所を確認した。自宅。彼は今、私のために夕飯を作って待っているはずだ。
「改心したなら、それでいい。でも、一度でもああいうことができた人なんだってことは、忘れない」
私は立ち上がり、静香に手を振った。
「これからも監視は続けるわ。次はもっと痛い目に遭わせる準備も、もう始めてるしね」
夕暮れの街を歩きながら、私は亮平にメッセージを送る。
『今から帰るね。ハンバーグ、楽しみにしてる』
すぐに返信が来た。
『気をつけて。最高のを作って待ってるよ!』
幸せな夫婦の、一見すると何の変哲もないやり取り。 その裏側にある歪んだ支配を、彼はまだ知らない。
🔴【第1話から読む】アプリで出会った「運命の夫」しかし夫は二時間前にあのアプリにログインしていて...
あとがき:「死ぬまで解けない」呪いの完成
物語は一見、平和な食卓に戻ったかのように見えます。しかし、そこにあるのは愛ではなく「支配」です。夫は誰に見られているかわからない恐怖に怯え、妻は一生消えない不信感を抱え続ける。この「歪んだ幸福」の形こそが、裏切りの代償。ハンバーグの香りが漂う家庭の中に、見えない手錠の音が聞こえてくるような幕切れに、震えが止まりません。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています










