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「息子がいじめられて」引っ越した実姉→離れてから思う【家族間の距離】の必要性|姉の子育てがおかしい

姉との関係が決定的にすれ違ってしまった結衣。それでも完全に縁が切れるわけではなく、親戚の集まりなどで顔を合わせる日々は続いていた。しかし、子ども同士の関係や子育ての価値観の違いは埋まらないまま。悩み続けた結衣が最後に選んだのは、「分かり合うこと」ではなく「距離を取ること」だった。それぞれの家庭、それぞれの子育てのかたちとは──。『姉の子育てがおかしい』最終話ごらんください。

🔴【第1話から読む】姉の子がキッチンで「ビリッ…」→新築に招いて露わになる“しつけの常識”の違い|姉の子育てがおかしい

姉・香織に思いを伝えたものの、話し合いは決裂し関係は悪化。距離を置いたまま続く姉妹関係の中で、結衣が自分なりの答えを見つけていく。分かり合えない現実と向き合いながら、母として何を大切にするのかを選び取る物語の結末。

変わらない関係の中で

孤独 PIXTA

あの電話の後も、姉との関係は完全に途切れたわけではなかった。
親戚の集まり。年に何度かの家族のイベント。そういう場面では、自然と顔を合わせる。

でも、状況はほとんど変わらなかった。

「蓮、走らないで!」

誰かが言っても、蓮くんは止まらない。ドタドタと廊下を走り回り、ソファに飛び乗る。
そして時々、蒼に乱暴なことをする。

「やめて!」

蒼が言うと、

「うるさい!」

と押し返す。
そのたびに、私は心臓がきゅっと縮む。
けれど、

「蓮、ダメでしょ〜」

香織の注意は、いつも軽かった。本気で叱る様子はない。そして、私と目が合うと、どこか挑むような視線を向けることもあった。

(……まただ)

私は何度も思った。でも、もう前のように言葉にすることはなかった。

「分かり合う」ことを手放す

女性 対立 PIXTA

代わりに、私は考えるようになっていた。
香織はどういう人なのか。自分はどうしたいのか。
そして──蒼にとって、何が一番いいのか。

母の言葉も思い出す。

──「子育てってね、視野が狭くなることもあるのよ」

拓也さんの言葉も。

──「蓮のことになると、ムキになっちゃうんだ」

香織なりに、一生懸命なのかもしれない──そう思うこともあった。
でも──それでも、蒼が傷つくのは、嫌だった。

私は自分の子育てを大事にしたい。
蒼に「人に優しくしようね」と教えるなら、私自身も、その姿を見せたい。
そのためには、無理をしないことも必要なのかもしれない。

ある日、ふと気づいた。
私はもう、香織に「分かってほしい」と思っていなかった。
代わりに思うようになっていた。

(私たちは、違うんだ)

子育ての考え方も、大事にしているものも、きっと違う。
だから、無理に同じ方向を向こうとしなくてもいい。
そんなふうに思い始めていた。

それぞれの場所で生きていく

手繋ぎ 親子 PIXTA

それから数か月後。香織から突然メッセージが届いた。

《引っ越すことになった》

私は驚いた。

《え?》

すぐに返信する。すると、すぐに返事が来た。

《蓮がさ》
《幼稚園でいじめられてたみたいで》

私は画面を見つめた。
胸の奥が、少しざわつく。

《だから環境変えようと思って》
《他の市に引っ越す》

短い文章だった。
私は少し考えてから、メッセージを打った。

《そうなんだ》
《大変だったね》

そして、少し迷ってから続ける。

《新しい場所では、うまくいくといいね》
《頑張ってね》

送信ボタンを押す。
しばらくして既読がついた。

《うん》

それだけの返信だった。

それから数か月。香織からは、たまに連絡が来る。

「引っ越し大変だった」
「蓮が新しい友達できた」

そんな近況報告。私は普通に返事をする。
でも、会う機会は、ほとんどなくなった。
距離ができた。物理的にも、そして、心の上でも。

時々、思うことがある。
もし、もっと違う形で向き合えていたら。もし、うまく分かり合えていたら。
私たちは、普通の姉妹のように過ごせていたのかもしれない。

少しだけ、寂しい気持ちになる。
でも、リビングで蒼が笑っているのを見て思う。

(これでよかったんだ)

無理に関係を続けて、心をすり減らすより、少し離れた場所で、それぞれの人生を歩く。
その方が、きっと穏やかに生きられる。

蒼が私の袖を引っ張った。

「おかあさん!」

「なに?」

「いっしょにあそぼ!」

私は笑ってうなずく。

「いいよ」

窓から、柔らかな光が差し込んでいた。私はその光の中で、蒼の手を握った。
少しの寂しさと、それでも確かな安心を胸に抱きながら。

あとがき:距離という選択

分かり合えない相手と、どう向き合うか。関係を続けることだけが正解ではないと、この物語は示しています。結衣は「理解されること」を手放し、「守るべきもの」を選びました。それは決して冷たい選択ではなく、自分と家族を大切にするための決断です。近くにいることだけが、良い関係とは限らない。少し離れた場所で、それぞれが穏やかに生きていく──そんな関係の形もまた、一つの答えなのかもしれません。

※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています。

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