公園で再会した、学生時代の友人・里奈と拓也。自然な距離感の2人に、奈緒はわずかな違和感を抱く。その夜、里奈から突然、「拓也が好き」と告白され…。
学生時代からの友人と過ごす、居心地の良い時間
「奈緒ー! こっちこっち!」
公園の入り口で、大きく手を振る里奈の姿が見えた。そのとなりには、拓也。
ベビーカーとストライダーと、レジャーシート。いつもの休日の光景だ。
私たちは、10年来の友人だ。
大学時代に同じサークルで出会ってから、なんだかんだ縁が続いている。結婚も出産も、だいたい同じタイミングで、子どもたちも年が近い。
「久しぶりー!」
あいさつもそこそこに、子どもたちは一目散に遊具へと向かって走っていく。
「待って待ってー!」
里奈があわてて追いかける。拓也はそんな里奈を見て苦笑しながら、荷物を広げる。
「ほんと元気だよな」
昔と変わらない口調。大学のころ、飲み会の幹事をしていた時の余裕のある感じ。私は、なんだかなつかしくなって笑った。すべり台の下で、里奈と拓也がならんで子どもたちを見守っている。自然な距離感。息の合ったやり取り。
「最近さ、うちの夫、また帰り遅くて」
里奈がため息まじりに言う。
「あー、うちの嫁も。仕事って言えば何でもゆるされると思ってるよね」
拓也が肩をすくめる。
2人はお互いのパートナーのグチを言い合う。それも、昔からの延長みたいに自然なやりとりだ。
夜のメッセージとわずかな違和感
「奈緒のとこは?」
そう振られて、私は苦笑する。
「うちも似たようなもんかな」
きっと、どの家庭もそれぞれ大変なことがあるだろう。でも、この3人でいると、少しだけ気持ちがラクになる。学生時代から続く信頼関係からか、“理解してくれる人がいる”という安心感を与えてくれるからだ。
ふと見ると、里奈と拓也が同時に子どもを抱き上げ、目を合わせて笑っていた。息がぴったりな2人に、私はなぜか一瞬だけ胸がざわつく。
(なんだろう……なんか…距離感が近い?)
私はわずかな違和感を抱きつつも、2人と子どもたちのたのしげな様子に、それ以上深く考えることをやめた。
その日の夜。子どもを寝かしつけ、スマホを開く。里奈からメッセージが届いていた。
「今日はありがとう!たのしかったね」
「うん、久々にゆっくり話せたね」
何往復か、他愛のないやり取りをする。
「拓也、やっぱり話しやすいよね」
脈絡もなくはさまれた拓也の話題に、公園で感じた違和感がまた顔をのぞかせる。
「拓也らしいっていうか…。里奈は昔から拓也と気が合ってる感じだしね」
そう返すと、既読がついたまま、沈黙がつづいた。
数分後、画面に里奈の名前がうかび上がる。彼女からの着信だった。
「私、拓也が好きなの」
「もしもし?どうした?」
少しだけ胸がざわつく。電話の向こうで、里奈が息を吸う音がした。
「奈緒……あのね」
その声は、いつもより低いトーンだった。
「ちょっと、聞いてほしいことがあって」
いやな予感が、じわりと広がる。
「私──」
少しの間の沈黙が、とても長く、おもいものに感じられた。
そして──。
「私……拓也が好きなの」
友人の突然の告白に、頭がまっ白になる。
「……え?」
衝撃のあまり言葉が出ない。
「彼も私のこと好きみたいで……」
鼓動がドクンと大きく鳴る。昼間、公園でならんでいた2人の姿が、フラッシュバックする。笑い合う横顔、自然すぎる距離…あれは、ただの友だちじゃなかったの?
「でもっ、誤解してほしくないのは……まだ、何もないよ?」
里奈があわてたように付け加える。
「ただ……気持ちが止まらなくて……」
10年来の友情、それぞれの家庭、子どもたち──。
全部がぐらりとゆれる。私はスマホをにぎりしめたまま、言葉をうしなっていた。
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あとがき:友情と恋の境界線
長い友情は、安心感と信頼を育てます。でも、その安心感が、ふとしたきっかけで“特別”な感情に変わることもあります。
家庭の悩みや孤独を分かち合ううちに、心の距離は縮まっていく。それ自体はわるいことではないはずなのに、立場や状況によっては、大きな波紋を呼びます。
「まだ一線は越えていない」。それでも、心がかたむいた瞬間から、関係は元には戻れないのかもしれません。この告白を受けた奈緒は、親友として何を選ぶのでしょうか。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。










